114話 ステータスを確認するようです
シーツァが目覚た次の日、自室のベッドの上でシーツァは1人ステータスのチェックをしていた。
「んー、やっぱり最近は戦ってはいるけどほとんど倒してないからレベルが全く上がってないな……」
そう1人呟くシーツァ。
実際の所シーツァが墓参りに行った時はソーラが冒険者を殺し、ゴブリン達に訓練を施していた時も止めはゴブリン達、海に遊びに行った時に現れたホエールシャークはシリルが気合い一閃と振り下ろした拳の一撃で殺し、ケツァルコアトルの時は模擬戦故に命のやりとりはしていない、獣魔軍団の生き残りを全滅させたのもゴブリン達、シーツァが生前住んでいた日本から召喚された横嶋 意との戦いはなんとか逃げてきたというのが正しい。
詰まる所シーツァはここしばらく経験値を一切手に入れていなかった。
「んーとりあえずステータス見てみるか。レベルは上がってないけどあんだけ戦ったんだからスキルレベルは上がってるだろ」
名前 シーツァ ♂
種族 鬼族:戦鬼
状態 健康
Lv 61
HP 4094/4094 (+3500)
MP 4493/4493 (+4000)
攻撃力 3541 (+3000)
防御力 3974 (+3500)
魔力 4466 (+4000)
魔抵抗 4475 (+4000)
速度 4970 (+3500)(+5)
運 571 (+140)
特殊スキル
【異世界言語】【スキル習熟速度倍加】【王の加護】【蒐集Lv.2】【異次元収納】【看破】【特殊武具作成Lv.8】【複製転写Lv.5】【眷属召喚】【転移】【仲間の絆】【霊体化】【迷宮適応Lv.1】【群体】【感染】【素戔嗚】【伝播】【鼓舞Lv.2】【鬼人化】
強化系スキル
【最大HP超上昇Lv.7】【最大MP超上昇Lv.8】【神力Lv.6】【城壁Lv.7】【魔神Lv.8】【韋駄天Lv.7】【幸運Lv.7】【消化吸収強化】
攻撃系スキル
【猛毒撃Lv.1】【投擲Lv.10】【強痺撃Lv.1】【精密射撃Lv.10】【眠撃Lv.6】【突進Lv.10】【竜の息吹:炎】【飛斬剣Lv.8】
防御系スキル
【防音Lv.7】【状態異常無効】【絶対防御Lv.5】【気配察知Lv.7】【気配遮断Lv.8】
魔法系スキル
【回帰魔法Lv.2】【物理魔法Lv.10】【消費MP1】【魔力感知Lv.8】【強属性魔法Lv.1】
武技系スキル
【剣鬼Lv.8】【盾鬼Lv.8】【弓術Lv.4】【斧鬼Lv.1】【槍鬼Lv.2】【拳闘術Lv.6】
技能系スキル
【飛行】【ジャンプLv.10】【空間機動】【蜘蛛糸Lv.10】【倍加】【威圧咆哮】【騎乗Lv.8】【人獣一体Lv.3】【鷹の目Lv.9】【調教Lv.9】【上位アンデッド作成】【中位アンデッド作成】【下位アンデッド作成】【浮遊】
自己回復スキル
【HP自動大回復Lv.3】【MP自動大回復Lv.4】【超再生】
称号
【スキルコレクター】【竜の討滅者】【大鬼殺し】【不死殺し】【人類殺し】【人類の天敵】【魔物の天敵】【ハーレム野郎】
「やっぱりか。しばらくステータス見てなかったからわかんなかったけど結構いろいろとスキルレベル上がってるな。たぶんあの自称主人公との戦いがメインだろうけど……。にしても最近ゴブリン達の分とかかなり武器とか防具作ったりしてるから【特殊武具作成】がレベル8まであがってるし……。いつものアナウンス聞こえてこなかったんだけどなー」
【特殊武具作成Lv.8】
作成可能武器
木製武具 基本消費MP1
皮製武具 基本消費MP1
骨製武具 基本消費MP1
石製武具 基本消費MP1
銅製武具 基本消費MP1
青銅製武具 基本消費MP1
鉄製武具 基本消費MP1
銀製武具 基本消費MP1
金製武具 基本消費MP1
鋼製武具 基本消費MP1
魔法銀製武具 基本消費MP1
世界樹製武具 基本消費MP1
金剛鉄製武具 基本消費MP1
「あれ? おかしい、なんかおかしい。百歩譲って金剛鉄が作れるようになってるのはいいとしよう。けどなんで消費MPが1になってるんだ? たしか【消費MP軽減】はレベル9だったはず……」
1人部屋でブツブツと1人言を呟く危険人物になっているシーツァがもう一度念入りにステータスを見直す。
そこには今まであった【消費MP軽減Lv.9】の文字ではなく、【消費MP1】という驚きのスキルが存在していた。
「えーとなになに?」
【消費MP1】:MPを消費する際の量が1になる。ただし自動発動系のスキルは対象外。
「はいおかしい、何このバグスキル。つまり魔法とか武具作成の時の消費MPが1になると。大変ありがたいスキルだけど自動発動の【超再生】は対象外か。まあ、あれまで対象内だったらえらいことになるな。限定的な不死だし」
実際【超再生】が【消費MP1】の対象だった場合、シーツァは全身を粉々に吹き飛ばされでもしない限り即座に再生する非常識な存在になる。
頭を吹き飛ばされても死なない等既に人間を止めていると言っても過言ではない。まあシーツァは人間ではなく魔族なのだが……。
ただ、現在のシーツァでは頭を吹き飛ばされた場合仮にMPが満タンだったとしても死亡する。幾度となく救われてきたがそれでも【超再生】は燃費の悪いスキルだった。
「さて、とりあえず新しく作れるようになった金剛鉄で武器でも作ってみるか」
シーツァがいつも通りの手順で武器を作り出す。
新しく作り出したのは金剛鉄の槍。
シーツァが【看破】を使い調べたところ魔法銀製の武器よりも切れ味が良く、とても頑丈らしい。逆に重量が若干増しているというデメリットがあった。
「んー、少し重くなってるけど魔法銀が軽すぎたから俺にはちょうどいいか」
ベッドから降りたシーツァが試しに槍での連続突きを何もない空間に放つ。
スキルの後押しもありシーツァが放つ突きは槍の残像すら生み出し、かなりの速度である事が窺える。
「んー、やっぱり少し速度は落ちてるけど威力は上がってそうだなー」
連続突きの速度を落さずに続けながらシーツァが呟いていると、スポッっと気の抜ける様な音と共にシーツァの手から槍がすっぽ抜けて部屋の壁を貫通し廊下に飛び出していった。
あまりの唐突な出来事にシーツァの思考がフリーズし、槍の通り過ぎていった穴を呆然として見続ける。
「やばっ!? あの切れ味だ、外に誰かいたら大変なことになる!」
呆然から立ち直ったシーツァが大慌てで部屋の外に飛び出す。すると幸いな事に廊下には誰もおらず、代わりにトモエの執務室の壁にシーツァの部屋に新しく出来た穴と同じ物が開いていた。
「ヤバい……! 外に誰もいなかったのは良かったけど更にヤバい! とりあえず逃げ――」
「あ~か~つ~き~……」
「ヒィッ!?」
部屋に開いた穴から聞こえる地獄の底から響く低い声にシーツァが短い悲鳴を上げると共にその全身が総毛立つ。
体がまったく言う事を聞かず、シーツァが直立姿勢で硬直していると執務室の扉がギギギと普段は立たない音を立ててゆっくり開き始める。
扉が開くにつれて部屋の中から溢れ出る魔力は恐怖心を更に高め、シーツァは滝の様に溢れ出す冷や汗で全身をぐっしょりと濡らしていた。
やがて執務室の扉が完全に開き、そこには1振りの槍を握りしめた魔王がまるで幽鬼の様を連想させる瞳から光が消えた表情で立っていた。
「あ~か~つ~き~……」
「ヤ、ヤアトモエサンゴキゲンイカガ?」
「最悪よ、執務に追われてクソ忙しいってのにどこかの誰かさんがこんな物飛ばしてきてくれたからね……」
シーツァが部屋の中に視線を向けると、トモエの執務机の後ろの壁にはとても見覚えのある穴が開いている。
イスが横倒しになっており、飛んできた槍を慌てて避けたトモエが椅子と共に盛大に倒れた事が容易にうかがえた。
部屋で起こった出来事を理解したシーツァから流れる冷や汗の量が更に増す。既にシーツァの足元には冷や汗成分100%の水溜りが形成され始めていた。
「悪かった! 別にわざとじゃないんだ! ただ新しく作れるようになった武器の取り回しを確認してただけなんだ」
「そう、わざとじゃないのね。ならいいわ」
ニコリと笑うトモエにシーツァはホッと溜息を吐く。
しかしシーツァは気が付いていなかった。トモエの瞳の光が消えたままでまったく笑っていないことに。
「なんて言うと思ったかーーー!! そんな物騒な物部屋ん中で振り回さないでよこの馬鹿ーーーーー!!」
「ギャァァァーーーーーーーーーーース!!」
トモエからの一切容赦のない制裁にズタボロになったシーツァ。気絶する直前シーツァは日本にいた頃にも余計な事をしてトモエに制裁を受けていた事を思い出していた。
そしてトモエの制裁で重傷を負ったシーツァは再びベッドの上の住人となるのであった。
作者 「日本にいた頃よく怒られてただろ? 部屋の中で物を振り回すなって」
シーツァ「新しい武器を試してみたくなるのは仕方がないと思うんだ」
トモエ 「あんた反省していないのね?」
シーツァ「いえ、滅相もない。反省しておりますですはい」
今回ステータスの話がメインなのでかなり短かったと思います。
ただ、これはやっておかないといけないと思ったのでやりました。レベル自体は上がってないですがステータスが上昇している所為でシーツァのチートレベルが更に上がっています。
正直【消費MP1】とか反則もいい所ですが、今回は相手の方が反則ですのでお目こぼし下さい。
もっと強くなってあの自称主人公を倒してもらいたいものです。
因みに作れる武器の素材ですが、アダマンタイトの上はオリハルコンです。登場するかは未定ですが……。
ここまでお読みいただきありがとうございます。