ひたり、
掲載日:2026/08/17
ひたり、
夢の中に、誰かいる。
遠いのに、いることだけは分かる。
暗いのに、一ヶ所だけ、白い布のようなものが浮かんでいるのが、ぼんやり分かる。
なんだか、目が離せなかった。
ひたり、
一歩分、近づいたのは、どちらか。
ひたり、ひたり、
少しずつ、距離が近くなる。
布と思ったのは、服のようだ。
人の形とは、少し、違うような。
そうか。
頭がないのだ。
ひたり、ひたり、ひたり、
距離がどんどん、近くなる。
そこまで来た。
まだ、夢は覚めない。
ひたり、
顔がついていたら、向かい合っている距離。
どこまで、近づくのか。
ひたり、
動けないまま、夢も覚めないまま。
ひたり、ひたり、
体が、入り込んでくる。
ひたり、
目が覚める。
カーテン越しの光は明るい。
全身じっとりと、汗で濡れていた。
頭に、手を、伸ばす。
空を、切る。




