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生きるために強くなる ~だってゴブリンに転生しちゃったし~  作者: ミジンコ
最終章 ゴブリンと最終決戦と生きるために強くなる
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108話 一触即発のようです

ちょっと前半ルビ多くて読みにくいかもしれませんがご了承ください。

 ケツァルコアトルとの手合わせから約1ヶ月、特に何かが起こるでもなかった魔族大陸でシーツァ達は今日も己の鍛錬とゴブリン達の強化を行っていた。

 シーツァ主催の訓練(シーツァズブートキャンプ)によってゴブリン達はどんどんその力を増していき、いつのまにか最初からゴブリンソードマンであったブラン……ではなく長老(年老いたゴブリン)ことウルはゴブリンシールダーから何度か進化をした結果ゴブリンキングにまで成長しいる。

 他にも接近戦部隊(ウォリアーズ)のブランはゴブリン聖騎士(パラディン)弓隊(アーチャーズ)のナイプはゴブリン魔射手(フリーシューター)治療部隊(ヒーラーズ)のヒララはゴブリン女教皇(ハイプリエステス)魔法部隊(マジシャンズ)のフラムはゴブリン大魔術師(アークウィザード)等、部隊の面々よりも1段階上であったり、特殊な進化を遂げていた。相変わらず魔法部隊(マジシャンズ)はフラムの1人部隊ではあるが……。

 そして接近戦部隊(ウォリアーズ)の面々はゴブリン将軍(ジェネラル)が3体、残りのゴブリンソードマンに進化した者はゴブリン上騎士(ハイナイト)に、ゴブリンシールダーに進化した者はゴブリン守護者(ガーディアン)になり、この部隊だけで以前シーツァが滅ぼしたアクドスの軍勢を完膚なきまでに叩き潰せるだけの力がある。

 弓隊(アーチャーズ)はナイプを除く全員がゴブリン狙撃手(スナイパー)に進化し全員が習得したスキルにより長距離射撃を行えるようになった。

 治療部隊(ヒーラーズ)はヒララを除く全員がゴブリン主教(ビショップ)に進化し、その回復魔法の威力を大幅に強化しており、切断された四肢程度なら復元できるまでになっていた。

 このように訓練(シーツァズブートキャンプ)を受けたゴブリン達はもうかつての弱く醜い姿のゴブリンではなく、人間に近い姿をもつどこに出しても恥ずかしくないだけの力を持った軍団と化していた。


 そして事が起こったのはある日の日中、この日は何度か行っているウルの指揮訓練で、ゴブリン達だけで狩りに行くことになっている。

 最初の内はシーツァ達もウルの指揮訓練に同行し危なくなった時に手助けをしていたが、今ではウルの指揮だけでも十分に力を発揮できるまでになっていた。


 そして今日もウルに指揮を任せシーツァ達は執務室で魔王軍の雑務を行っていた。

 トモエの執務机には魔王であるトモエの印が必要な書類だけでも2つほど山が作られており、それ以外の簡単な認可や報告等の書類もシーツァ達の執務机に山を形成していた。


「あー、書類が多すぎるわ……。めんどくさい……」


「それは俺のセリフだ。なんで俺が書類仕事なんかせにゃならんのだ」


「しょうがないでしょー、仕事が溜まってたんだからー。私だってできるならこんな仕事したくないわよ」


「そう言わないで下さいましトモエ様。これも魔王軍を預かる者として必要な事なのですわ。(わたくし)もお手伝い致しますからがんばりましょう」


 このトモエの部屋にいるのは魔王であるトモエ、その側近扱いになっているシーツァ、四魔将のチャルチウィトリクエ(ドMの変態)である。ソーラとアイナは書類仕事のできないシリルのお守として共に街に遊びに行っている。


「これはケツァルコアトルからか、えーと何々……。武具の補充か。そういえばあいつの竜魔軍団は生粋のドラゴンだけじゃなくてドラゴニュートやリザードマンもいたっけか。トモエー、武具の補充なんだけどさー」


「あー、そっちの書類は全部2人の采配に任せるわ。正直こっちの書類で手いっぱいだし」


「わかった。それじゃあ俺のスキルレベル上げも兼ねて作っとくわ」


「よろしくー」


 トモエの了解も得た事でシーツァは解決した書類を箱に入れ次の書類に取りかかる。

 今度はポーション等の回復薬の補充の要望であった。

 シーツァが指揮するゴブリン達は女ゴブリンのほとんどが治療部隊(ヒーラーズ)という事もあり回復薬を使う事もほとんどないのだが、他の軍団ではそうもいかないらしく訓練の際にでる怪我人の治療にも回復薬が使われていた。


「あー、これはソーラに頼んでスキルで作ってもらうか」


 そう呟きながら書類を解決箱に入れた時トモエの部屋の扉が大きな音を立て勢いよく開いた。


「た、大変ですトモエ様! 獣魔軍団の生き残りが暁さんのゴブリン達と一触即発な雰囲気になっています!」


 そういって駈け込んで来たのはつい先程睡眠を取るために自室に戻ったはずのトラソルテオトルだった。

 トモエがシーツァ達と遊んでいる中トラソルテオトルは1人休む事なく執務を行っており、ふとトモエが最近すっかり忘れていたトラソルテオトルを思い出し執務室に足を運ぶと、そこには淫魔族にもかかわらずアンデッドを連想させる幽鬼の様な、今にも倒れそうな顔をした彼女が黙々と執務机に座り作業をしていた。

 その姿に流石に悪いと思ったのか、トモエはトラソルテオトルに寝てくるように促すと共にいたシーツァと通りがかったチャルチウィトリクエを巻き込んで溜まった仕事の処理を始めたのが先程までの事。

 現在部屋に駆け込んできたトラソルテオトルはだいぶ慌てていたのか自分が疲弊している事すら忘れている様だった。


「なんでそんな事になっているのよ」


「わ、わかりません。私が自室に戻ろうと廊下を歩いていると外から言い争うような……、いえどちらかといえば一方的に馬鹿にするかのような声が聞こえてきたのです。気になって覗いてみたら獣魔軍団の生き残りが暁さん配下のゴブリン達に絡んでいたのです」


「ったくあいつらは……。ウェウェコヨトルがいた時からちょくちょく素行の悪さで問題を起こしてたけど、統率する者がいなくなって更に悪化したのかしら?」


「はい、時々他の軍団、特に鳥獣軍団方から苦情が来ていますね。陳情書が来ていたと思いますが……」


 「ちゃんと書類仕事してないから知らないんですよ」と言いたげなトラソルテオトルの視線からふいっと顔を逸らして逃げるトモエ。どうやら仕事をさぼっていた自覚と罪悪感はあるらしかった。


「で、どうするんだよ。流石に大事な配下を馬鹿にされて黙ってる気はないぞ」


「そうね、この際問題の目は摘んじゃいましょうか」


 トラソルテオトルの証言にあった場所にシーツァ達が向かうと、そこでは確かに一触即発と言ってもいい雰囲気でにらみ合ったいる獣魔軍団の生き残りとゴブリン達であった。

 と言っても罵声を浴びせ続けているのは獣魔軍団の方でゴブリン達は皆我慢し耐えているようである。

 何人かのゴブリンがシーツァ達の姿を見つけ安堵の表情を浮かべた。


「ウル、どうなってるんだ? 状況を説明してくれ」


「我等が王より命じられた本日の訓練に向かおうとした際彼等と出くわしました。かなりの人数が出て来た事から待ち伏せていたのではないかと思われます。そして我等に向かい罵詈雑言を浴びせてきたのです」


「なるほど、よく耐えた。大変だっただろう?」


「いえ、我等の行動で王の顔に泥を塗る事にもなりますれば」


 シーツァがゴブリン達とやりとりしている中、チャーチを伴ったトモエは獣魔軍団の生き残りと対峙していた。


「それでアンタ達、なんでゴブリン達に絡んでいたのかしら?」


「ああん!? なんだこのチビは!? 俺たちゃあの身の程知らずのゴブリン(ゴミ)共に教育してやってただけだぜ? あんなカス共が俺達みたいなエリートの教育を受けれるんだから泣いて喜ぶべきだろーがよ」


 ギャハハハ、と他の者達も笑い声を上げる。全員トモエが魔王である事には気付いておらず、嘲りの視線を向ける者も少なくなかった。


「そう、こんな馬鹿共を統率できていたウェウェコヨトルを始めて尊敬したわ。私だったら1秒たりとて生かしてはおかないし」


「チビガキ風情が何生意気な事言ってやがる! ぶっ殺されてーのか!」


「もういいわ」


 そういうとトモエが【時空間魔法】を発動し辺り一帯を白一色の亜空間に切り替える。

 突然の事態に動揺する獣魔軍団にトモエが冷ややかな視線を向けた。


「暁、許可するわ。どんな方法でもいいからこの馬鹿共を皆殺しにしなさい。やり方は問わないわ」


 チビと言われた事が非常に腹立たしいのか、怒りにまかせて漏れ出す可視化できるまでに濃密な魔力にシーツァは冷や汗を掻く。

 幼馴染の正確をよく理解しているシーツァはトモエと敵対した獣魔軍団に若干の同情も無い訳ではないが、それでも自分の大事な大事な幼馴染兼お嫁さんと大事な配下を侮辱された事に対する怒りの方が強かった。


「任せろ。あの獣魔軍団(馬鹿共)は例外なく皆殺しだ。ウル、戦闘準備だ」


「仰せのままに我等が王よ」


 こうしてゴブリン達にとって始めたの軍団戦が始まろうとしていた。

作者  「書類仕事は大丈夫なの?」

シーツァ「今は忘れさせてくれ……」

作者  「まあそのなんだ……、がんばれ」



次回は殲滅戦です。軍団戦ですが殲滅戦です。獣魔軍団の生き残りは誰1人として生かす事はしません。

元々ウェウェコヨトルの威を借るだけの者達でしたがある意味ウェウェコヨトルのおかげでそこまで暴走する事はありませんでした。

しかし束ねていた者が死亡し箍が外れて今回の事件が発生しました。

因みに今まで被害を受けていたのは鳥獣軍団だけで竜魔軍団に被害はありませんでした。

だって竜魔軍団は皆精鋭揃いで強いからです。鳥獣軍団も強力な力を持った者もいますが、竜魔軍団には及びませんし偵察が主任務の者は戦闘能力はからきしです。

いやー、獣魔軍団の小物っぷりが良く解りますね。


因みにゴブリン達が進化の際に得たスキルです。

ウル  【王の加護】【神力Lv.1】【城壁Lv.1】【魔神Lv.1】【韋駄天Lv.1】【盾鬼Lv.1】【絶対防御(フルガード)Lv.1】【マジックシールドLv.1】【鼓舞Lv.1】


ブラン 【倍加(ブースト)】【神力Lv.1】【城壁Lv.1】【韋駄天Lv.1】【突進(チャージ)Lv.1】【飛斬剣Lv.1】【剣鬼Lv.1】【盾鬼Lv.1】【絶対防御(フルガード)Lv.1】


ナイプ 【神力Lv.1】【韋駄天Lv.1】【弓鬼Lv.1】【長距離射撃Lv.1】【精密射撃Lv.1】【自在射撃Lv.1】【気配察知Lv.1】【気配遮断Lv.1】


ヒララ 【城壁Lv.1】【魔神Lv.1】【最大MP大上昇Lv.1】【回帰魔法Lv.1】【結界魔法Lv.1】【消費MP軽減Lv.1】


フラム 【魔神Lv.1】【火炎魔法Lv.1】【水流魔法Lv.1】【氷結魔法Lv.1】【土流魔法Lv.1】【旋風魔法Lv.1】【消費MP軽減Lv.1】


ゴブリンジェネラル 【神力Lv.1】【城壁Lv.1】【剣鬼Lv.1】【盾鬼Lv.1】【統率】【絶対防御(フルガード)Lv.1】


ゴブリンハイナイト 【神力Lv.1】【城壁Lv.1】【剣鬼Lv.1】【盾鬼Lv.1】【絶対防御(フルガード)Lv.1】


ゴブリンガーディアン 【城壁Lv.1】【盾鬼Lv.1】【絶対防御(フルガード)Lv.1】【マジックシールドLv.1】


ゴブリンスナイパー 【韋駄天Lv.1】【弓鬼Lv.1】【長距離射撃Lv.1】【精密射撃Lv.1】【気配察知Lv.1】【気配遮断Lv.1】


ゴブリンハイプリエステス 【城壁Lv.1】【魔神Lv.1】【回帰魔法Lv.1】【消費MP軽減Lv.1】


全体共通スキル 【群体】【状態異常無効】


異常なまでに強くなっていますね。これは覚えた時の数値であり、成長に従ってスキルレベルも上がって行きます。しかしこれだけ強くなっても竜魔軍団には手も足も出ません。素のステータスに差がありすぎますので。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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