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収穫祭

俺は興奮して早くに起きてしまった。式典までは時間がかなりあるので、朝食は屋台で食べようと祭りが行われている広場に行った。


流石に港町なので朝が早いらしく、すでに祭りの会場は結構賑わっていた。


「殿下。。」


「エリックだ」


「エリック様、昨日のレストランのチャウダーが売ってます。あれを朝ごはんにしませんか?」


昨日はチャウダーが売り切れていたので、よっぽど食べたかったんだろう。ニルスがワクワクしている。


「ああ、いい考えだな」


ニルスを待っていると、マシューとアレクがマグを持ってやって来た。


「お前達も早くに来たんだな」


「エ。。。エリック様、おはようございます。マシューが早く行かないとチャウダーが売り切れると申しまして。見てください、このマグはお土産として貰えるんですよ。そしてこのパイ生地を乗せて焼くのは初めて見ました。一緒に食べるととても美味しいです」


そしてお店の名前が入ったマグをお土産にするとは、客もマグが貰えて喜んでいるし、店は宣伝にもなる。素晴らしい方法だ。


俺がマグをじっと見てると。


アレクも感心した様にマグを見ている。


「素晴らしい方法ですよね、店の宣伝にもなりますし。うちでも実用的なものに宝石を入れて使ってもらう方法を考えますかな。先程、町長にも会ったのでこれを考えた方とお会いしたいと言ったら、今日の食事会にいらっしゃるそうです。そしてその方が考えた店の事も教えて貰いました。お食事が終わったらご一緒にいかがですか?」


レイも見つけたいが、これほどのアイデアを出す者の店は見てみたいな。


「ああ、どんな店か楽しみだ。式典まで時間はあるし行ってみよう」


ニルスが買って来たチャウダーはとても美味しかった。パイ生地は保温効果を高めるのと同時にチャウダーと一緒に食べるととても美味しい。王宮でも作って貰えないだろうか?


ニルスは貝柱の串揚げも食べて満足そうだ。


俺達はアレクに連れられて、一際賑わっている店に行った。


テーブルが5台並べられて、客の前には職人が座っている。


どうやら、客が貝を選ぶと職人が貝を開けてパールを取り出し、客の好きなアクセサリーを作ってくれるようだ。


中に入っているパールは数も形も開けるまでわからない。


小さいパールが何個も入っている場合もあるし、形の良い大きなパールが入っている場合もある。


宝探しの様な要素も加わり、値段も手頃で多くの人が集まるわけだ。


「これは素晴らしい。私の店でも是非行いたい」とアレクがいうと。


前から町長がニコニコしながらやって来た。


「気に入られましたか?エリック様も如何でしょうか?店内に個室を用意してますので」


俺達は店内に入ると、応接室に案内された。中にはこの町の1番優秀だと言われる職人がいた。


「これは絶対嫁が喜ぶ」とマシューがもう貝を選んでいる。


「マシュー、エリック様が先です」とアレクが顔面蒼白になっている。


「いや、俺は最後でいい。マシュー、遠慮せずに選べ」


「マシューは少しは遠慮した方がいいのですが」


マシューはアレクの事は聞かずに、1番大きな貝を選んだ。


中を開けると、小さいが形の良いパールがたくさん入っていた。


「うお!いっぱい入っている。これはブレスレットがいいかな?」


「それはいい考えですね、これだけあればパールだけで作れます」


職人はパールを洗って穴を開け、金具をつけてブレスレットを作った。10分もかからずにできてしまった。


アレクの貝はシルバーに近い珍しい色のパールが2つ入っていたので、イアリングにしていた。


「独身なので渡す相手がいないんですけどね」とアレクが照れた様にいう。


独身とは意外だな。


ニルスのは大きいパールと小さいものがたくさんあったので、ベンダントに。


そして俺の番だ。


俺は選んだ貝は、真ん中に緑の模様が入ってた。まるでレイの目の色のようだった。


中には大きな金色のパールが入っていた。まるでレイの髪の色の様だ。


「素晴らしい色ですね。この色は滅多に出ないですよ」と町長が言うので本当に珍しいんだろう。


「何にしようか。。アレク、どうしたらいい」


「そうですね、あの指輪のパールと色も合うので、このようにしたらいかがでしょうか?」とアレクがささっとデザインを描いた。


「これは良いな、指輪に合わせてエメラルドも入れてくれ。ではこのパールはお前に預けるので、宜しく頼んだぞ」


「かしこまりました」


「エリック様、私は式典に参ります。食事会でお会いしましょう」と町長のロブが店を出ていった。


「私どもは一旦宿に戻って、パールを置いてから、レストランに向かいます」とアレクとマシューは宿に戻っていった。


俺達は広場に戻る。ちょうど、式典が始まる所だった。


町長に紹介されて出て来たのは、誕生祭でいた母娘の母親だった。そして隣には娘と思われる女性がいた。


娘は2人だったと思ったが、もう1人は従姉妹だったのかもしれない。


レイが伯爵の1人娘かと思ったが、違う様だ。


「ニルス、港の方に行くぞ」と言ったが返事がない。


ニルスは壇上をぼーっとした顔で見つめている。


視線の先にはあの母娘。


「ニルス!」


「え?はい、すみません。ええ、港ですね、行きましょう」


これは娘に一目惚れでもしたんだろうか?


港は市場から少し離れていたが、こちらでは大きな生け簀にパール貝が沢山入っていて、パールや貝柱加工が行われていた。


その中で貝のパール層の部分を切り出し、複雑な模様を作って箱などをデコレーションしたり、残った貝の殻は砕いて、土壌改良に使うと案内人から説明があった。


本当に余す事なく使われている。


デコレーションされた箱はレイの靴とそっくりだった。


食事会であの母娘と是非話をしてみないと。


「そろそろ時間だな、食事会に行こう」


レストランに着くと、町長が俺達を出迎えてくれて、あの母娘と同じテーブルに案内してくれた。町長が俺達を2人に紹介してくれたが、2人とも俺を凝視している。


「エリック様。。と仰るのですか」と母親の方は恐る恐る聞いて来た。


「ああ、()()()()だ」


「あ。。失礼致しました。私はアシュトン伯爵代理のミレーネと申します、こちらは娘のエスターです」


「エ。。。エスター・アシュトンと申します。。エド。。エリック様」


どうやら、俺の正体には気がついているが、芝居に乗ってくれている様だ。


2人の隣には空席が2席ある。アレクとマシューの席かと思ったが、少し遅れてやって来た2人は俺たちの横の席に案内された。


俺がその席を凝視していると、ミレーネが俺の目線に気がついたのか。


「娘達はキッチンで何か特別な食事を用意しているらしいので、後からこちらに加わります」


()()()


俺が口を開く前に、ニルスがミレーネに質問した。


「ミレーネ様はお若く見えるのですが、3人もお子様がいらっしゃるのですか?」


「お若いなんて、ニルス様はお上手ですね。実の娘はこのエスターとその下のミラだけで、もう1人の娘はアシュトン伯爵の前妻様の娘で。。レ。。」


その時キッチンのドアが開いて、カートを押した2人の女性が入って来た。


私も水族館でアコヤ貝を開けてネックレスを作って貰いました。あれは楽しかった。

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