義姉ちゃんと俺と
俺、飛鳥 真はしがない高校二年生。俺の住む街は都市部に当たる。窓を開ければ、昼間ゴミゴミした街は夜になると、とても綺麗だ。そういうところで俺は存在している。
家族は俺と血の綱がって無い義姉ちゃんとの二人暮らし。義姉ちゃんは俺と同じ高校の三年。しかも生徒会長で文武両道で顔も可愛いから一日一回は下駄箱の中は義姉ちゃん宛てのラブレターで一杯だ。そう、義姉ちゃんはそれくらいモテる。
義姉ちゃんの名は鷹田 流奈。義姉ちゃんは極度のブラコンで、俺はしょっちゅう被害に遭っている。
今日は日曜日で休みだ。今日も義姉ちゃんに振り回されるだろうけど。
「真ちゃん起きな」
「うぅん………あと5分」
「だぁめ!」
そういって俺の布団を取っ払う。
「義姉ちゃん寒い!!」
「寒いのは冬だからでしょ?」
腕組みをしつつも、俺を見る義姉ちゃんの顔はすでにヤバい。
元々義姉ちゃんと俺との関係は、俺のお袋が亡くなってしまい、そのあと親父が今の義姉ちゃんのお袋さんと付き合い結婚したが、数年前に二人とも病死してしまった。その時の俺はまだ中学三年だったから、受験の悪影響ともなってしまった。もしその時義姉ちゃんが支えてくれなかったら、普通に高校には通えなかったと思う。色んな意味で、義姉ちゃんには感謝している。
「まだ眠たいの?」
義姉ちゃんが持っていた俺の布団を取り、俺は不機嫌さを交えて話す。
「とーぜんだろ?昨日は昨日で色々疲れたんだぜ?まず近所のじっちゃんが腰を打っただろ、次にヒッタクリに出くわして、その次は交通事故になりかけ、ついには帰りのバスに乗り遅れる始末」
「我が義弟ながら不幸なのね」
「それに比べて、義姉ちゃんは登校すればラブレターの海に遭われ」
「私ってモテるから」
「生徒会の役員会とかでも人気が高いだけでなく、親衛隊やらファンクラブやら創設出来て」
「でも皆優しいよ?」
「俺が義弟なだけで差別されたり、羨まされるし」
「へぇ〜…」
「だからもう、色んな意味で疲れたからまだ寝かせてくれよ。頼むから」
すると義姉ちゃんは腕を組み何やら考え込んだあと、手を叩き、何やら閃いた様子で笑っていた。
「じゃあおねーちゃんも入れて入れて!!」
「ヤダ」
キッパリと反論したが、もう義姉ちゃんは体の半分を俺のベッドの布団の中に入り込んでいた。
「お邪魔し……」
「俺の部屋からでてけ!!!」
俺は布団から出ると、義姉ちゃんを部屋から出した。ドアの向こうから「ケチ!」と、義姉ちゃんの声が聞こえてくる。
俺は無視して、パジャマから私服に着替えてケータイの電源を入れ、部屋を出た。
一階のリビングに下りれば、少し不機嫌な義姉ちゃんが朝食を作っていた。
「そんなに一緒に寝たかったのか?」
「まぁ、半分半分かな?」
「曖昧すぎんだろ!!」
「別にいいじゃん」
「ってか、納豆出せって昨日言ったろ?!」
「だって納豆嫌いなんだもん」
「仮にも姉貴なんだからよ、好き嫌いはどうなんだよ!」
しばらく口論(?)みたいな事を続けつつも朝食を食した俺ら二人。このあと、普通に義姉ちゃんが洗うのだが、洗濯等の洗い物は俺担当なのだ。それ故に、義姉ちゃんの下着はもう慣れた。
ここ最近俺は思う。義姉ちゃんは胸はちっちゃい方なのに、何故あんなにも人気があるんだ?分からん。
フと、俺のケータイがなる。画面を確認すると、あいつからだった。
「はい」
『ヤッホー♪真君元気してたー?』
電話の相手は幼なじみ菜月 主刹。一つ年下で義姉ちゃんとは旧知の仲らしい。
「主刹ちゃん、何の用?」
『御姐様をお呼びなさい!!』
「あ〜………義姉ちゃんならもう家出て、今頃何してるか……」
事実、俺の義姉ちゃんは放浪癖(軽い意味で)がある。でもしっかりと帰宅はしている。
そんで、主刹ちゃんは義姉ちゃんにめっちゃぞっこんで、百合疑惑が浮上している。ま、俺は気にはしないが。
『じゃ、また連絡するね〜♪』
なんでだろう。微かに怒りさえ感じる。
数分後、義姉ちゃんは帰宅してきた。どうやらただの散歩らしい。
「むはーッ」
「ぐえッ!」
義姉ちゃんのもうひとつの必殺技の【胸元ダイブ】は俺限定の技らしく、未だ俺以外の被害者は出ていない。それが今、俺に当たった。
「義姉ちゃん!何すんだよ!!」
義姉ちゃんは答える。
「可愛い義弟を可愛がってるんだよ?感謝しなさい」
そういって、倒れた俺の腰の上で馬乗りの状態で、無い胸を張って言った。そんな感じだから、初対面の人から幼く見られるのだ。例外もあるが。
かなり話もズレたが、まぁいいか。
「まぁ、そんな義姉ちゃんが好きなんだなこれが」
「ん?なんか言った?」
「さぁ…」
その後、俺は始めて義姉ちゃんを後ろから抱いたのは、言うまでもない。
完