12話 戦いの後始末のようです
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自分で書いていて思いますが、他の方々に比べると文書が拙い気がしてなりません。早くうまくなりたいものです。
長剣で剣士の顔面を刺し貫いて殺した後、俺は急いで背後へ吹き飛ばしたソーラの元へ駆けつける。
「大丈夫カ! 時間ガ無カッタトハイエスマナイ。怪我ハナイカ?」
焼け落ちた元あばら家に到着すると残骸の上でソーラは目を回して気絶していた。
よかった……、目を回して気絶してるだけみたいだな。怪我とかがなくて本当に良かった。まあ、吹き飛ばしたのは俺なんだけど。
5分ほど経つとソーラが目を覚ました。
「ン……此処ハ……ッテ! サッキノ人間達ハ!?」
上半身を起こしながら若干パニック状態で問いかけてくるソーラに落ち着いた声音で今の状況を説明してやった。
「コノ村ヲ襲ッテキタ人間達ナラ全員殺シタ。村ノ建物ハ全部焼ケ落チテ、生キ残リガドレダケイルカハマダワカンナイナ」
「ソウ……ナンダ……。コレカラドウシヨウ……」
現在の状況を聞いてかなり意気消沈してしまったソーラの問いかけにどう答えるべきか分からなかった俺はとりあえずみんなを弔ってやろうと提案した。
「ソウダネ……。アノママ放置シテ狼トカニ食ベラレテモ可哀想ダシネ。人間ハドウスルノ?」
「人間共ハ武器ダケ剥イデ後ハ森ニ捨テテクル。アンデッドニナッテモ殺セバイイシ、ソノ前ニタブン狼共ニ食ベラレルダロ」
前世は人間だった俺だが、今はゴブリンな上自分達を殺しにきてる奴らを弔ってやる気には終ぞなれなかった。
その後、村はずれに【土魔法】で5m四方の穴を掘りそこに村のゴブリンの死体を置いていった。村中回り、見落としてる亡骸が無いことを確認すると最後に他の3人の兄弟と大人ゴブリンを置き、ソーラに伝えることはあるかと問いかけた。
「ウン、ソレジャア一言ダケ……。ワ……私ヲ育テテクレテ……ア……アリガトウゴザイマシタ!」
ソーラが皆の亡骸に向かって頭を下げて涙交じりの感謝の言葉を口にした。しばらく頭を下げながら涙を流し、ようやく落ち着いたのか頭を上げてこちらを見てくる。
「モウイイノカ?」
「……ウン」
俺は「ソウカ」と口にすると魔法使いから奪った【火魔法】を使い亡骸に火をつけた。パチパチと音がなりゴブリンたちの亡骸を燃やしていく。俺とソーラはその音を聞きながら目を閉じ、両手を合わせ冥福を祈った。
30分後火が消え、焼けた後には僅かな骨と大量の灰が残った。俺は穴を【土魔法】で埋めるとその上に木で作った両刃の大剣を突き刺して墓標の代わりにした。
皆の墓を作った後、冒険者達の死体を引きずって森の中に投げ込んだ。すると程なくして、森の中でガサガサと音が鳴ったかと思うと、3匹の森林狼が死体を加えて足早に森の奥に去っていった。
その姿を見送った後、今後どうするか考えているとソーラが声をかけてきた。
「アリガトウ、マタ助ケテクレテ。ソレト1つ聞キタインダケドイイカナ?」
「アア、何ダ?」
「日本ッテ国ヲ知ッテイル?」
ソーラの質問に内心驚きつつも、やっぱりか……と思う自分もいる。
「アア、知ッテイル。トイウヨリ俺ハ元日本人デ、向コウデ事故死シタ後コノ世界ニ転生シテキタ。ヤッパリ君モ日本人ナノカ?」
「ウン、私モ元日本人デ、日本デハ病気デ死ンジャッタンダ。気ガ付イタラ真ッ白ナ世界デ女神様ニ会ッテ、ソレカラコノ世界ニ転生シテキタノ」
どうやらお互いに日本で死に、あの駄目神に会ってこの世界に転生してきたらしい。
「女神様ニハコノ世界ニ転生スル時ニ渡サレルスキルト、自分デ選ブスキル1コ貰ッタノ。ソレデ転生先ヲ決メルダーツヲスルトキ、「リベンジダー!」ッテ言イナガラ投ゲタラ力ガハイリスギテイタノカ、手カラスッポ抜ケテ的ノ上ノゴブリンッテ書イテアル壁ニ刺サッタノ。ソレデコノ世界ニ転生スル瞬間ニ「マタヤッチャッター、ゴメンネ? コレアゲルカラ許シテ」ッテ言ワレテ、気ガ付イタラゴブリンニナッテタンダ」
「的ノ下ノ床ニモダーツガ刺サッテナカッタカ?」
「確カ刺サッテタヨ。アレシーツァノダッタンダ」
あの駄目神は俺以外にもやらかしたらしい。てか、一度失敗したダーツでリベンジとかもうちょっと考えてからやってほしいものだ。まぁ、おかげで話が通じる相手がいるのは、ソーラには悪いがありがたい。
「ソレデ、ソーラハ何ノスキルヲ選ンダンダ?」
「私ガ選ンダノハ【道具作成】ダヨ。デ、コッチニ来ル瞬間ニオ詫ビガワリニ貰ッタノガ【幸運】ダネ」
【道具作成】か、俺の見せてもらったリストには無かったが、名前から推測して【武具作成】の道具版ってとこだろう。味方にいるととても心強いスキルだな。
「シーツァハドンナスキルヲ選ンダノ?」
「オレハ【蒐集】ト【武具作成】ダ。ソレト詫ビガワリニ君ト同ジ【幸運】ヲ貰ッタ」
「【蒐集】ッテドンナスキルナノ?」
「倒シタ敵ノスキルヤ素材ヲ手ニ入レルスキルダヨ。ソレヨリ今日ハモウ寝ナイカ?流石ニ疲レタヨ」
いろいろ質問をしたそうな顔をしていたソーラに疲労を理由に提案してみると、割とあっさり賛成してくれた。
ただあばら家等寝る場所がみんな焼け落ちていた為、空いているスペースに【土魔法】で俺の身長より高い土製のかまくらを作り、中に森林狼から剥ぎ取った毛皮を敷き二人で寝ることにした。
ソーラは嬉しそうに毛皮の上に寝転ぶとすぐに寝息をたて始めた。
やっぱり疲れていたんだろうな、いつ食べられるか分からない状況で精神的な疲労がかなり溜まっていたんだろう。それに自分を育ててくれてた大人ゴブリンも死んじまった訳だしな、よく壊れなかったもんだ。
さて、俺も今日は流石に疲れたな。【武具作成】を使わなくても余裕で寝れそうだ。
俺も毛皮の上に寝転ぶと隣で眠るソーラを見る。
隣で寝ているのは女の子のはずなんだけどなー、見た目がゴブリンだからかまったくと言っていいほどドキドキしないな。
そんな事を考えていると次第に睡魔がやってきたので、それに逆らうことなく俺は眠りについた。
今回は会話が多いせいでかなり読みにくいと思います。前にも書きましたが、喋っている言葉がカタカナなのはゴブリンのしわがれた声を表現するために使っています。ご理解のほどお願いします。
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