結婚式
俺はニルスにジャケットを着せてもらいながら、やっとこの日が来た事に幸せを噛み締めていた。
たかが半年、されど半年。
どうせ世継ぎを残すことが俺の仕事と言われているし、早速と思ったが。流石に結婚式前に子供が出来るのは王子として世間体が良くないと、レイに諭されて。最速で王太子の結婚式として遜色のない規模で行うことにした。
ドレスメイカーはやや半泣きだったが、俺だって辛いんだ。
その間にニルスはちゃっかり元アシュトン伯爵夫人と結婚して子供まで出来た。
毎日惚気話を聞かせてられて、ついレイに色々してしまった俺は悪くない。
でもレイはいつも俺を優しく止めてくれる。俺より5歳も下なのに、歳下扱いされている気がする。
でもそれも今日で終わりだ。
昨日は姉妹で王宮に泊まったらしいが、我慢して会いには行かなかった。結婚式前に会うのは縁起が良くないと聞いたし。
「ニルス、あれは出来てるか?」
「ええ、其方のテーブルの上に置いてあります」
俺はパールのついたティアラを箱から出した。
これをレイにつけて、ベールをあげてキスしたら、レイは俺のものだ。
ついニヤけてしまい、ニルスに気持ち悪いと言われた。
式が行われるのはあの舞踏会で使われた広間で、式が終わったらバルコニーに出て国民に挨拶をすることになっている。
式の時間になり、俺は壇上でレイを待つ。
ニルスは新妻のミレーネと一緒に1番前の席に座っている。後ろには宝石商のアレクがいるが、マシューがいない。招待はしたんだが、なんかアレクが諦めたような表情をしている。きっと寝坊してるのだろう。
時間になり、ベールを被ったレイが2人の姉と広間に入ってきた。
うん?何故あの姉妹は硬い表情をしているんだろう。
それとレイの様子も変だ。昨夜何かあったのだろうか?
ミレーネも同じ事を思っているのか、ニルスに何かを話している。
そうこうしているうちにレイが壇上に来た。俺はエスターの手からレイの手を取ったが、エスターの手が震えている。
そして目で何かを訴えている。
するとレイはエスターを突き飛ばすように、後ろに下がらせた。
結婚式は始まり、姉妹も壇上に残ったが。あまりにも表情が硬いので、やっぱりこの結婚に納得していないのではという声が聞こえてきた。
ニルスの隣のミレーネもレイの事を睨むように見つめている。
なんだろうこの違和感は。
俺はニルスからティアラを受け取るはずだが、何故かニルスは壇上に来ずに席の近くにいる。
俺が取りに行くのか?ニルスが話したい事があるんだろう。
「殿下、ミレーネが娘達の様子がおかしすぎるし、レイチェル様も何かが違うと言っています。一度中断しますか?」
「俺も何か違和感を感じているが、とりあえずこのまま進める」
ティアラを受けとり、ベールを上げる前にティアラをレイの頭につけようとする。
ん?入らない。
ベールのせいなのか?
いや頭がデカくなってる。そんな人間の頭って半年で大きさが変わるのか?
レイは俺からティアラを奪って、無理矢理広げようとする。
アレクの悲鳴が聞こえた。
その瞬間。
「それは私のティアラよ!!!!」と言う声が聞こえて、広間のドアを見ると。馬に乗ったレイが壇上に向かって走ってきた。
なんでレイが馬に、だったらこれは誰だ。。
俺はティアラを奪い返し、ベールを引きちぎる。
目の前にはレイではなく
「エリザベス!!」
「エドワード様、あの女は魔女よ。私とエドワード様との結婚を邪魔するの。だから塔閉じ込めたのに、やっぱり魔女の力で出てきたのね」
な。。何を言っているんだ。
「「レイチェル」」2人の姉妹はレイチェルを見て大泣きだ。
「無事でよかった。殺されていたらどうしようかと思って」
「レイチェル、助けらなくてごめんなさい」
気がつくと、ミレーネが俺とエリザベスの横に立っていた。
「あんた、私の可愛いレイチェルになんて事するのよ」と盛大にエリザベスを引っ叩いた。
エリザベスは逆上して身重のミレーネを突き飛ばそうとするが、ニルスが彼女を支えながら、剣を抜いてエリザベスに向けた。
「私の妻に何をするつもりですか」
護衛騎士達がエリザベスを拘束する。
するとレイはゆっくり馬から降りてきて壇上に登った。
こんな状況で、髪も乱れ、ドレスにも土汚れがついている。
それでもレイはかっこよくて、世界で1番美しかった。
「エリザベス様、貴方は私の事を魔女と言いますが。エドワード様と結婚したいがために、護衛の家族を誘拐して脅し、エドワード様に近づく令嬢を襲わせ、排除して行った貴方の方がよっぽど魔女に見えますが」
「何言っているの、私は公爵令嬢よ。こんなぼろぼろの伯爵令嬢よりエドワード様に相応しいに決まってるわ」
「私は服はぼろぼろでも、貴方のように心が真っ黒ではないですからね。まあ、、そのドレスも、良く入りましたね。エリザベス様は私より。。ふくよかですし。あ。。後ろのボタンがしまってないから、後ろにもベールを足して隠してたんですね。その指輪は私のです。。薬指に入らなかったんですね」
あーーだからか。なんかムチムチしてるなと思ったんだ。
レイは指輪をエリザベスから取り返すと俺に渡してきた。
「そいつは連れて行け」
「エドワード、待って。私は。。。」
「気安く俺を名前で呼ぶな。誘拐、殺人未遂、その上に不敬罪もつけるか?」
「レイチェル様ーー」 今度はマシューが広間に走り込んできた。
「俺の馬を奪って行くから、折角きちんとした格好したのに台無しだ」
「ごめんなさいね、マシュー。助かったわ。アダムさんは?」
「家族と一緒にあそこに出発した。もう大丈夫だ」
「ありがとう。じゃあ馬をよろしく。私は王子様と結婚しなきゃいけないから」
レイは俺を見て
「ちょっとドレスが予定と違いますが、これでも結構して下さいますか?」
「レイはどんな格好をしていても綺麗だ」
俺はティアラをレイの頭につける。
ピッタリハマったティアラはレイによく似合う。そして薬指に指輪をはめる。
「俺はレイを一緒愛し続けると誓う」
「私も誓います」
結婚式は1分で終わってしまったが誓いのキスが長すぎたと後で父上に怒られた。
色々あったので晩餐会は国王夫妻と来賓客だけで行い、俺達は部屋に戻ってきた。
やっとこれでレイと2人きり。。。。。
「なんで全員ここにいるんだよ。やっとレイとの初夜なんだから遠慮しろよお前ら」
「殿下。。下品ですよ、ミレーネが何があったのか聞かないと安心出来ないというので」
「明日じゃダメなのか?」
「話を聞いたらすぐ行きますから」
「本当だろうな」
すると服を整えたレイがやってきた。お風呂にも入ったのかいい匂いがする。
「レイ、では誘拐されてから何があったのか教えて貰おうか?」
後2話で終わります。もう少しお付き合いください。




