ママにおてがみとどくかな
「ママ、いってらっしゃい!」
子だぬきポンタはパパと家の前の道にならんで、力いっぱい手をふりました。
大きなおなかのポンタのママは、赤ちゃんをうむために、タクシーで町の大きな病院へ行くところです。お医者さんに、とてもおなかが大きいから早めに入いんしましょう、と言われたのです。
「いってきます。ポンちゃん、ばけばけしゅぎょう、がんばってね」
「うん、ぼく、がんばるね!」
「あらポンちゃん、はりきってるのねえ」
ポンタはむねをそらせて答えました。
「だってもうじきお兄ちゃんになるんだもん!」
ママをのせたタクシーは、あっというまに角をまがっていってしまいました。
「さあポンタ、ばけばけしゅぎょう、やるぞ!」
パパとポンタは家のにわへ行きました。
ばけばけしゅぎょうというのは、四才になったらはじめる、へんしんのれんしゅうです。ポンタはまだはじめたばかり。だからまだへたっぴです。
今日も、いすにばけたら、いすからしっぽがとび出ちゃったり。ボールにばけたら、ヒゲのはえたボールになっちゃったり。
「パパやママみたいに、じょうずにばけたいなあ」
あくる日も、ポンタはしゅぎょうしようとしました。けれどもなんだか元気が出ません。
いつもならポンタがばけるたび、ママがえがおで「ポンちゃん、がんばって!」とおうえんしくれます。
でもそのママが、いないのです。
ポンタはなんだかなきそうになりました。
「ママ、ママにあいたいよお……」
パパはポンタのせなかをやさしくなでて、いいことを教えてくれました。
「じゃあママに手紙を書こう。きっとママもへんじをくれるよ」
パパに手つだってもらって、ポンタは手紙を書きました。
『ママへ あかちゃんうまれた? ぼくしゅぎょうしてます あいたいな ポンタより』
手紙は、パパがゆうびんやさんに出してくれました。
つぎの日。ポンタは「おへんじ、まだかなあ」と何回も家のポストをのぞきました。
そのつぎの日も、そのまたつぎの日もまちました。
でもへんじはきません。
ポンタはしんぱいになってパパにききました。
「ママのおへんじ、いつくるの?」。
「うーん、あと二回ぐらいねたら来るかなあ」
そう答えてパパは、せんたくものをほしににわへ行きました。
ポンタはびっくりしました。こんなにずうっとへんじをまっているのに、もっとまたなくてはならないのです。
「ぼく、そんなのいやだよお」
かなしくなったポンタはママの顔やにおいを思い出しました。ママがポンタの手紙を読んでいるところを思いうかべました。
すると、今すぐママに会いたくなってしまいました。
「あっ!」とポンタはいいことを思いつきました。
「おてがみにばけたら、ママに会える!」
ポンタは手紙にばけてみました。
はじめはうまくいきませんでした。でもママに会いたくて、何回も何回もやりなおしました。
そしてついに、本ものそっくりの手紙にばけたのです!
せんたくをほしおわったパパが、つくえの上の手紙に気がつきました。
「おや、ポンタがママに手紙を書いたんだな。よし、すぐにゆうびんやに出してやろう」
パパが手紙をつかみました。ポンタの体はムズムズとかゆくなってわらいたくなりました。
パパが手紙をかばんにいれて、よいしょとせおいました。ポンタはカバンの中でにもつにこすれて、コショコショとくすぐられました。あまりにもくすぐったくて、ポンタはがまんできずに「わっはっはっ」とわらいだしました。
そのとたん、元のすがたにもどってしまいました。
「うわ! 手紙はポンタだったのか!」
びっくりするパパのとなりで、ポンタは大声でなきだしました。
「うわーん、ママ、ママにあいたかったよお……!」
そのとき電話がなりました。病院からでした。
パパがうれしそうに言いました。
「ポンタ、ママに会えるぞ。赤ちゃんが生まれたって。すぐ病院へ行こう!」
ポンタとパパが病院につくと、ママはベッドでよこになっていました。
「ポンちゃん、お手紙ありがとう。ママ、すごくうれしかったわ。おかげで元気に赤ちゃんをうめたのよ」
ママのえがおを見ていたら、ポンタはうれしくなりました。
それからママはとなりの小さなベッドでねている、かわいい赤ちゃんたぬきを見せてくれました。
それがなんと、三びきも!
赤ちゃんは三つ子だったのです。
「ポンちゃん、おへんじ書くからね」
「うん、ぼく、まってるね。おうちで、ママがかえってくるのもまってるね。ママ、またね!」
ポンタはママとバイバイしたけれど、もうかなしくなりませんでした。
帰り道、ポンタはパパに言いました。
「ママと赤ちゃんがおうちにかえってきたらね、ぼく、じょうずにへんしんしてみせるんだ」
ポンタはわくわくしていました。
「パパ、はやくかえってしゅぎょうしよう!」
ポンタはパパの手をひっぱりながら、ずんずんとあるいて、家へ帰っていきました。
おしまい
お読みくださり、どうもありがとうございました。
ひだまり童話館は、童話を書く機会をくださったとても大切な場です。
この場を作ってくださった霜月透子さま、鈴木りんさまに心より御礼申し上げます。
しばらく休館とのことですが、いつの日かの開館を楽しみお待ちしております。
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童話をはじめ多ジャンル書いていますので、
もしよかったらのぞいてみてくださいね(^^)













