102話 海で楽しく遊ぶようです その2
上を見上げれば青い空、白い雲、そして輝く太陽。
そして目線を下に下げればキラキラと太陽光を反射している青い海、白い砂浜、真っ黒に焦げているボロ雑巾。
トモエの生み出した小さな太陽が直撃した結果シーツァは全身余す事無く真っ黒焦げになり、その周囲の砂浜も砂が溶けてガラス化していた。
半ば黒焦げの焼死体と化しているシーツァとその傍らに立っているトモエの元を目指して5人の女の子が互いの水着姿を褒め合いながら歩いてきた。
「あらあら~、シーちゃん黒焦げねぇ~」
「がぅ、生きてるのか? シーツァ」
「多分トモエさんも手加減してると思うから大丈夫だと思うよ?」
「旦那様ったらあんなに黒焦げに……。私もあんな姿になるような火力で旦那様に焼かれたら……ハァハァ……」
黒焦げになって倒れているシーツァを前にしてもあらあらといつものペースを崩さないアイナに、しゃがみこんでどこで拾ったのか木の枝で焼死体を突くシリル。トモエと出会ってからのシーツァとのやりとりを見て今回もその延長だろうと予測しているソーラは念の為と【回帰魔法】で治療を開始する。
チャーチはいつもの様に妄想しては興奮し、そのスタイルの良い体を抱きしめて悶えており、駄女神ことイリスは砂浜に転がり腹を抱えて笑い過ぎたのか酸欠状態に陥っていた。
「キャストオフ! みんな水着に着替えて来たんだね! みんな良く似合ってるよ! やっぱり俺の目に狂いはなかった!」
黒焦げの殻を勢いよく破って立ち上がり、すぐ目に入ってきたソーラ達の水着姿を褒める。
シーツァに見られていない時は平気だったソーラ達もいざシーツァに見られるとなると初めて着る水着に恥じらいを隠せないでいた。
アイナは黒いビキニに同じ色のパレオを、シリルは空色と白色のボーダータンキニ、イリスは紅いワンピース、そしてソーラはトモエと対となる白いスクール水着、通称白スクを着ていた。
トモエと同じようにその胸には白いゼッケンがあり、『6-1 そーら』と書かれている。
「ねぇシーツァ、この水着なんだけどやっぱり恥ずかしいよ。これ学校指定の水着だよね? 色は違うけど」
「ああ、それは俺もアニメやゲームの中でしかお目にかかった事のない白いスクール水着、通称白スクだ。ソーラの様な可愛い女の子が着ているのを実際にこの目で見る事が出来て俺は今猛烈に感動している」
目から滝の様な涙を流しながら感動に打ち震えているシーツァの姿にソーラは苦笑いを浮かべながら若干引いている。
これが地球だったら即行でおまわりさんを呼ばれているだろう。
「シーちゃん~。私達は~、どう~?」
シーツァが感動に打ち震えているとアイナが大きな胸を強調するようなポーズを取り、微笑みながら問いかけてくる。
アイナの左右にはシリルとイリスも立っており、アイナを真似してかそれぞれ違うポーズをしていた。
「ああ、アイナはいつも以上に大人っぽく見えてとてもグッドだ! シリルもいつも以上に可愛らしいぞ。イリスは純白の髪に紅い水着が映えてて綺麗だな」
「あらあら~、うれしいわねぇ~。うふふ~、シーちゃんありがと~」
「がぅ、うれしいぞ」
「もうシーツァ君ったら正直さんめー!」
アイナは頬に手を当ていつもの様に微笑んでいるように見えるが、顔が若干赤くなっており、シリルも水着に開けた穴から飛び出ている尻尾が余程嬉しいのかブンブンと振られている。
イリスは褒められ慣れていないのか顔を真っ赤にしながらシーツァの背中をバシバシと叩き、まるで大阪のおばちゃんの様になっていた。
「あの~、旦那様。私の水着は……、というかこれ水着なんですの? 私には紐にしか見えないのですけれど……」
ようやく立ち直ったチャーチが恥ずかしそうにしながら体の大事な所を隠す様にしながらシーツァに尋ねてくる。
その水着はアイナと同じ黒い色をした水着とは名ばかりの……紐だった。
正確にはV字になっている細長い紐としか思えない様な布がチャーチのアイナにも劣らない豊かな胸や体の大事な部分をかろうじて隠す程度で、すこし動いただけで水着がずれていろいろな所が見えてしまう事になるのは火を見るよりも明らかだった。
「安心しろチャーチ。それはブラジル水着と言ってれっきとした水着だ」
「けれどこれは流石に恥ずかしいですわ……。こんな破廉恥極まる水着を配下もいる場所で着るなんて……。配下からの視線に耐える私を見る旦那様の視線……。旦那様にこの体を嘗め回すかの様な目で見られていると思うと私……私……!」
何時もの様に砂浜に転がり悶えて平常運転しているチャーチ。
すでに水着がずれて胸の先端が露わになっており、シーツァの目が釘付けになる。
夜の寝室で肌を重ねた事は何度かあるが、外で、しかも水着を着ているという姿がいつも以上にシーツァの興奮を煽っていた。
チャーチの胸の先端を凝視していたシーツァだが、背後から突如伸びてきた手がシーツァの顔を掴むと強制的に180度反転させチャーチの胸を見るのを無理矢理中断させてくる。「あべしっ!」と変な声を口から漏らしながら強制的に後ろを向かせれるとそこにはシーツァの首を折る勢いで振り向かせた犯人、トモエが笑っていた。
「ほら暁、チャーチにばっかり構ってないで早く遊びましょうよ。せっかく海に来たんだから」
「ああ、それじゃあみんな遊ぼうか!」
「「「「「おおーー!!」」」」」
首を元に戻しながら上げるシーツァの声に未だ砂浜で転がり悶えているチャーチを除いた5人が勢いよく手を上げながら返事をする。
ほぼ全員が海へと駆け出していく中1人チャーチだけが砂浜に取り残されていた。
「放置……、放置プレイですのね……! ああ、旦那様ーーー!」
相変わらずチャーチのドMっぷりは絶好調である。その姿を見ていた配下達は、自分達の知っている凛々しいチャルチウィトリクエとは全く違うその姿に……考えるのを止めた。
シーツァ「なんで日常的な話でいつも以上にダメージ負ってるんだ俺は」
作者 「いいだろ別に。眼福な光景が目の前に広がってるんだから。リア充爆発しろ」
シーツァ「お前が書いてるんだろうが!」
今回すこし短くなってしまいましたがきりが良かったので一旦区切りました。次回はようやく海でみんなと遊びます。ただ、私は海で遊んだ経験が殆ど無いのでそれを表現できるかが不安です。なんでこんな話を書いたんでしょうか……。
アニメやゲーム、マンガの記憶を総動員して書くしかないですね。
次回で海での話は終わらせる予定になっています。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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