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Daybreak?  作者: 灯妃幸
10/10

8

冷たすぎない水、おでこには熱冷ましのシートも貼ってある。

……優しい。

人間の男とは違う。父さんでも兄弟でも、今まで付き合った彼氏でも、こんなことして貰った覚えなんて無かったよ。


私が飲み干すと、彼はタオルで口元を拭いて、持ってきたお盆を下げた。そしてすぐ戻って、再び椅子に座る。

愛想がなくて無骨な男、こんなに細やかな看病を…。


「食欲は?」

仲間になった私を心配してくれているようだ。

でも、彼らが何を食べるのか。あります、と答えたら何がお盆に乗せられて出てくるのか。

私はそんなもの食べられない。

「人をたべるの?」

「血を、飲むだけだ。」

ゆっくりとした、柔らかい口調。


「ころすの?」

「殺さない。」

子どもを諭すようだった。


「お前の家族は、わるい吸血鬼が殺した。」

「そう」

どす黒い血の化け物のことだ。

「俺の仕事は、そいつを倒すことだ。」

彼が毛布をかけ直す。この人はいい吸血鬼なのだろう。

「お前は悪い吸血鬼にならないよ。」


その日を境に私はあの悪夢を見ることは無くなった。

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