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うさぎの死んだ日

作者: 山極由磨

 家に帰ると、奥の六畳の居間に、妹の琴子が玄関に背中を向けうつむいて正座していた。


 声をかけようと思った時、琴子の方がぼくの帰宅に気付き、振り向いて言った。


「あんなぁ、お兄ちゃん、さくらなぁ、死んでん」


 へろへろの涙声、くちゃくちゃの泣き顔、たぶん何時間も泣き続けたのだろう。

 上がりこんで、琴子の傍まで近寄ると、目の前にさくらはすっかり硬くなって、座布団と、綺麗な花柄模様のハンカチの上に横たわっていた。


 去年の春、造幣局の通り抜けを会社の仲間と見に行った時、夜店で売っていたパンダ柄のミニウサギ。いつも家に一人で居る琴子の友達代わりにと、途中で拾ったまだ満開の花をつけたボタン桜の枝と共に買ってきた。


 幼い頃に両親を失い、祖母に育てられた時から引きこもりを始めていた琴子は、祖母と兄の僕しか人間、いや、極論すれば「生き物」を知らず、その数少ない自分以外の既知の存在だった祖母も他界してから、日々の生活で出会う「生き物」は僕しか居なくなっていた。


 そんな琴子の生活に、すこし変化をつけてあげようと、外界の匂いを漂わせるさくらの枝と共に一匹のウサギを持ち帰ってみたのだ。


 思惑は、気持ちのいいほど当った。すぐに彼女はウサギを気に入り、お約束の如く名前も「さくら」に決めて、念入りに世話を始めた

 もとより、琴子はそんな細々としたことが好きだった。他で漏れ聞く引きこもりの人々とは少々違い、家事一切をまるで自分がそれをするために産まれて来たかのように率先してやり、そのための研究も余念なく、テレビやネットで知識を吸収し実行に移して行くことが楽しくてしょうがないように思えた。

 そんな彼女に世話を焼かねば成らない対象を与えたやったものだから、喜ばないはずはなかったのだ。 

 しかし、それも死んでしまった。

 琴子を支えていた支柱が一本折れた。


「朝起きたらなぁ、もう冷とうなっててん、昨日は元気にエサも食べてたし、ケージから出して部屋の中ぴょんぴょん跳ねて遊んでたのに・・・」


 傍らに座り込んだ僕に向けて、でも視線はさくらの骸のほうにやったまま、相変わらずの涙声で琴子は言った。


 多分、彼女の飼育に落ち度は無かった筈だ。つまりは、所詮、夜店の商品と言うことか。でも、そんな冷淡なセリフは吐くわけには行かず、ぼくもだまって骸を眺めるしかなかった。


 四肢はぴんとまるで心棒を入れたように張り詰め、目も開いたまま、本当に魂を失ったただのボディと言う態だ。

 線香は、祖母や両親を祀る仏壇から持ってきたのだろう、小皿の上に横たえておいてあり、細い煙をたなびかせていた。

 点火されているものの他にまだ三本ほど線香は残っており、それにぼくも火をつけてさくらに備えた。神妙に合掌してみる。でもうさぎにも神や仏が居るのだろうか?


 そう思った時、ぼくの頭のなかにふと次にしなければ成らないことが思い浮かんだ。亡骸、どうする?

今季節は夏の真っ盛り、魂を失った器は直ぐに無に帰ろうとするだろう、早い話腐り始める。

 生き物が死んで腐る臭いは、それはもう壮絶だ。一度通勤途中で、ビルとビルの間にはまり込み死んでしまった猫の死体を見かけたことがあるが、その時も無数の小ハエとともに筆舌に尽くし難い香が、ビル風が巻き起こるたびにあたりに撒き散らされていた。


 そんな事を思い出しながら、喉が渇き台所に向かう。ふと冷蔵庫に貼り付けた、市が配布しているゴミ収集日の表が目に飛び込んだ


(生き物の死体の処理は、市清掃局までご相談下さい)


 悩みを一発で解決する福音かと思えた。だが直ぐにそのナイスなアイデアも、目を真っ赤に泣きはらした琴子を思い描くと一発で吹っ飛ぶ、そんなこと提案したら、火の着いた線香の一本も飛んでくるだろう。


 解決の糸口を泣く泣く放棄すると、台所に立った本当の目的を思い出し、僕には缶ビールと、琴子には彼女自身が入れた麦茶を冷蔵庫から出す。

 居間に戻り、コップに注いだ麦茶を差し出すと、琴子は無言で受け取り、涙として流した体液を取り戻すように喉を鳴らして半分ほどを一気に飲んだ。それを横目に僕もプルトップを開けた。

 一口飲んで、琴子に言った。


「さくら、どないする?」


 コップを手に、琴子はしばらくうな垂れていたが、やがてそのままの姿勢で


「お墓つくろ」


 と一言呟いた。


「何処に?この辺土のある所なんて無いぞ」

「でもな、お墓造ったげな、さくら可哀想やん」


 彼女の言う事は実にもっともだが、事実このあたりは完璧に都市化が進み、土が露出している場所はマンションの共用の庭か公共の公園程度、ウサギ一匹埋める隙も無い。

 それにしても、人間ってのはこんなに土が嫌いなのか?日本人は土によって生かされてきた農耕民族だって言うのに。それとも自分達を苦しめてきた自然に対する復讐か?


 そんな、どうでもいい思考をめぐらせていると、頭の中に一瞬輝く様なひらめきが訪れた。

 ウサギは自然の物だ、自然に帰そう。


 とっさにカレンダーを見る。明日は日曜、仕事は休み、車を飛ばして一、二時間も走ればウサギ一匹、何処に埋め様がとがめられない場所が腐るほどある。


「なぁ、琴子、さくらのお墓明日お兄ちゃんが造りに行ってくるわ、どっか緑の一杯ある所へ」

「でも、遠い所やったら、さくらと合われへんようになるやん、そんなん嫌や」

「けどな、この辺お墓造れるようなとこ、ホンマニ無いで、もし有っても野良猫に見つかって掘り起こされたら、その方が可哀想や」


 また俯いて琴子は黙り込む。口調は子供っぽくても、思考は聡明な彼女は、今、必死で考えをめぐらせているはずだ。


「それよりか、僕らしか解れへん所に、野良犬も野良猫も来ぇへん所にお墓作って、たまにお参り行くほうがええ思うけどなぁ」


 ダメ押しの一言が効いたらしく、琴子もコクリと頷いてくれた。これで一つ問題が解決したわけだ。

 と、ほっとした所で、僕の中にもう一つ素敵な思いつきがポカリと浮かんできた。さくらの死を出汁にする事になるが、もしこの思い付きが上手く行けば、草葉の陰でさくらも納得してくれるだろう。

 言葉を頭の中で上手くまとめ、思い切って琴子に言ってみた。


 「なぁ、それやったら、一緒にさくらとお別れしに行けへんか?」


 琴子は弾かれたように僕の顔を見た。我が一族の遺伝子の内、選りすぐった部分をかき集めたような容貌と僕は向き合う。


「え?」


 思いもよらぬ話の展開に、琴子の表情は悲しみから一発で驚きと当惑の色に変わった。

 それもそうだろう、十数年間この家から殆んど出たことの無い彼女にとって、僕の提案はかなり強引なものに違いない。






 琴子が、家を出られなくなってから、もう相当な時間が経つ。


 切っ掛けは両親の死だった。


 ある日曜の朝、僕らを祖母に預け二人は仲良く外出し、そのまま家には帰らず、直行で彼の世に行ってしまった。その頃、僕は九歳、琴子は六歳。


 自殺だった。役人だった父はつまらない贈収賄事件に引っかかり、責任をとるつもりで死を考え、それを不憫に思った母が一緒に天国に同行したと言うのが真相だとのこと。不幸中の幸いは二人の子供まで同行を望まなかったことだろうけど、残された僕らにもそれなりの悲劇は待っていた。


 係累の居ない小さな僕らを、大人達は腫れ物か信管の腐った地雷の様に扱い、同年代の子供達は格好の虐めのターゲットとして扱ってくれた。


 僕の場合はまだマシだった。誹謗中傷や暴力にはそれ以上の倍返しが礼儀であると幼くして気付いていたので、「自殺の子」と言って来る奴にはコンパスの手裏剣で、「おまえも親と一緒に死ね」と罵る奴には学習椅子の投擲で答えてやった。


 おかげで義務教育の期間中はどのクラスでも浮いた存在になっていたが、教師も不良もイジメグループも「切れたら何するかわからん奴」と認識してくれ、実害はほとんど無かった。


 だが、琴子の場合は別だった。元々感受性の強い子だったから、周囲のトゲやら毒やらたっぷり含んだ空気に耐えらなかったのだろう。登校を嫌がるようになり、とうとう小学校2年の春には学校に行かなくなった。

 最初は教師やら児童相談所の人間やらがやって来て宥めたりすかしたりしたが、僕らの保護者になっていた祖母のほうが、彼らの腹の底を見透かしてか来訪を断るようになり、この時点で琴子の引きこもり人生がスタートした。


 元から、彼女には引きこもりの素養があったのかもしれない、小さなころからどんな些細なことでも、どんなつまらない事でも喜び、悲しみ、泣き、笑い、悩み、思いも巡らせる。

 そんな、心の芯の部分が剥き出しになった子にとって、人間の社会は唐辛子やらメントールやらの刺激物を思い切り溶かし込んだ熱湯風呂みたいな物なのだろう。


 その上、だれも彼女のこの状態を改善し様とする者が現われなかったのも、事態の固定化に拍車をかけた。僕はまだ十代のガキで自分の事で手一杯だったし、祖母は逆に琴子の状態を歓迎していたふしがあった。息子と義理の娘を不意に奪われた老女には、幼い孫娘は格好の寂しさを紛らわせる相手だったのだろう。おかげで琴子は祖母の薫陶をよろしく受け、少々古臭くはあるが同年代の女の子に比べ物にならない知識を身に付けることが出来た。それがまた彼女が外に出る必要を益々なくしたわけではあるが。


 ともかくこうして僕らの一家は、両親の保険金、祖母の遺族年金と年金、生活保護、親戚縁者の援助などの生活原資をやりくりし、まるで世の中から隔絶されたように生きてきたわけで、こんな状態は一昨年、祖母が天寿を全うし親不孝者の息子夫婦に会いに行くまで続いたのだ。


 それからは、まるで迷宮の奥の秘宝か、大伽藍の奥の院に鎮座する秘仏の様に、世間の荒波から守られてきた琴子を守護するのは僕一人だけになった。


 ま、それとて僕自身も負担に感じたことは無く、至極当然の用に考え大学進学もあっさり諦め、十代に一通り済ますべき青春の通過儀礼もスルーパスして。彼女を養うために実社会に迷う事無く飛び込んだ。


 だから今回、さくらの死を出汁にして、彼女を外界に連れ出そうと言うのも、この生活を変えたい、終わらせたいと思ったからでは無い、ただ単純に「琴子に外の世界を見せてあげたい」という単純な発想からでた思いつきだった。


 問題は、彼女自身が同意するかどうかだが。

 

 




 しばらく僕の顔を見ていた琴子だったが、また俯いてしまった。昔から外出に関する話題が出るといつもこんな反応をした。考えたくない問題を無視するための自己防御の姿勢なのだろう。

 でも、今回はこっちも諦めるつもりは無かった。

 

「一番さくらのこと面倒見てた琴子が一緒に行って、おまつりしてあげんのとあかんのんちゃうか?」

 

 反応は無い。さらに言葉を続けた。


「人に合うのが嫌やったら心配いらへん、どっか田舎の人気の少ないところへ行ったらええ、そうや、お兄ちゃん車借りてくるから、それで行こう。」


 そこまで言うと、ぼくは温くなりかけた缶ビールに口をつけた。それに習うように琴子も霜の吹いた麦茶のコップを口にする。しばらく沈黙が流れる。

 ふと、琴子が顔を上げ、僕を見つめてきた。そして、


「お兄ちゃん、商店街行ってきて、ヒロタでシューアイス買うてきて、」



 正直、何を言い出すのかと思ったが、次の言葉で彼女の覚悟がはっきりとわかった。


「そんで、ドライアイス、余分にもらってきて、それでさくら冷やしてあげて、お墓まで連れていこ」


 慌てて時計を見る。まだ七時半、店は開いているはずだ。ぼくは急いで部屋をでて、駅前のヒロタへ向かった。






 翌朝、シューアイス三個とホットコーヒーと言う、意味不明の朝食を済ませた僕は、台所で琴子の着替えを待っていた。

 同じく朝食を済ませ、着替えるといって居間に引き込んだまま、もう30分が経つ、


 元来女性の外出支度は時間の掛かるものだが、化粧もする訳でもなければ、外出用のワードローブも一着きりしかもっていない彼女が、時間を食うのは少々おかしい、さくらの弔う準備も昨日のうちに済ませたし、ひょっとして一晩寝ているうちに気が変わったのかとも思ったりしたが、ここは落ち着いて三杯目のコーヒーでも入れてしばらく待つことにした。


 それからまた20分、やっとふすまが開き、さくらの入った白い発泡スチロールの箱を抱えた琴子が現れた。

 淡いブルーのチェック柄のワンピースに、白いコットンニットのカーディガン、つば広の麦藁帽子、それは祖母が生前、もし外出する事が在ったらと買い揃えた衣装だった。ようやく日の目を見たわけだ。


「ほんじゃぁ、行こか」


 ぼくは立ち上がり、玄関のドアを開ける。夏の朝特有の熱された空気が室内に流れ込む、

 先に外に出て、両手のふさがった彼女のためにドアを支えてやる。


 琴子の歩みは、まるで外気圧に押されているようにおずおずとしたものだったが、確実に外に向かって進んでいた。

 そして、彼女は白いサンダルを履き、十数年ぶりに外へ向けドアを潜った。

 夏の日差しのまぶしさに思わず目を伏せる。一瞬たじろぐように後ずさりして見せたが、

まるで意を決したかのようにさらに一歩足を踏み出す。


 ドアを閉め、鍵をかけた後、ぼくは琴子の肩に手をかけて共に歩き出した。もう迷うことは無くなったのだろう、彼女の歩調はぼくに同調し、アパートの外廊下を進み、階段を下る。


 朝一番でレンタカー屋に駆け込んで借りてきた、銀色のマーチのハッチバックを開け、まずさくらを積み込むと、今度は助手席のドアを開けて琴子を座らせた。


 このときの僕の格好は黒いユニクロのポロシャツにベージュのチノパン。恭しくレディーを車に乗せるその姿は、よく言えばボディーガード、悪く言えば誘拐犯か?


 調子のいいエンジン音とともに車は動き出す。助手席の琴子は窓を見ないように帽子を目深にかぶり伏し目がち、それもそのはず、外には不躾な好奇心を遠慮なく向けてくる近所のオバハンどもの姿が見えた。

 もたもたせずにともかく出発、目指すは夏の緑深い和歌山の山中だ。


 




 休日の市街地は、面白いほど閑散としていて、道も気分良く空いていたので、比較的早いうちに抜け出すことが出来た。気が付けば通称「外環状線」とよばれる三桁国道を走っていた。


 車窓に展開する風景は、田園の緑とまばらに立つ建売住宅やマンション、そして道路端の看板がちらほら程度、まったくの田舎の風景に変わっている。


 そうなると、市街地ではずっと俯いていた助手席の琴子もようやく頭を上げ、景色に興味を示し始めた。どうやら思惑は上手くいきそうだ。


 外環状線から和歌山へ向かう国道へ乗り入れる交差点の角に、コンビニを見つけたので立ち寄ることにする。よく考えればさくらのお供え物(にんじんとウサギ用のペットフードだが・・・)は準備したが、自分たちの食べるものは段取りしていなかった。


 まだ車のない駐車場にマーチを入れると、ぼくは琴子に言った。


「お兄ちゃん、お昼と飲み物買うてくるわ、琴子なんか欲しいものあるか?」


 人の気配が濃厚な場所が急に表れた事に、彼女はすこし戸惑っていたようで、なにも言わずただ首をよこ振るだけ、まぁ、だいたい彼女の好きなものは頭に入っているので、問題はない、ともかくさっさと用事をすませ出て行こうと思う。


 店内は数人の客と、バイトと思しき男女二人の店員のみ、まず飲み物のコーナーで琴子用のお茶二本と自分用一本を買い、酒類のコーナーで自分用に500ミリの缶入りノンアルコール・ビールを二缶買った。次に弁当の方を見ると、ちょうど琴子の好きそうな和風弁当があったのでそれを迷わずかごにいれ、それから自分の分を探す、基本的に肉系や揚げ物系が好きで、普段から昼にはそんな弁当を買って食べることが多いのだが、よくよく考えれば今日はさくらの葬式だと思い返し、殺生はいかんだろうと、琴子と同じ和風弁当にしてしまった。


 それからおやつや地べたに敷くシート、ウエット・テッシュなんかを買って支払いを済ませ店の外に出ると、気付かぬうちに駐車場に、ペタペタにローダウンした真っ黒なエスティマがとまっていた。で、自分の車をみると、4人ほどの男共が取り囲んでいる。


 一瞬、せっかく買ったものを落としそうになった。


 たぶん、偶然ここに来て、隣に止まっている車に女の子が一人で乗っているのを見て、ちょっかいでもかけようと思っているのだろう。


 逃げ場のない狭い空間で、ギトギトした若い男に囲まれた琴子のことを想像すると、思わず叫びながら突進したい衝動に駆られる。けど、思いとどまって両手に持った買い物を左手に持ち直し、鋭い視線を飛ばしながら早足で車に戻った。


 そのうち、一人と視線が交差する。脱色した毛、偏食が過ぎたことがもろわかりのこけた頬、挑戦的な目つきがこちらを値踏みするように注がれる。


 けど、そんなものを無視し、運転席のドアを開け後部座席に買い物積む、チラッと琴子の様子を伺う、やはり助手席の上で体を小さくちぢ込ませ、必死に外を見ないようにしていた。

 ぼくは顔を上げ、周りの連中一人ひとりをじっくりにらみつけてやった。

 すると、一人が意味不明の苦笑いを一発やると、「いこ」とほかの3人を連れ、店内に消えた。

 それでも僕は四人の背中をにらみながら、運転席に着いた。

 自慢になるかどうか解らないが、目つきの悪さには少々自信がある。

 以前、ミナミで会社の同僚と飲んだ帰り、もろ組関係と判る男に絡まれた時、一睨みして追い返した事が有った。その後同僚から「今にも殺してまいそうな目しとったで」と、評され、彼は二度と僕を飲みに誘ってくれることは無くなった。


 まだ、ある。高校生のとき、交際を申し込んだ女の子が居た。で、結局は断られたわけだが、その理由が「目が怖い」との事だった。どん底にまで落ち込んで、トイレのカガミで自分の顔を確認すると、確かに世の中のすべを恨みぬいているような、剣呑な眼が二つ、こっちを睨んでいる。腹が立って掃除道具入れからデッキモップを取り出して思い切り叩きつけて鏡を割ってやった。

 

 おそらく、両親が死んで、小学校で苛められたときに身に付いた目つきだろうと思う。

 確かに、あの頃は世の中が全部敵に思えたものだ。ま、今もあまり変わってないけど・・・・・・。






 ともかく、目的は済ましたので車を出し、和歌山へ続く二桁国道を、ときどき後方を確認しながら南下し始める。最近のガキどもは執念深く、残忍で、冷血だ。何をしでかすか解かったもんじゃない、しつこく付回し、ちょっかいをかけてくる可能性もある。


 しかし、しばらくたってもあのバカ丸出しのエスティマは追いかけて気配は無かった。ひとまず安心すると、今度は琴子が気になった。

 助手席に視線をやる、なんと琴子はこっちをじっと見つめていた。泣いては無かったが、すこし目は潤んでいた。


「こわかったんか?」


 聞くとコクリと頷いた。

 

「帰ろか?」

 

 続いて聞くと首を横に振る。


「ごめんな、独りにして・・・」


 すると、頬に髪の毛が掛かる感触がして、シャンプーの甘い芳香が香り、暖かく硬い物が僕の肩にそっと置かれた。琴子が額を僕の肩に預けたのだ。

 そのまま、腕を回し彼女の肩を抱きしめる。あまり褒められた運転姿勢では無いけど、峠越えのワインディングロードに入るまで、その状態でハンドルを取って走った。

 

 




 府県境のトンネルを越えると、道は下りに転じる。


 白々しいまでに真新しい新興住宅地を抜け、青い果実を付け始めたミカン園を過ぎ、眼前に雄大な川面が現れた。紀ノ川だ。


 ここまで来ると琴子も少し機嫌を持ち直したようで、夏の日をうけ輝く水面を、食い入るように見つめていた。


 そんな、生き生きした表情を横目で確認しながら運転していると。やはりこの目論みは間違いではなかったと確信する。さくら、お前の死は無駄にはしない!


 車一台が通れるか通れないかの、川幅の割には貧弱な橋を渡り切ると、道は線路と平行に走るようになる。けばけばしい特急列車が猛スピードで車を追い抜く、轟音に思わず琴子がくびをすくめるが、どうも興味の方が勝ったようで、走り去る最後尾の車両を見えなくなるまで見送っていた。


 線路が姿を見せなくなると、道の斜度が再び登りに転じた。今度はかなり急だ。マーチのエンジンが苦しげな唸りを上げると、ぼくはオバードライブ解除のボタンを押してやる。

とたんに元気を取り戻したように速力を増しぐいぐい上ってゆく。


 何度もカーブを繰り返す本格的な山岳ルートに入るが、琴子は車酔いをしている様子を見せ無い。府県境の峠道でも平気だったし、今も一生懸命に緑の色が濃くなった車窓の風景を眺めていた。

父親が運転するファミリアで大昔にドライブに行ったきり、車になんて乗ったことが無い子だから、当然、気分の一つも悪くする恐れもあった。


 けど、がらりと変わった環境に、ただただ新鮮な驚きを感じているので、酔う暇も無いと言った所だろう。

 これが街中のドライブならば話しは別だと思う。掃いて捨てるほどの人間で溢れかえる道を走れば、彼女はとたんに俯いて、「帰ろうなぁ」と泣き出すだろう。


 つまり、彼女は外の世界は嫌いではないのだ。ここで僕はそう確信した。人間が嫌いなんだ。


 もし、今すぐにあのぼろアパートを捨てて、どこか山奥の村にでも行って、離農した農家を借りたりして、自給自足の生活を始めてみたらどうだろう?

 きっと琴子は引きこもりを止め、畑に出ては土をいじり、ニワトリの世話をし、山に行っては山菜や草花を取ってくるだろう。

 薄暗い家の中に閉じこもらずに、春のやわらかな風、夏の強い日差し、秋の香り、冬の凍て付く空気を体いっぱいに感じながら、野山を飽きることなく歩き回る事だろう。

 其処には琴子や僕を蔑んだり哀れんだりする目や、ののしったり影口を叩いたりする口は無い。誰にでも平等な自然があるだけだ。






 そんな事を考えながら走っていると、細い道にも関わらず、何台もの観光バスとすれ違うようになった。

 ただでさえ幅が無いのに、図体のでかいバスが相手なら、道を譲ってやるのも一苦労になる。

 何度もバックや切り替えしをやりながら通してやる。殆どがクラクションや会釈、パッシングでお礼をしてくるが、三台に一台の割でまるで当然のごとく走り去るヤツがいる。

 そんなヤツは谷に落ちて死んでまえと、本気で思い睨みつけてやる。

 

 難関を幾度も通り過ぎ、やがて道端に「世界文化遺産、高野山へようお参り」と染め抜かれたのぼりが目立つようになり、何台ものバスや車をやり過ごした時、いきなり目の前に巨大な木製の山門が現れた。弘法大師、空海が開いた天空の聖地、高野山はもうすぐそこだ。


 山門の横手をすり抜けると、あたりの風景は見事なマジックに掛かったように一変する。

古めかしい山門や伽藍が立ち並び、すこし空けた車窓からは線香や高野槇の香りが流れ込み、参拝者や観光客、そして僧侶の姿があちらこちらに見られるようになる。それらに混じって学校の制服姿の一団も、たぶん林間学校か修学旅行だろう。


 当然、そんな連中(さすがに坊さんは別だが・・・)がまともに車道と歩道の区別をつけて歩いてくれるわけは無く、ハンドルワークと神経を使いながらのノロノロ走行を強いられる。これならまだ山道の方がマシと言うもんだ。


 人出が増えると気になるのが琴子の状態だ。助手席に視線を走らせる。平和そうに口を半開きにして居眠りを決め込んでいた。正直ほっとする。起きださないうちに、市街地を突破しよう。


 その内に中心市街を抜け出すことが出来た。拍子抜けするほどの早さだ。右手に巨大な土産物屋兼食堂、左手には弘法大師が眠る奥の院の森が見え、今回のドライブの目的である「高野龍神スカイライン」の看板も登場した。


 迷うことなく、看板の指示通りに右折、スカイラインに入る。


 昔は片道でも900円以上の通行料をとったぼったくりな有料道路だったが、今は改心して無料になっている。観光シーズンが終われば蛇が日向ぼっこし、鹿が運動場に使うしか用の無い道で、金儲けしようという考えが甘いことにようやく気が付いたのかもしれない。


 さっきまでの走りにくい道とは大違い、対面二車線の立派な道路が杉木立の中を走る。


 制限速度は60キロだが、自然とアクセルに力がこもり、速力を上げる。リズミカルなタイヤノイズ、心地よい振動、木々の香り、夏の日差し、少しイラついていた心も、不思議と晴れてゆく気がする。

 琴子も、まるで安全装置が解除されたかのように目を覚まし、再び流れ行く車窓の風景に釘付けとなっ

た。


「お兄ちゃん、窓もっと開けて!」


 道が谷間を離れ、稜線を走る完全なスカイラインになったとき、嬉しそうに琴子は言った。

 言われるまでも無く左右のウイィンドーを開放する。冷涼で清らかな山の空気が車内に一気に流れ込む、琴子は気持ちよさそうに目を細め、彼女の長い黒髪が風に踊った。


 フロント・グラスの向こうには果てしなく続くワインディング・ロードと、夏の緑に萌える山並み、そして空の深い蒼しかない。

 歩く人が居ないのは当然ながら、すれ違う車が一台も無い、真夏の日曜日とは思えないくらいの閑散とした有様だが、それを僕らは望んでいた。邪魔の居ない、完全な世界。


 このまま二人きりで、終わることなく、こんな道をドライブできたら・・・


 そんな妄想が心に湧き上がる。邪魔者が居ない完全に無人の世界を、果てることなく旅をするのだ。

ふと、それが不健全だと気が付き、頭から追い払う。とたんに、本来の目的を思い出した。そう、さくらの埋葬場所を探さなければ・・・。

 

 左右に視線を走らせ、適当な場所を探す。途中、幾つかベンチ付の休憩所を見つけるが、こんなところでは騒がしくてさくらも嫌がるだろう。


「琴子、自分もさくら埋める場所、探してや」


 そう言うと彼女はコクリと首を立てに振り、真剣な面持ちで車窓に見つめなおした。


 だが、20分近く探しながら走っても適当な場所が見つからない。

 よくよく考えてみれば、ここは山の稜線、広い空き地が有るわけも無く、有ってもみんな休憩所か駐車場になっている。

 ここに来て、ぼくは自分のビジョンの甘さに気が付いた。時計を見る。12時10分前。日はもう頭上だろう。


 すこし焦ってきた。万が一適当な場所が見つからなければ、琴子は何を言い出すだろう。


 間違いないのは、絶対におとなしく帰ろうとは言い出さない事。子供のように純粋な盲執さでもって、さくらをきっちり埋葬するまで諦めないのは目に見えている。


 とはいえ、休みは今日一日、まさか「うさぎの葬式で有給を・・・」なんて言えるはずが無い。


 少しの焦りが、どんどん膨らみ、肥え太り、僕の胃や心臓を圧迫し始めたその時。琴子が言った。


「なぁ、あの道、入ってみよか」


 指差す先を見るとスカイラインの左手に一本の細い舗装済の林道が見えた。案内の看板も何も無い。ひょっとしたら行き止まりかも知れない


 だが、そのほうが都合がいい、きっと舗装もされていない、だれも近寄らないような空き地があるに違いない。


「よっしゃ、行こか」


 そう答えるなり僕はハンドルを切った。


 一転、道は車一台が通れるか否かの狭さになり、頭上は鬱蒼と枝に覆われた。

 路面には風邪で吹き飛ばされた枝や木の葉が散乱し、一目であまり使われていない道だとわかる。たぶん舗装も途中で終わっているかも知れない。けど、かまわずガンガン進む。


 琴子は、前のめりになり、一生懸命に進行方向を見つめていた。いい場所を一分でも早く見つけようと必死になっているようだ。


 しばらく走ると、路肩に朽ち果てたブルドーザーが放置されているのが見えた。その脇に未舗装の細い小道が覗いている。

 ピンと来るものがあって、僕は車をブルの前に止めた。


「エエところあったん?」

「かもしれん、ちょっと偵察」


 琴子の問いにそう答え、エンジンは掛けたままで車を降りた。


 ムッとする熱気を覚悟していたが、予想に反し涼やかな風が僕を包む、木々や草の香りが立ち込め、蝉の合唱が耳をくすぐる。

 小道は、ここ最近車など通った様子は無く、夏草が生え放題に生え、しばらく放置しておけば自然に帰ってしまうような感じがした。


 後に来るかもしれない琴子のことを考え、踏み慣らしながら進むと、いきなり視界が開けた。

 まず目に飛び込んだのは深い谷を隔ててそびえる濃い緑一色に覆われた山。そして短い下草に覆われた小さな広場だった。


 広場の脇には行く本かの広葉樹があり、そのうちの数本は山桜のようだ。

 迷うこうとは無かった。ほとんど走るような早足で車に戻ると琴子に言った。


「エエところ有ったで、さくらお弔いしよか。」





 

 僕は片手に弁当と飲み物を、もう片方の手に近所の放置された工事現場から拾ってきたスコップを持ち、琴子は両手にさくらの入った発泡スチロールの箱を持って小道を行く。


 なんの抵抗も無く車から降り、臆することなく草ぼうぼうの小道を歩く琴子を見ても、すこしも不思議には思わなかった。これが街中ならこうは行かないだろうとは考えたが。


 広場に到着すると、琴子はまぶしそうに目を細め、ぐるりと見輪して言った。


「お兄ちゃん、ありがとう、ここやったらさくらも喜ぶわ・・・」


 当然、弔いごとだから、うれしそうに言う訳ないのだが、ほっとしたような、重荷を下ろしたような、なにか言葉尻が急に大人びて聞こえる。


 荷物一切をおろして、僕はさくらを埋める場所を探した。が、それもそんなに迷うことは無かった。広場で一番立派な桜の木の下、ここしかないだろう。

 念のため琴子に同意を得ると、彼女も「うん、」と首を縦に振る。それを見届け、スコップを振り下ろした。


 さすがに地面は硬く引き締まり、そう簡単には掘り進めない、ときどき大きな石や太い木の根が現れ、スコップにガンガン当たってくる。


 涼しい山の上とは言っても、一回、二回とスコップを使うたびに汗が噴出す。すこし休憩し、あたりを見回すと、琴子は花を摘んでいた。立派なゆりの花が数本と何故か草の束が彼女の腕の中にある。


 深さ50センチ、幅40センチ、発泡スチロールの箱ごと埋められそうな穴が出来ると琴子を呼んだ。

 箱の上に白いゆりの花を乗せ、草の束を脇に抱え琴子がやって来る。


「さ、ここに置き」


 そう指差してやると、まず草を穴の底に敷き詰めから、箱の上のゆりをどけて、ふたを開けた。そしてさくらの亡骸を取り出すと、敷き詰めた草の上にそっと横たわらせた。

 なるほど、箱ごと埋めたら、土に帰るのが遅くなるということか。そのまま埋めようとしていた僕のほうが、考え方が幼稚なのかもしれない。


「さくらと、最後のお別れ」


 そう言って、琴子は優しくさくらをなでる。

 駅前のヒロタは、よほどいいドライアイスを使っているのだろうか、強い冷気でさくらを時間の,魔の手から守ってくれていた。


 ぴんと張った四肢は相変わらずで、濡れたように固まった毛も見開いたままの目も同じだった。


「さくら、天国にいっても、琴子の事忘れんといてな」

「ありがとうな、さくら、向こう行ったら、自由に遊びまわれよ」


 なぜかそんな礼をいい、僕も撫でてみる。以外に乾いた手触りで、思ったとおりに冷たかった。


「観 自 在 菩 薩 行 深 般 若 波 羅 密 多 時・・・」


 いきなり、耳元で般若心経が聞こえる。琴子が目をつぶり、手を合わせて唱えていた。

 おばあさんが僕らの両親の霊前で、毎日の用に唱えていたのを自然と覚えたのか、あるいは覚えさせられたのか、ともかく淀みなく、詰まることも、噛むこともなく、朗々と細いけど良く響く声で唱え続ける。


 うさぎごときにお経かよ、とも思ったが、お釈迦様は動物相手に説法したと言うし、キリスト教の聖人でも動物に説教をした人が居ると聞いたことがある。

 それに般若心経は宗派関係無しの経文らしい、動物相手に唱えても、お釈迦様だって文句は言うまい・・・・・・。

 僕も後に続いて唱えた。


「照 見 五 蘊 皆 空 度 一 切 苦 厄・・・」


 すべて唱え終わると。僕は立ち上がり、スコップを取った。


「もう、ええか?」


 僕の問いに琴子は頷き、ワンピースのポケットから昨日さくらの下に敷いてあった花柄のハンカチを取り出すと、また亡骸の上に広げてかぶせた。

 その上から僕は土をかける。鮮やかな花柄が黒い土に覆われ、徐々に柄が見えなくなってゆく。

途中で琴子にスコップを持たせ、土をかけさせる。これってキリスト教の風習かも、とも考えたがかまわず、またバトンタッチして僕が土をかけてやった。


 完全に埋めると、その上に大きな石を載せてやる。墓石代わりだ、さくらの木が目印になるだろうが、念のため。そして、琴子がゆりの花をそっと置き、僕が線香を土にさして火をともした。


 儀式が一通り終わると、昼食にすることにした。精進明けの代わりだ。

 さくらの墓の前にレジャーシートを敷き、弁当と飲み物を広げる。琴子はさくらの為に大好きだったウサギ用のペットフードとにんじんを墓石の前に置いた。


 ノンアルコール・ビールのプルトップを空けて、さくらに向かってささげる。琴子もお茶のペットボトルを同じようにしてささげた。そして沈黙のまま口にする。

 大部ぬるくなっていたが、炭酸とホップの苦味が心地よくのどを通り、一口目は思った以上に美味かった。琴子もお茶を一気に三分の一ほど飲んでため息をつく。


「ありがとう、お兄ちゃん」


 琴子が言った。


「これでさくらもキッチリ天国いけるわ、」

「ああ、琴子もしっかりお経読んだし、天国行き間違いないな」


 そう答えてやると、思い出したように彼女が続けた。


「さくら、あっち行ったらお父さんとお母さんに会うのかなぁ」

「そうやなぁ、二人とも動物嫌いやないから、会うんちゃうか?」


 すると、琴子は言った。


「じゃぁ、私らの事報告するんちゃう?お兄ちゃんはおばあちゃんが死んだ後でも、一生懸命はたらいて、琴子の面倒見てます、でも琴子はそんなお兄ちゃんに甘えっぱなしで、ずっと引きこもりしてますって・・・・・・」


 僕はすこし話の内容に驚いて琴子の顔を見た。そこに有にはいままで見せたことのない

表情があった。すこし憂いを含んだ柔らかな微笑。急に大人びて見える。ま、年齢的には十分大人なんだろうけど。


「あほやなぁ、琴子に今まで育ててもろうたさくらが、そんな事言うわけないやろ、それになぁ、あの世行ってもうさぎはやっぱりうさぎや、人間とは喋られへんで」


 別にあわてて打ち消すつもりもなかったが、自然とそんな返答が考える間もなく出てきた。

僕はノンアルコール・ビールを一口飲み、それから夏の空を仰いだ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] うさぎを飼いはじめて、うさぎが登場する物語が読みたくて調べたらこの小説が検索にヒットしました。 私にとっては、スマホで手軽に読める文章ではとても良質でした。 大きな事件は起きませんが、思い…
2019/07/09 00:17 退会済み
管理
[良い点] 私的にラストシーンまで、とても好きな作品です。兄の妹思いが伝わってきました。こういう兄妹が好きです。うさぎを埋めるシーン琴子ちゃんがしっかり私の思っていたように行動してくれて、よかったです…
[良い点] うさぎのさくらの死が契機となり、琴子の再生が促されるという点が、良い着眼点だと思います。 印象的なテーマです。 [気になる点] 琴子の「ひきこもり」という状況は、いわば人々が日常を営む社会…
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