助けを待つタイプではない
泥だらけで薄汚れていた私は、メイドのアンに叫ばれて、お風呂に入れられてやっとスッキリした。でもまだ今までの事をエディやニルスさんに説明するので、ドレスに着替えて部屋に戻って来たんだけど。。エディの部屋にはエディ、ニルスさん、お母様、お姉様達、アレクさんとマシューさんまでいる。
私は何故、みんなに尋問されるように囲まれているんだろう。
結婚式。。らしき物も終わり、エディとの初夜だからさっくり話を終わらせるつもりだったのに。
「レイ。。こっちにおいで、怪我しているところはないんだね?」と当然のように私を膝に座らせる。
みんなの視線が下に向いた。
「エリザベスと男達が秘密の通路を使って、きみの部屋に忍び込んだのは聞いた。通路はもう使えないようにしたから大丈夫だ、そしてそれからどうなった」
私は塔でのアダムさんとの話を聞かせた。
「それが今朝の話だな。結婚式の時間まで何をしていたんだ?」
「まず、アダムさんをマシューさんのところにお使いに行かせました。下手に私の家や宝石店に行くと、私が何かをしているとばれちゃいますからね」
「マシューだって、宝石店に勤めているんだしわかりそうな物だが」
「正確に言うとマシューさんの奥様に会いに行かせたんです。マシューさんの奥様はお針子をしていて、破れた服などの繕い仕事をしているんです。なので、私が暴れてアダムさんのジャケットを破いた事にして、手紙を忍ばせたジャケットを持って行ってもらったんです。アダムさんにも見張りがついていましたからね」
「で。。俺の嫁が女から手紙が来てるって、宝石店に怒鳴り込んできて、その手紙を読んで慌てて公爵家に向かったんだ」
「何故、塔ではなく公爵家に」
「まずはアダムさんの家族の安全を先にと手紙に書いてあったんだ。公爵家もオズワルド宝石店の顧客だし、今日の結婚式に使う宝石を持っていく予定だったから、公爵家に行く予定だったやつと変わってもらっただけで、なんの問題もなかった」
マシューさんは自慢げに言っているが、アレクさんの顔色がまた悪い。エスターお姉様がアレクさんの手を握ってあげている。
「アダムさんの家族は奥さんと娘と大体の容姿はわかっていたが、会った事もないし、公爵家は広い。だから俺は鍵を落としたんだ」
「「「は?」」」
みんなから同じ反応がきた。
「レイチェル様からの手紙に、公爵家には子供は今いない。子供の手だけが届く所に大事なものを落としなさいって書いてあったから。ちょっと細工して、公爵夫人の宝石箱の鍵をわざと執事に落とさせるようにして、壁の小さな穴に押し込んだんだ。誰も取れなくて、公爵夫人はイライラしているし、執事が大慌てで子供と母親を連れてきたよ、容姿も手紙に書いてあった通りだった」
私の作戦が成功したのね、昔読んだ小説に書いてあったのがそのまま上手くいくとは。
「無事に鍵をその子が取った後に、俺は店に帰ると言って1人で部屋から出て、先に部屋を出されていた2人を追ったんだ。執事は俺が鍵に塗った糊のせいで、宝石箱を開けれず、鍵も外せずに苦労してたから、俺のことなんか気にもしてなかったしな。奥さんはアダムさんの手紙を渡したら泣いていたよ。俺は2人を裏口から連れ出して家に戻って、アダムさんがジャケットを取りに来るまで2人を匿ったんだ。そしてやってきたアダムさんのローブを借りたんだ。アダムさん一家にはマールの町長ロブさん宛の手紙を渡して、馬車に乗せた。俺はローブのフードを被って、アダムさんのフリをして昼食を持って塔に行ったんだ。他にも見張りはいたが、数人だったから問題なかった」
「待っている間、私は塔の部屋で暇でね、掃除してたら汚れちゃったわ。変な格好で結婚式に行ってごめんね、エディ」
「誘拐された先で掃除をしてたのか?」
お母様とお姉様達がまたかって顔をしている。
「あの部屋に結構貴重な本があってね。綺麗にすれば高く売れるかなと思って」
「。。。。。教会の本は勝手に売ってはダメだよ、レイ。で、それからどうなった?」
「後はそのままよ。マシューが来てくれたから、マシューが乗っていた馬に飛び乗って、そのまま王宮まで来たの。流石にこの格好で王太子妃だからって言っても、衛兵が中に入れてくれなくてね」
「俺のレイを門前払いしようとした衛兵がいるのか?どこのどいつだ?」
「あの格好じゃ無理よ。彼らも仕事をしているんだから」
「じゃあどうやって馬ごと入ったんだ?」
「そこにちょうど遅れて来た貴族の馬車が来てね。それは公爵家の馬車だったの。なんで遅れたのかと思ったら、宝石箱と苦戦してたのね。すごく焦っていたから、門を破る勢いで走って来てね。そのまま一緒に入ったのはいいんだけど、衛兵が追っかけて来たから馬のまま、結婚式場に飛び込む事になったわ」
お母様は頭を抱えて、ニルスさんが優しく肩を抱いている。
私もエディに後ろから抱きしめられた。
「とにかく無事でよかった。エリザベスは地下牢に投獄した、父上は公爵夫妻と話している。二人も娘がした事に大変に動揺している。おそらくエリザベスは隣国に国外追放で厳格な事で有名な修道院に入る事になる」
まあ、あれだけやって処刑にならないだけマシなのかな。
「さあ、話はこれで終わった。みんなはもう帰ってくれ、俺とレイはこれから結婚式の続きをするんだ」
「ちょっとエディ、みんなの前でなんて事。。。。」
外からドタドタ走ってくる音がして、ドアがノックされたので私は話をやめた。
中に入って来たのは私の従兄弟であり、新アシュトン伯爵のアンドリューだった。
「また人が増えた。。」
「あら、アンドリューも心配して来てくれたの?」
「ミラ!!大丈夫か!あのエリザベス公爵令嬢に酷いことはされなかったか」と私を完全に無視してミラに駆け寄った。
お母様は驚いているけど、エスターお姉様はニコニコしてる。
あーーミラお姉様のお相手ってもしかしてアンドリュー。伯爵の仕事の引き継ぎでミラとも長い時間一緒に過ごしていたものね。
姉だけど娘の彼氏を見るような気分でほのぼのしていたら。
エディの忍耐力が切れた。
「もういい、いくぞレイ」と私の手を取って部屋から出ていく。
「ちょ。。ちょっとエディ、皆さんに挨拶もなしで」
「もう十分話した。半年も待ったんだ、もうこれ以上待てない」
「待ったっていうんですかね。。。機会がある毎に色々しましたけど」
「いや。。あれはどちらかといえば生殺しに近い。俺はこの日の為に。。ウグ!!!」
それ以上は言っちゃダメと手でエディの口を塞いだ。
私の部屋に入ると、私の夜の準備をしようとしていたメイドのアンがいた。
「あら、お嬢様、ここに一緒に来ちゃったんですか?着替えてからエドワード殿下のお部屋に行くのかと」
しかしエドワードにその余裕はない。
「必要ない、二人きりにさせてくれ」とアンすら追い出してしまった。
「えーー可愛いの選んだのに」
しかし寝室の方に進んでいくエディは何も聞いてない。
まあいいか、あの手の寝巻きはマンネリ防止の時に使う事も出来るだろうし。
寝室のドアを開けると。。エディがピタッと止まった。
「レイチェル。心から愛している、私の妃になってくれて、幸せで何も考えられない」と言ってキスしてくれた。
「エドワード様、私も心から愛してます。私を見つけてくださってありがとうございます」
二人で見つめあってたが。
「「ぶっ」」
「ダメだな、俺たちは品行方正な王子と令嬢は無理だ」
「ちょっと、世の中の王子様に憧れている女の子達が泣きますよ」
エディは私を抱き抱えて寝室に入っていく。
「レイは品行方正な王子じゃない方がいいだろう?」
「それは明日の朝に返答させて頂きます」
「それでこそ、俺のレイだ」
後、もう1話だけあります。




