レイを探せ
「もう朝か。。。」
結局、昨日はあれから眠れなかった。
結局、レイの本名は教えて貰えなかった。
途中まではすごく良い感じだったのに。
俺の事を嫌いな訳でも無さそうだった。やっぱりネックは。。王太子妃か。
王太子と結婚って女性なら一度は夢見るものじゃないのか?
拾った布巾をまじまじと見る。白い生地に波の模様のような刺繍がしてある。レイの家の紋章かと思ったが、貴族の家で使うならもっと高級な布を使うだろう。
これは木綿で耐久性を重視している感じがする。
この布巾の出所がわかれば、レイの居場所もわかるに違いない。
布巾を顔に当てると、薔薇の様な匂いがする。これはレイの使っている香水だろうか?
「殿下、女性の落とした布巾の匂いを嗅ぐとか、ちょっと変態っぽいですよ」と失礼な事が聞こえた。
俺は黙って布巾を顔から取り、ニルスを睨みつける。
「しかし、エドワード殿下と結婚したくない女性なんているんですね。あの方が王太子妃にならないなら、あの脚力と乗馬の腕前を見込んで騎士にスカウトしたいと護衛達が言ってましたよ」
「言いたいことはそれだけか?それだけ見ていたなら、何故彼女を止めなかった」
「騎士は女性の味方ですからね。王太子殿下に忠誠は誓っていても、女性に不届な行いをした場合は。。。」
「不届きな行いなどしていない。プロポーズは成功していたんだ。王太子とバレるまでは」
「王太子妃になるのが嫌なら、結婚の見込みはないのでは。昨日の感じだとほぼ全員の令嬢が王太子妃になりたがっていましたよ」
「俺はレイが良いんだ。俺のことが生理的にダメとかではない限り、絶対に結婚してやる」
「殿下は思ったより執着心が強いタイプだったんですね。とりあえず何しましょうか?」
「ヒントはこの布巾だ。恐らく何処かの店で使われているものだと思う。街中のレストランを調べろ」
「かしこまりました」
レイ、待ってろよ。絶対にお前がどこの誰か探し出すからな。王太子として使える力を全て使ってやる。
しかし数日経ってもその布巾を使う店は見つからなかった。
「王都にある店ではないのかもな。。。」
「殿下、そちらの石の様なものは何か分かりましたか?」
「いやまだだ。宝物庫の管理官にも聞いたがわからなかった。王都の宝石商を呼んでくれ。これはレイの履いていた靴の装飾品だが、彼女のつけていたネックレスにに似ているんだ。何か新しい宝石なのかもしれない」
ニルスは王都で1番大きな宝石店の店主を王宮に呼んだ。
「エドワード王太子殿下、初めましてオズワルド宝石店の店主のアレク・オズワルドと申します」と丁寧に礼をされる。
「早速だが、これはなんだかわかるか?」と小石を見せる。
アレクはルーペを出して小石を観察する。
俺が持っている小石数個を全てじっくり観察して、丁寧に箱に戻す。
「殿下、随分と珍しいものをお持ちですね。これは最近流行り始めたパールと言う物ですが、パールは普通はつるりとした球体です。しかしこれは不揃いな物ばかりで。パールは貝の中から取れるそうです。自然の物なので、この様な不揃いな物もできる可能性があると思いますが、その時点で店には持ち込まれません。私どもは王都でのパールの専売権を持っているので、他の店からとも考えにくいです」とアレクが持って来た荷物の中から箱を取り出す。
「私はてっきり殿下が、この前の舞踏会で誰かを見初めて、アクセサリーや宝石を贈りたいから呼び出されたのかと思っていたので、色々宝石も持って来ていたんです」
と言いながら箱を開けると、中には色とりどりの宝石がついた指輪やネックレスが入っていた。
アレクはその中から指輪を取り出す。
乳白色に少し青みのかかった丸い石の周りに小さな緑の石がぐるっとついていて、レイの目を思い出した。
「こちらがパールです。まだ生産数が少ないので、私どもの店でも数個しか取り扱ってませんが、来月にはもっと入荷する予定です」
「何故来月なんだ?」
「先程も申し上げましたが、この石は貝から取れるそうで。収穫時期が今月末からの2ヶ月なんだそうです。それに合わせて、パールが取れる海辺の街では収穫祭が開かれると当店の仕入れ担当の者が言ってました」
俺は指輪を見ながら
「それはどこの街だ」
「私も場所は詳しくは知らないので、その仕入れ担当に聞かないと。今、彼は仕入れの旅に出ていて、そろそろ帰ってくるはずなのですが」
「帰って来たら、すぐにこちらに来させろ。後、この指輪を買うことにする」」
それから待つ事数日、やっと宝石商のアレクから仕入れ担当が戻ったとの連絡が来た。
アレクに連れられて来た青年は緊張しすぎて、顔色が悪い。やっと家に帰って来てゆっくり出来ると思ったら、王太子に呼び出されるなんて青天の霹靂だろう。
「この度は、王太子殿下に。。。呼び出され。。いえ。。謁見の。。もう何言ってるか自分でもわかりません」と半泣きでいう男はマシューというらしい。
「話が進まないから、普段通りに反していいよ。不敬にしないから」
「はい、そうさせて貰います。あーーよかった。俺は敬語とか無理なんです」
いきなり砕けすぎて、今度はアレクの顔色が悪い。
「早速だが、これに見覚えがあるか?」と布巾に包んだ、パールを見せる。
「ここから南に馬車で3日行った所にある、マールという海辺の町で取れるパールという新しい宝石だ。これは規格外とされる形だから、王都でお目にかかるとは思わなかったけど」
「規格外?」
「パールは自然の力を使って人工的に作られるんだ。だから形が不揃いになる事もある。綺麗な球形のものは王都に送られて来ているが、この形状のものは現地でないと手に入らない。殿下はどこでこれを?」
「ということは、これを持っていた者はその街にも行ったことがあるという事だな。お前は誰からこのパールを仕入れているんだ」
「マールの町長。うちの店のパールの専売権の契約も彼としたんだ。前は貝をレストランに卸しているだけだったけど、今はこのパールをメインの産業にするために町が管理しているんだ。今年から生産量も上がるとかで、1週間後にパールの収穫祭があるんで、町長に遊びにこいと言われている。パールを取った貝は食べられるから、町をあげてのシーフードパーティーをするらしい」
という事は、その祭りにレイが行く可能性も高い。いや、もういるかもしれない。
「ニルス!そのマールという町に行くぞ!」
「え?殿下。今すぐは無理です。3日後には国王陛下の誕生祭もありますし。もしかしたら、その令嬢もいらっしゃるかもしれないですよ。もしそこで会えなければ、その町に行かれてはいかがですか?」
確かに父上の誕生祭に出席しないという事はできない。
「わかった。。マシュー。この布巾に見覚えはないか?」と布巾をマシューに渡す。
「この布巾は見た事がないですが、この模様は見た事ありますね。どこだろう。。。、あ!嫁の土産でこれを買ったんだけど」とマシューが出したバングルに同じ模様が刻まれていた。
「海を鎮めるおまじないの様な模様らしい。海じゃないけど、仕事で家にいない事が多いから嫁が怖くて、これで怒りが鎮まるといいと思って買ったんだ」と言いながらマシューはブルっと震えた。
俺はなんだかマシューが気の毒になって。
「ニルス、こいつの嫁の為になんか菓子を見繕って渡してやれ」
間違いない、レイはこの町に関わっている。やりたい事はこのパールの事業だったのか?
やっと手掛かりがつかめた。
待ってろよ、レイ。
一応最後までお話は出来ているのですが、名前がこんがらがったりしているので、訂正しながら投稿してます。




