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目が覚めた。
天国に行くのって、思いのほか簡単だ。
大して良いことしてないけど、大して悪いこともしていないからかな?
雲のベッド、広い空、漂う花の香り、天使たちの囁き。生前にイメージしていた天国要素は皆無だった。
その代わりに、硬いベッド、白いカーテンに仕切られた狭い天井、アルコール消毒液の匂い、電子音。おまけにいろんな線やら管が体から生えてる。
腕から生えた細い管は上から吊り下げられた袋と繋がっている。赤い液体が詰まっていて、管も赤い。
その袋をずっと見ていると喉が乾いた。
赤い液体がすっごくおいしそう。
ばか、何考えてるの。
私の手は輸血袋の方へ伸びていた。
気を紛らわせるように横を見る。彼がパイプ椅子に座って寝ていた。
二人とも天国にいるということは、私、この人と死んだの?
「さいあく」
顔がひきつる。
乱暴で根暗な男と最期を迎えたのか。さっさと輪廻転生して忘れてしまいたい。
いや、もしかして、コイツ、天使?
私、地獄に来たのかもしれない。
看護士みたいな天使が現れた。私が起きたことを確認して医者を連れてきた。
ここは総合病院の集中治療室。私は死にかけていたところをこの男に見つけられて担ぎ込まれたという。
無愛想な天使に連れられて天国にいった訳じゃなかった。ちょっとだけ安心した。はあ、と息を吐いた。




