13話 今後の事を決めるようです
今回もほとんど会話ばかりの回になってしまいます。カタカナばかりで読みにくいとは思いますがご了承ください。
翌朝、俺が目を覚ますと隣には悪夢でも見ているのか辛そうな顔をして眠るソーラがいた。何となくその手を握ってやるとソーラも手を握り返してくる。すると徐々に辛そうな顔が安らいでいく。
2,3分ほど握っているとソーラの瞼がうっすらと開いていった。
「オハヨウソーラ。起コシシチャッタカ?」
「ン……ア、オハヨウシーツァ。手、握ッテテクレタンダ」
「アア、少シウナサレテイタカラナ」
ありのままに今の状況を話すと少し顔を赤くして俯きながら「アリガトウ」と蚊の鳴くような声で呟いた。
「ト……トリアエズコレカラノ事ヲ考エヨウ。村ハコンナ状況ダシ、旅ニ出ルニシテモ今ノママノ俺達ジャソウ遠クナイウチニ他ノ魔物ニ殺サレルカ、強イ冒険者達ニ殺サレルダロウ」
「ナラ……ドウスルノ?」
俺の想像に難くない未来予想に不安そうに聞いてくるソーラに俺は自分の中である程度優先順位を付けて今後の予定を話した。
「マズ第1にニ強クナル事ガ先決ダナ。コノ前倒シタ森鬼蜘蛛程度ハ楽ニ倒セルヨウニナリタイ。第2ニ装備ノ充実ダナ、コレハ俺ノ【武具作成】ノスキルデ時間ハカカルガ量産デキル。最後ニ回復手段ノ確保ダナ。コレハソーラノ【道具作成】デナントカナルンジャナイカト思ッテルンダガドウダ?」
「ウン、MPサエ消費スレバ作レルヨ。タダ、スキルレベルガ1ダカラポーションダケダネ。後、私ハマダレベル2ダカラ1回ニ作レル量ガマダ少ナイヨ」
「ソレニ関シテハ俺ガレベル上ゲヲ手伝ウシ、MPニ関シテハ寝ル前ニデモポーションヲ作ルカ魔法ヲ使ッテMPヲ0ニスレバ少シヅツダガ増エテイク。後ハ――」
俺はステータスを開き気になっていたスキルを看破で調べる。
【複製転写Lv.1】 スキルを複製し対象に習得させる。レベル毎に日に行える回数、習得時の最低レベルが上がる。
今はレベル1だから日に1回だけしか使えないのか。レベルが上がると回数が増えるみたいだな。習得時の最低レベルは多分俺のスキルレベルが高くても【複製転写】と同じレベルまで下がって習得させるって事かな?
「ソーラハドンナ風ニ戦カイタイ?」
「ンー、私ハ運動ハ苦手ダカラ魔法ガ使エルトイイナ。人間ダッタ頃モ運動ハマルデ駄目ダッタシ」
俺の質問に少し考えると恥ずかしそうに答える。その回答を聞くと俺は【複製転写Lv.1】を使いソーラに【土魔法Lv.1】を習得させた。
「デモ、魔法ナンテ使イ方ワカラナイイシ、ドウヤッテ覚エレバイイノ?」
「ステータス確認シテミテ、【土魔法Lv.1】ガ使エルヨウニナッテルハズダヨ」
ソーラの疑問に俺はステータスの確認を促してみる。ステータスを確認するとソーラは驚愕に目を見開いて興奮を隠すことなく俺に詰め寄ってきた。
「!? 昨日マデステータスニ【土魔法Lv.1】ナンテナカッタノニナンデアルノ? シーツァガ何カ特別ナ事シタノ? ネェ教エテヨ!」
「俺ノスキルニ【複製転写】ッテスキルガアルンダガ、日ニ1回俺ノスキルヲコピーシテ相手ニ習得サセルコトガデキルンダヨ」
フンス、と鼻息を荒くして詰め寄ってくるソーラに若干引きながらつい答えてしまう。
まあ、隠しておけるような状況じゃないし、ソーラも鑑定持ってるからいずればれるだろうしな。ここは正直に言ったほうが後で騒がれることもないだろ。
「因ミニ魔法ハイメージガ重要ダカラ。ゲームヲヤッタ事ガアレバソレヲ基礎ニシテイメージシテミルトイイカモナ」
「任セテヨ。前ハドラゴンナクエストトカサイゴノファンタジートカイロイロヤッテタンダ!」
自信満々に答えるソーラに多少の不安を覚えつつレベル上げをするために森へ向かうことにした。道中ソーラにまだ武器が無いことを失念していた俺は【武具作成】で杖を作ってあげることにした。
ふと、素材も消費して作れることを思い出した俺はミラクルマタンゴから手に入れた小さい金色のビー玉みたいなものを消費して作ってみることにした。
“骨の杖作成!追加消費MP+20!素材追加!”
いつものように手に光が集まり1mほどの骨でできた錫杖が作成された。杖の先端には金色のビー玉が埋め込まれている。
性能はどんな感じなんだろう?
骨の杖+20
攻撃力+24(+20) 魔力+34(+30) 運+10
なんか大変なことになってる……。あのビー玉(仮)を素材として消費しただけで魔力と運に+10の補正がかかってるな。てことは、あれビー玉じゃなくてミラクルマタンゴの所謂魔石ってやつだったのかな。パッと見レアなモンスターっぽかったから魔石の性能も高いのかもな。
考え事を終えると杖をソーラに手渡す。杖の性能に驚いて固まっているソーラを正気に戻すと、一緒に森に入った。
森に入ると早速1匹の森林狼に遭遇した。全身の毛を逆立てて唸り声を上げながらこちらを威嚇しているオオカミとは反対に完全に腰が引けているソーラ。
「シーツァ! ドウシヨウ! ラービジャナクテイキナリ森林狼ダヨ! 私ジャ勝テッコナイヨ!」
「大丈夫ダヨ。落チ着イテソーラ。チャント動キハ俺ガ止メルカラ」
そう言うと【蜘蛛糸】と【痺撃】を組み合わせた糸で森林狼を絡め取っていく。森林狼はすぐに糸と麻痺毒で身動きが取れなくなっていた。
「アイツハモウ動ケナイカラ全力デ【土魔法】ヲ撃チ込ンデミテ」
「ワ……ワカッタ! ンー! エイッ! 【石槍】!」
ソーラから放たれた石でできた槍が森林狼の頭をぶち抜いてそのまま後ろの木に穴を開けながら遠くに消えていった。遠くで獣の悲鳴らしきものが聞えたからきっと何体か巻き込んだんだろう。
それを確認するとソーラの体がグラッと揺れたかと思うとそのまま地面に倒れた。慌てて助け起こしてみるとどうやらMPが0になったために気絶したみたいだった。
ふぅ、MP0で気絶しただけか。レベル2って言ってたからMP量も少ないだろうししょうがないか。それにしても【土魔法】って石も放てるのか。森鬼蜘蛛が土でしか魔法を撃ってこなかったから、てっきりそういうもんだと思い込んでたな。魔法に関してはソーラの方が頼りになりそうだ。
一通り思考を巡らすと俺は骨の杖+20を【異次元収納】に収納し、ソーラを背負い2人だけしか住人のいない村に向かい歩き始めた。
さて、明日はどのスキルを覚えてもらおうかな。
誤字脱字文章がおかしいなどありましたら遠慮なく教えていただけると助かります。