エピローグ
あれからソ連軍は来なかった、
沖に残った僅かな味方の艦艇にすがりつく様に、
上陸用ボートに駆け込む、
超満員の上陸用ボートはただひたすら沖の味方を目指した、
島に残されたソ連兵とその大量の死体、
事後処理がその日から始まった、
ソ連兵は仮の宿舎に住まわせ、
死体は隊の中で住職関連の仕事をしていた人に供養させた、
戦いが終われば皆普通の人間だ、
皆で夜明けまで酒を飲んだ、
それから暫くして、
アメリカ軍と民間人が島に来た、
民間人はただ単に島の住民だったので問題ないが、
アメリカ軍は島に残った装備品とソ連兵を全て本土に運んでいく、
まるでなにかに慌ててる様な姿だ、
島にはもう宿舎や家屋以外は何も残されて居なかった、
残されたのは池田さん達の兵隊と民間人、
その池田さん達もアメリカ軍に呼び出されて本土の東京へ行くことになった、
その為私達が池田さん達を青森まで送ることになった、
その後私達は呉へ行く事になっている、
案の定池田さんは私達が見える人だった、
本人はどうせなら戦車の魂が見たかったみたいで、
46号ちゃんに殴られそうになったけど、
先輩が止めてくれた、
青森に着くまで池田さんと様々な会話をした、
満州、戦車、などなど、私達にとっては新鮮な話ばかりだった、
青森についたときは皆笑顔で艦を降りていく中、
池田さんだけが振り返って手を振ってくれた、
笑っていたけどさみしそうだった、
私達は呉へ到着すると復員のため南へ向けて出発した、
これを何往復もする、
途中で正規空母の葛城さんなどにあった、
敗戦と言う絶望の中で彼女達は常に日本の誇りを胸に宿していた、
先日なんかドックの中に長門さんが居てびっくりした、
他にも戦艦の方々が居たけど私達が点検のために来た時は、
長門が真っ先に見えた、
やっぱり日本国民に愛されて、日本の国の歴史を見てきた彼女も強かった、
まもなくするとアメリカ軍により警察予備隊が作られた、
朝鮮半島で事変が起きたそうだ、
私達もまた、その事変へ駆り出された、
久々にやる輸送船団護衛は懐かしかった、
その輸送船団を見て回ってると、
見覚えのある横顔の男性が甲板から波立つ海を見ていた、
彼も、朝鮮半島へ行くんだ………
そう思うと急に寂しくなった、
本土の警察予備隊は旧軍の装備品をそのまま支給された、
アメリカ軍には日本にあげるための装備品すら調達出来ない、
装備品の殆どを朝鮮半島の事変へ回してるからだ、
そんな激戦区へ彼はこれから行くのだ、
私は勇気を出して声をかけてみた、
「池田さん!」
「待たせ過ぎだこの野郎、なぁに、朝鮮半島でも暴れてやるよ」
いつもどおりにかっこよく決めていた、
伊吹型 ~弧雲野鶴の戦姫~
『完』