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第三話 ソ連軍ノ侵攻ヲ阻止セヨ 前編


満州にソ連が侵攻した際に、

ソ連軍や中国農民、暴民が日本人民間人の大虐殺を行っていたとの報告がとどいており、

南樺太のソ連軍侵攻に際しても民間人の避難が優先された、

自動車や鉄道は民間人で溢れかえり、

ひたすら南を目指したのだった、

島民は45~46万人、この中には季節労働者ももちろん入っている、

計画では16万人を15日間で島外へ避難させると言う急ピッチぶりである、

これにも伊吹率いる極北艦隊が駆けつけ輸送船や貨客船を護衛する事となった、

港は漁船での脱出も行われており焼き玉エンジンの独特の音が響いていた、

定員数の倍の人数を乗せた船舶は極北艦隊により護衛されながら北海道の宗谷岬を目指した、

宗谷岬には陸軍の要塞があり、そこで民間人をおろして再び西能登呂岬を目指した、

この二つの岬にたつ要塞の名前が宗谷臨時要塞だ、

西能登呂岬の十五糎加農砲四門が北への睨みをきかせ、

民間人を誘導していく、


「私達も、戦闘に巻き込まれるのかな………?」

自信なさげに第46号が呟く、


「大丈夫だよ、陸軍がソ連軍を北の方で止めてるから………」

少しずつ後半にかけて声が暗くなっていく伊吹、


民間人が桟橋を使って貨客船などに乗り込む光景をただひたすら見ていた、

するとそこに占守が転移してきた、


「どうした二人とも?怖気付いたのか?」

「いや、違うんです、最近アメリカの潜水艦がよく出没するから………」

「ふむ、なら私達海防艦をたよれ、速度は遅いが必ずやお前を守ってみせるさ」

「は、はい………」

「よかったね~伊吹ちゃん~」


肩を叩く第46号に苦笑いをみせる、

今できる精一杯の笑顔だ、


間もなく船団の準備が整った、

霧笛が響きゆっくりと再び宗谷岬を目指した、


「………私の、最後の船団護衛ね………」

「え………」

「みんなには言ってなかったけど、樺太の前線に航空支援に行く事になったの、船団護衛、任せたよ?」

「そんな………」

「大丈夫だよ、敵には航空機少ないし、」

「でも………」

「みんなを、よろしく頼んだよ?」


この日、

宗谷岬の陸軍の要塞には、

修理を終えた伊吹の艦上機が待機していた、

民間人をおろす作業を見届ける暇もなく、彼女は足早に出撃した、


私は泣いた、

純粋な意味で別れを嫌った、

海防艦の方々が励ましてくれたけど、


これが、

彼女との最後の時間だったんだなと自覚し覚悟した、

でもね、運命はやはりすごいと思うんだよね、

私なりの考えだけどね、

私、第46号哨戒艇は、伊吹ちゃんに出会えてよかったと思う、

運命に感謝しつつ、今日も波乱な船団護衛、


潜水艦なんてくそくらえ








続く

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