第二話 ソ連侵攻セリ
艦上機全てを航空基地に修理のために預け、
伊吹率いる臨時編成艦隊はこの際に本格的に再編成された、
第65号と第74号は正式に編入され、
さらに、お二方の先輩たる海防艦の、
占守型が三隻編入された
この間伊吹の格納庫は空っぽであり、
海防艦は北海道と青森の輸送船を護衛、
その際に空っぽの格納庫は航空機輸送に使われた、
船団護衛は順調であり、
不思議なくらい成功率も高かった、
なぜなら、日本の補給線の本命は南方の航路のために、
米潜水艦も南方の航路に集中してるのだ、
「「平和だな~」」
「こら、そこ、慢心するな、」
「あ、占守先輩」
「先輩と呼ぶなとあれほど言ってるだろ?」
「いや、だって………ねぇ?」
「うん、私達海防艦の先駆けでもあるし………」
「そういう堅いのはよしてさ?気軽に接してくれればいいんだぞ?」
「「は、はい………」」
今日も平和な船団護衛だった、
伊吹の航空機輸送は主に海軍は零戦、陸軍は隼である、
それでも一回の輸送でせいぜい20機ずつである、
北海道すべての地域に配備するには限界があった、
それでも少しずつ配備されていく、
基地航空隊にとってみればないよりかは頼もしいのだ、
「そういえば伊吹さんへの挨拶がまだだったな………」
「そうなんですか?先輩?」
「いやなに、編入されてから船団護衛で忙しくて挨拶してなかったのだよ、」
「みんなで行きましょうよ!占守先輩!」
「わかったから先輩と呼ぶな、いいな?」
「「で、でも………」」
「はぁ………、まぁ、好き勝手にしなさい、」
先輩はやはり懐が深かった、
たいして敵潜水艦が居ないので船団護衛中にもかかわらず、
全員で伊吹の会議室へ転移する
そして、伊吹も気配を察知し会議室へ転移した、
「皆さんお揃いでどうしたんですか?」
「いやなに、挨拶済ませておこうと思ってな、」
「そういえばお名前聞いてませんでしたね………」
「私は占守だ、よろしく」
「国後よ♪」
「は、八丈です………」
「私は伊吹です、今後ともよろしくおねがいします」
「伊吹ちゃん仲間増えたね♪」
「はい!」
第46号も一応陸戦隊用の空き部屋に物資を詰め込んでいる、
甲板にある大発にも載せてあるのだ、
そうこうしてるうちに函館へ入港、
第46号の物資と伊吹の輸送した航空機をおろし、
艦隊は再び青森の大湊を船団護衛しつつ目指したのだった、
もはや日常的であったが、
その日常も、崩れさろうとしていたのだった、
1945年8月9日午前0時、
ソ連が満州へ侵攻したのだった、
既に国の上層部はポツダム宣言を受諾しており、
ソ連領事館も電話回線を切ってあったためこの奇襲攻撃を事前に知らせる事が出来なかったのだ、
伊吹もまた、函館にて艦隊で待機していたのだ、
8月11日、
南樺太にもソ連侵攻、
函館にて待機していた伊吹率いる極北艦隊はついに陸軍の要請に応え、
函館にて抜錨、出撃したのだ、
誰にも知られない戦いが、幕を開ける