10話 助け出したらご褒美がでたようです
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3/20計算ミスしていたステータスを修正しました。
3/22【複製譲渡】を【複製転写】に修正しました。
目の前に広がる巨大な蜘蛛の巣。その巣にくっついている蜘蛛の糸で出来た繭が11個。その中の一番左にある繭に近寄り再度看破を使い確認した。
よし、中にいるのはソーラで間違いないな。HPは半分近くまで減っていて、麻痺の状態異常になったままだけど、命に別状はなさそうだな。早く出してやるか。それにしても、どーやって助け出すか……。あの繭があるのがだいたい地上4mってとこか。それぐらいの高さだったら【ジャンプ】と【立体起動】使えばどうとでもなるんだが、蜘蛛の巣って縦糸は蜘蛛自身が移動の為に使うから粘着力は無いけど、横糸は粘着力があるはずなんだよなー。ただ単に飛びつくだけじゃ俺が巣に絡め捕られて救助者から被害者に早変わりしそうだし……。どうしたもんかな、何か使えるスキル無いかな。とりあえず粘着力さえなくなればいいんだから何か葉っぱか土でもぶっかけてやれば粘着力なくなるか……な……あっ!
【土魔法】があることに気が付くとすぐさま魔法を使おうと右手をソーラのいる繭のすぐ右あたりを狙うように突き出した。
で、魔法ってどうやって使うんだ? とりあえず意識を集中して、蜘蛛が撃ってきたような土の弾丸をイメージしてみるか。手はイメージしやすいように銃みたいな形にしてっと。
すると、指の先に小さい1発の土の弾丸が作り出された。その弾丸を打ち出すようにイメージすると、巣までまっすぐ飛んでいき、狙っていた繭のすぐ右側に着弾した。
イメージ通りにいったな……。てことは、この世界の魔法はイメージさえうまく出来れば結構自由度が高いのか? それなら、手から大量の土が噴出しているようなイメージで魔法を使えばうまく繭の周りの粘着力のある糸を無力化できるんじゃないか? 早速試してみるか。
再度手を繭に向けて突き出すと目を閉じて頭の中でイメージを映像にいていく。
そしてイメージ映像が明確になると手から大量の土が繭を含めた周囲に降りかかっていく。横糸に付着した土はそのまま糸にくっつき、粘着力を殺していく。
これで足場ができたな。早いとこ助け出すか。
スキルを使い近くの木の幹を足場に繭の所にたどり着くとすぐに骨の小剣+16を構える。
目の前の繭を中にいるソーラを傷つけないように細心の注意を払いながら骨の小剣+16で切りつける。すると以外にもあっさりと糸を切断することができ、中に捕らわれていたソーラを確認することが出来た。
意外だな……蜘蛛の糸ってかなりの強度があるって何かで見た気がするんだ……。それとも、この小剣の切れ味のが良かったのか? まあ、何にせよ手間が省けて良かった。
上から下まで一直線に切り開くと、中で麻痺した体のままなんとか視線をこちらに向けてきたソーラと目が合った。
「助ケニ来タゾ。モウ大丈夫ダ」
ソーラに話しかけながら繭から出してやると安心したのかそのまま気を失ってしまった。
あら……気を失っちゃったか。まぁ仕方ないか、何時食べられるかも分からない状況で閉じ込められてたわけだからな。ずっと気を張り詰めてたんだろ。
ソーラをお姫様抱っこのような形で抱えると近くの木の幹を足場にして勢いを殺しながら着地した。
さて、どうしよう。このまま連れて帰るにしても、麻痺したままじゃ俺が背負っていかなきゃならないし、敵が一切出てこないならそれでも問題はないが森林狼あたりが出てくると逃げ切れる自身はないな。
そう考えながらあたりを見回していると不意に草むらが鳴った。ソーラを地面にそっと降ろし、骨の小剣+16を構えていると大きさ約1m程の手足の生えた金色の傘のキノコが姿を現した。
なんだあれ。キノコ? 手足が生えてるって事は魔物ってことか? とりあえず調べるか。
名前 無し ♀
種族 魔茸族:ミラクルマタンゴ
状態 健康
Lv 1
HP 1/ 1
MP 1/ 1
攻撃力 1
防御力 1
魔力 1
魔抵抗 1
速度 1
運 1
スキル
【回復魔法Lv.1】【物理魔法Lv.1】【複製転写Lv.1】
なにこれ? こんな弱いとしか言いようがないステータスでよく生きてられたな。スキルを3つも持ってるし、しかも【回復魔法】とかタイミング良すぎるだろ。
とりあえず、さっさと殺してスキルもらうか。
驚きで固まってた体に活を入れ、一足飛びで距離をつめて縦に切り裂く。何の抵抗も無くあっさりと2つに分かれたキノコの体が光に包まれてそのまま粒子となって消えていった。
キノコがいた場所には30cmほどの大きさの縦に2つに切り裂かれ、魔物の時とは違い手足の無い金色の傘のキノコと小さいこれもやはり金色のビー玉のような物が落ちていた。
経験値を1手に入れました。
スキル【回復魔法Lv.1】を習得しました。
スキル【物理魔法Lv.1】を習得しました。
スキル【複製転写Lv.1】を習得しました。
ああ、経験値は1なのね。まあ経験値よりも有益なスキルが手に入ったからよしとするか。
早速【回復魔法】でソーラの麻痺と減ったHPを回復してやるか。
地面に横たわるソーラの元へ向かうと両手をかざし、麻痺が治るようにイメージしながら魔法を発動させようとするが、発動した様子は無く麻痺が治る様子も無かった。
やっぱり漠然としたイメージじゃ無理があったか。そもそも麻痺毒がどう作用して体を痺れさせてるのか分からないからなー。ここはいっそゲームの魔法みたいに魔法名を口に出せばいけたりするのかな? 魔法ってファンタジー系のゲームだと当たり前のようにあるからイメージしやすいだろ。
「【解麻痺】!」
魔法名を口に出して唱えてみると先ほどは発動しなかった魔法が発動し、ソーラの体を淡い光が包み込んだ。すぐさま看破で確認すると麻痺が治っており、状態も麻痺から健康に変わっていた。
そのままHPも回復させてやると、しばらくしてソーラが目を覚ました。
「ン……此処ハ……私蜘蛛ニ捕マッテ……」
「大丈夫カ? モウ蜘蛛ナラ倒シタカラ安心シロ」
まだ意識がはっきりしていないのか声に力が入っていないが、こちらを見ると目じりに涙が浮かんできた。
「ワ……私……モウ駄目ダッテ思ッテタ。コノママ蜘蛛ニ食ベラレルンジャナイカッテ……ウ……」
「ウ?」
「ウワァァァアァアァアア! 怖カッタ! 意識ノアルママ食ベラレルンジャナイカッテ! ゴブリントハイエ折角転生デキタノニ!」
俺の胸に顔を埋め、泣きながら我慢していた感情を吐き出していた。
ん? なんか今聞き捨てならない台詞が聞こえてきた気がしたが、今聞くのは無粋ってやつか。
しばらく泣き続けると次第に泣き声は落ち着いて、しゃくりあげるように変わり少しすると完全に泣き止んだ。
「落チ着イタカ?」
「……ウン。アリガトウ、助ケテクレテ」
「イヤ、俺モ助ケラレタカラナ。君ガ見ツケテクレナカッタラ死ンデイタカモシレナイシ。オ互イ様ダ」
「ソッカ。ソレデモ、助ケテクレテアリガトネ」
「アア、ソレジャ村ニ帰ロウカ」
この体になって初めての心からの感謝の言葉に気恥ずかしくなってソーラの手を取り立ち上がると、照れ隠しなのかまくしたてるように帰ろうと促した。
そしてソーラの手を取り、村を目指して森を歩き始めた。
現在のステータス
名前 シーツァ ♂
種族 小鬼族:ゴブリンソードマン
状態 健康
Lv 12
HP 50/50
MP 40/40 (+15)
攻撃力 72 (+15)(+20)
防御力 23
魔力 21
魔抵抗 19
速度 39 (+15)
運 80 (+60)
スキル
【異世界言語】【看破】【スキル習熟速度倍加】【異次元収納】【蒐集Lv.2】【武具作成Lv.3】【幸運Lv.3】【防音Lv.1】【消費MP軽減Lv.3】【最大MP上昇Lv.3】【ジャンプLv.4】【剣術Lv.3】【俊敏Lv.3】【強力Lv.3】【立体起動Lv.3】【HP自動回復Lv.2】【MP自動回復Lv.2】【蜘蛛糸Lv.5】【毒撃Lv.2】【投擲Lv.4】【痺撃Lv.4】【土魔法Lv.3】【盾術Lv.2】【回復魔法Lv.1】【物理魔法Lv.1】【複製転写Lv.1】
装備
骨の小剣+16
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、ソーラはヒロインです。見た目ゴブリンですがヒロインです。大事なことなので2回言いました。