18話 村に送り届けるようです
いつもお読みいただきありがとうございます。皆さんに読んで頂けるからこそ定期的に続けていこうと思えます。
3/31 ミスの修正をしました。
4/3 【突進】のレベルを修正しました。
盗賊の頭を倒した後、ソーラとアイナが駆け寄ってきた。2人は俺に怪我がないか確かめた後、飛んでいった斧が作ったクレーターを見て顔を青くしながらも俺に最後の一撃が当たらずに済んだことをとても喜んでいた。
「さて、これからどうしようか」
石の壁を解除した先には今だ震えながらこちらを見ている女性達をみた。皆その瞳には警戒心と絶望感がないまぜになったような色をしていた。
「とりあえず彼女達にどうしたいかを聞いてそれから決めればいいんじゃないかな?」
3人で女性達の所に歩いていく。女性達は更に顔を恐怖に歪めながら背後が壁にも関わらず必死で下がろうとしている。
やっぱり、見た目が人間に近くなってきたとはいえ、俺達は完全に魔物だからなー。しかも女性の敵その1のゴブリンだ。ちなみにその2はオークな。
「あー……、大丈夫だ、何もしない。とりあえずこれを着てくれ。目のやり場に困る」
女性達の少し手前で止まるとスキルで蜘蛛糸から3着程無地のワンピースを作り放り投げるようにして渡す。
スキル【武具作成Lv.9】がレベルアップしました。
スキル【武具作成Lv.10】は【特殊武具作成Lv.1】に進化しました。
あ、スキルがレベルアップして進化した。どんなスキルになったんだろ。
【特殊武具作成Lv.1】 作成できる武具の種類が増える。武具作成時、自由に能力を付与することができる。レベル毎に付与できる数が増加。MP追加消費使用不可になる。
へー、かなり便利なスキルに進化したもんだ。ただ、MPの追加消費はもうできないのか。今まで結構こいつに助けられてきたから結構悲しいが、その分能力を付与できるようになるんならお釣りがくるな。これなら魔物の姿も誤魔化せる装備が作れるかもしれないし、とりあえず3人分作るか。
リストを開き魔法銀の指輪に【変装】の能力を付与して3個ほど作成する。
手のひらに何の装飾も無い白銀色の指輪が仄かな光と共に現れる。
ソーラとアイナに指輪を渡し、自分の指にはめるとすぐに自分の手の色が濁った緑色から普通の肌色に変化しているのがわかった。
んー、ソーラは進化してから肌の色以外は普通の人間と同じ――いや、美少女といっても過言ではない容姿だったから変わったのは肌の色だけか。アイナは種族特徴の単眼以外は普通の人間と変わらないから、眼が人間と同じ2つになっただけか。それにしても少したれ目でおっとり系美人って感じだな。
2人の人間態をついじっくり見ていると2人は恥ずかしそうに頬を染めていた。
ついドキッとしてしまい慌てて目を捕まっていた女性達のほうへ向けると、すでに服を着ており、恐怖とは違う訝しげな眼差しを浮かべていた。
その様子を見ていると真面目そうな女性が恐る恐る声を掛けてきた。
「あ……あの、た、助けてくれるんですか?」
「ん? ああ、助けが要るなら助けるぞ。そのまま出て行っても魔物に殺されるだけだろうしな。近くの村まで送るぐらいはしてやるさ」
ソーラとアイナも同意するように頷いている。それを見た女性が頭を下げると、他の2人もそれに倣って頭を下げて来たので近くの村まで連れて行くことに決まった。
話を聞くと女性達はここから半日程行った所にある村から連れ去られてきたらしい。突然盗賊達が襲ってきて、抵抗する暇も無く略奪されたとのことだ。
てことはあの酒盛りの肴とかはその村から奪ってきた物の可能性が高いな。さっきの戦闘でしっちゃかめっちゃかになって食べれる物なんか残ってなかったからなー。どうしたもんかな。
そんなことを考えていると女性達がチラチラとこちらを見て、何か聞きたそうにしているのに気が付いた。
「なんだ? 聞きたいことでもあるのか?」
「い…いえ、あの……」
「はぁ、聞きたいのか聞きたくないのかはっきりしてくれないか」
つい溜息を吐きながら返すと横にいるソーラが杖で軽く頭を叩いてきた。
「だめですよ。そんなぶっきらぼうにしていたら聞けることも聞けなくなっちゃうでしょ」
「わ……わかったよ。悪かった。それで、何が聞きたいんだ?」
ソーラに窘められ、少しバツの悪そうに頭を下げると、再度女性達に問い返した。
「いえ、聞くのも失礼かなと思ったのですが、あなた方先程まで魔物の姿をしていましたよね? 今は人間の姿をしているみたいですがどちらが本当の姿なのですか?」
「ああ、その事か。俺とソーラはゴブリンで、アイナはモノアイだ。俺達が装備している指輪の効果で見た目を人間に変えているだけだよ」
彼女の質問に指輪を外して元の姿を見せながら説明すると、女性達は皆目を丸くして驚いていた。
「それとですね……、こっちの質問の方が失礼だとは思うのですが……」
「まだ聞きたいことがあるのか?」
「はい、そちらのモノアイの女性ならともかく、ゴブリンが人を、それも私達みたいな女に襲い掛からないのが不思議で。それにゴブリンってそんなに流暢に喋りませんし……」
「それについては説明し難いから秘密って事にしておいてくれ」
その回答の後は特に何か質問されることも無く、女性陣は他愛ない雑談に興じていた。男の俺は1人会話に混ざることもできず、周囲を警戒しながら歩いていた。
半時ほど歩くと遠くから何かがぶつかるような音が連続して聞こえてくるのに気が付いた。そしてその音は徐々に近づいてくると、前方の木や草むらを吹き飛ばしながら体高3mはある巨大な猪が姿を現した。
魔物組が武器を構えながら不思議そうに見ていると、人間組は顔を真っ青にしながら座り込んでいた。
「終わりです……。巨暴猪に遭遇するなんて……。せっかく助かったと、村に変えれると思ったのに……」
「なあ、あいつって美味いのか?」
「え? ああ、はい。とても美味しいらしいです。食べたことはないですし、とても強いので倒せる人が少なくてなかなか出回らないと聞きます」
俺の予想外の質問にきょとんとした顔つきになりながらも律儀に答える女性。その答えに満足しながら巨大猪に向けて武器を構える。
こちらが武器を構えた直後、猪は激しい土煙を上げ、その巨体で道の両脇の木をなぎ倒しながら突進してきた。
「それでは~、行きますねぇ~」
アイナが弓に矢を番え、即座に矢を放つ。一直線に飛んだ矢は猪の右目を貫いた。
激痛に悲鳴を上げながら、それでも勢いを殺すことなく突進している猪の前に分厚い石の壁がせり上がってきた。
そのまま石壁に激突し、一旦は止まった猪だがそれでもなお前に進もうとしていた。石壁にひびが入り、そして徐々に大きくなっていく。
「シーツァ!」
「おうっ!」
石壁を足場に高く跳躍すると、猪の頭上で自分に向けて強い重力を発生させる。そして、重力に任せて猪へ向けて落下するとその脳天を長剣で刺し貫いた。
猪が断末魔の悲鳴を上げてその場に崩れ落ちた。余りの巨大さ故に倒れた際に地面が揺れ、女性達は座り込んだまま跳ね上がるという器用な真似をしていた。
経験値を320手に入れました。
スキル【突進Lv.3】を習得しました。
倒した巨暴猪の頭を【特殊武具作成】で新たに作った【魔力刃精製】の能力を付与した長剣で斬り落した。
意外とあっさり斬り落せたことに驚きながらも、【物理魔法】でその巨体を逆さに持ち上げ血抜きをする。かなりの量の血が切り口から流れてきて辺り一面血の海に早変わりしていた。
血抜きを終えた巨暴猪を【異次元収納】の中にしまい、血の臭いに釣られて現れた森林狼を始末し、同じように血抜きをし【異次元収納】にしまうと、女性達は血抜きの際に跳ねた血であちこちを汚しながらもあっけにとられたような顔をしてフリーズしていた。
なんとか女性達を正気に戻し、再び村に向けて歩き出した。その後は特に魔物との遭遇も無く、一行が村に到着する頃には日が暮れ、辺りが暗くなってからの事だった。
読んでくださっている皆様にご報告があります。
今回の投稿から装備品の後天的に付与されたパラメータ以外の表示と【武具作成】の追加MP消費を無くさせていただきます。追加消費MPの方は【特殊武具作成】に進化した故の削除という風に設定を変えさせて頂きました。
急な設定変更誠に申し訳ありません。これからも投稿は続けていきますので見捨てないでいただけると幸いです。
名前 シーツァ ♂
種族 小鬼族:ゴブリンナイト
状態 健康
Lv 29
HP 227/227 (+100)
MP 133/133 (+35)
攻撃力 355 (+250)
防御力 111 (+40)
魔力 79 (+15)
魔抵抗 77 (+15)
速度 167 (+100)(+5)
運 142 (+100)
スキル
【異世界言語】【看破】【スキル習熟速度倍加】【異次元収納】【蒐集Lv.2】【特殊武具作成Lv.1】【幸運Lv.5】【防音Lv.1】【消費MP軽減Lv.6】【最大MP上昇Lv.7】【ジャンプLv.10】【剣鬼Lv.1】【迅速Lv.2】【剛力Lv.5】【立体起動Lv.9】【HP自動回復Lv.4】【MP自動回復Lv.8】【蜘蛛糸Lv.10】【猛毒撃Lv.1】【投擲Lv.10】【痺撃Lv.6】【土魔法Lv.7】【盾術Lv.4】【回復魔法Lv.5】【物理魔法Lv.8】【複製転写Lv.1】【弓術Lv.2】【精密射撃Lv.8】【火魔法Lv.4】【魔力感知Lv.5】【防壁Lv.8】【魔仙Lv.3】【槍術Lv.5】【気配察知Lv.2】【気配遮断Lv.3】【絶対防御Lv.1】【水魔法Lv.1】【斧術Lv.8】【最大HP大上昇Lv.2】【調教Lv.1】
装備
黒鋼の長剣
黒鋼の丸盾バックラー
森林狼フォレストウルフの皮鎧 速度+5
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