夏のお誘い
「なーんか今日のユヅキきゅんはぁ…」
「はあ…」
「アンニュイな感じが〜エモくて良い〜♡」
「はあ…」
今語尾にハートが見えた気がしたが…
気のせい…だと思いたい。うん、目の錯覚だな。お疲れだな俺
「今日は〜服や〜セットのイメージで〜」
「はあ…」
なんだかまた楽しそうにもう邪な目を隠そうともせず俺の顔を弄りながらニリはご機嫌だった
「ハイ!完成〜!」
「因みに…今回は何ですか…」
前回の病みメイクとやらから更に何だか陰鬱な感じに仕上がっていた
無駄に唇だけテラテラして異様な感じだった
「玉川上水に〜入水する直前の〜文学青年風〜!」
「太宰ですか…ロクでもねえな…」
「ユヅキくんも数多の女どもとゲスい浮名を流してるのかなあ〜?」
「んな訳あるか…」
もう敬語を使うのも忘れて来ていた
「そうそう、この子はそんな器用な事は出来ない陰険で嫌味で口が悪くて根暗で無駄に知恵の回る小賢しい捻くれた可愛げのカケラも無い子だから。女の子から誰も相手にされてないしバレンタインだって今まで誰からも貰った事無いし」
麻由がここぞとばかりに言いたい事を言いまくってまるで食べ放題会場での暴言バイキング無双状態になっていた
「いや、前に一回貰ったぞ?煎餅を…」
静風から…
一応ホワイトデーにはお返しに甘い白いのがかかった煎餅を渡した。ホワイト繋がりで
あれ以来俺はお返しとか面倒だから受取拒否をしていた
「あはは!可愛い〜!バリバリクチュクチュペロペロ舐め舐めして食べちゃいたい〜!」
「はあ…」
そしてニリは益々心の声がバージョンアップしパワーアップして来ていた
「なんだかまだ若いのにお疲れねえ…」
そう言ってニリは肩やら首筋やらを揉んだりトントン叩いたりして来た
「まあ…」
これはセクハラか?とも思ったが気持ち良かったので好きにさせていた
「この子女の子の家に泊まって来たからね…嬉し恥ずかし朝帰りならぬ昨日夕方やっと帰って来たんだから」
「ええ〜!やだ〜!やっぱり流しちゃってんじゃない!ゲスい浮名〜!」
「変な言い回しはやめろマユ…アレは…いとこの…いとこで変人だ…」
「あー!この間来てた子!」
「そうそう、テルヒね。何かまた振り回されていいように使われたみたいですよ?」
麻由には照陽に片付けやら重い物を運ばされたりやらこき使われたと説明していた
「なあーんだ…でもまあユヅキくんの貞操は守られてる訳ね!」
「はあ…」
貞操…
いやいや、その真逆の惨事がアレやコレやと…
とは言えなかった
結局あの後風呂に入りに行くと昔やられたソープ嬢シャワープレイからの今度はマコトがされてるのがどんな風に気持ち良いのかの実験だとアナルまで洗われてナカに指を挿れられ弄られ遂に初ドライイキまでさせられていた
俺はモルモットじゃねえ…
まあ気持ち良かったのは否定しないが
その後も何も出なくなるまでヤって昼頃起きてまたヤって…
もう食べるのも面倒になって冷蔵庫にあったキャベツや人参をそのまま生で齧ってると照陽が呆れていた
まあ照陽から出される物を飲み食いするのを警戒しても有るが…
飲み物も水道水を自分でグラスに入れて飲んでいた。浄水器がついてたので味も問題無かった
また変な物を混入させられるのはゴメンだ
そんな訳で結果的にもう韻コースをひた走っていた
夕方ヘトヘトになって帰ってそのままベッドに雪崩れ込んで爆睡していた
おかげで精も根も尽き果て今日のこのニリ曰くアンニュイエモ状態に至っていた
「でもさあ…その子と来てたシイナって子…なーんか色々やらかしちゃったみたいねえ?」
「まあ…ですね。折角ニリさんから南野さんに紹介して貰ったのに…ですね」
「まあそれは全然構わないんだけど〜?ただねえ…あの子妹とお偉いさんとの画像流しちゃったでしょ?」
「まあ…でもモザイク処理されてましたよね?」
「まあね…でも…ねえ?色々そう言う偉い人ってさあ…怖い人との繋がりある人も居るし?このまま無事で居られれば良いけどね?」
「成る程…」
本当にこのまま…目が覚めない方が幸せなのかも知れないな…
「まあ…ナンノさんにも問題有るよねえ」
「まあ…そうですね」
ソイツに斡旋してるお前もな。とは言わなかった
「あの人乱暴でヘタだからさあ…大体最初に怖がらせるんだよねえ。多分処女じゃない子でも血が出るみたいだし?」
「へえ…」
ソッチの問題かい!
「もっと上手くやれば進んで身体差し出す様に出来るのにねえ?」
「はあ…そうですか…」
「因みに僕は天国見せてあげられるよ?どっちもイケるから!」
「はあ…左様ですか…」
どうやら両刀らしい
一つどうでも良い疑問が解決した
「ユヅキさんそろそろお願いします!」
「え〜!行っちゃうの〜?これから口説き落とす所なのに〜!」
「さあ!仕事仕事!」
絶妙なタイミングで声をかけられてその場を退散出来た
○○○○○○○○○○
撮影が何とか無事終わり、その足で夏休みに入ってるらしい撮影の打ち合わせと言うかスケジュールについて話し合いに麻由に付き添って事務所へ向かった
まあその辺りの話し合いは麻由に任せてるので俺は食堂の様なカフェの様な所で時間を潰していた
「あっ!ユヅキくん!」
「あっ…お久しぶりですね…」
そこで久々に再開した…キララに声をかけられた
「今日は仕事…ですか?」
キララは所属事務所が違うのでこんな場所で会うのは意外な感じがした
「まあね。ユヅキくんは?」
「まあ…夏の撮影の打ち合わせ…ですかね?主にマユが。俺はオマケです」
「あはは、仕事するのはユヅキくんでしょ?」
「まあ…そうですね」
「ユヅキくんこの仕事頑張ってるんだね!」
「いや、俺来年から引退しますよ?一応学生なんで大学受験もこの先有るし」
「えー!そうなんだ!何だか残念」
「まあ、すみません」
「じゃあ大学生になったらまた復帰するの?」
「いやいや、完全引退ですよ。芸能人になるつもりはないですね」
「そっかあ…まあ大変な事も多いからね」
「そうですね。俺も身近な人を見て実感しましたね。我を忘れてどんな悪どい事をしてでも縋り付く様な…イカれた世界だって」
正に…サラや椎那達を見て来てつくづくそれは実感した
「まあね…それ位人を惑わせ狂わせる様な世界なんだろうね」
「でしょうね」
「でもね、やっぱり魅力があるし楽しくてやりがいが有るのも事実なんだよね」
「そうですか」
「そうそう、コレ!」
そう言ってキララは何かのチケットを取り出して渡して来た
「今度ね、舞台やるの。私が勉強してた劇団の。私も出るから良かったら見に来て?」
「へえ…映画やドラマだけじゃなくて…舞台もやってるんですね」
「まあ私が再スタート出来た…勉強して来た大切な場所だからね。ここは」
「主役ですか?」
「いやいや、私なんかじゃまだ無理だよ!」
「へえ…そうなんですか」
「主役は看板女優で尊敬してる人。私は今回初めて…やっと2番手に選ばれたんだあ」
「そうなんですか」
中々演劇の世界は厳しい様だ
あれだけ活躍して演技派と言われてるキララでも準主役らしい
「今日はそのプロモーションでね、音楽担当してるミュージシャンがここの事務所に所属してる人だから」
「へえ…」
因みにAラッシュでは無いらしい
聞いたが全く知らない人だったし関わる事もないだろうから覚える気もなかった
「ここのレーベルから使用曲をリリースするみたいで。MVとか私も出るから出演する役者の代理として私がその打ち合わせかな」
「成る程…」
キララクラスでもパシリに使われてるらしい
「これは…いつ公演ですか?」
「8月だから…夏休みかな?良かったら友達とか…彼女とかと観に来て?まあ麻由さんでも。あはは」
「はあ…有難うございます」
「それじゃあね!またね!」
「はい」
そう言って渡されたチケットは2枚だった
麻由は論外として…
4枚有れば皆誘えるのだが…
この場合誰と行くべきか…
そう思い悩んでいたが、麻由に見つかると面倒だから早々に財布に入れてしまった
因みにあの参観日のお知らせプリントはちゃんと処分はした
まあこれで夏休みの予定は宿題と撮影以外にもう一つ追加された
あの後星夜は大変だったみたいですね…
遂に後ろの開発までされた様ですが…
その後ニリから色々不穏な情報を知ったり久々キララと再会したりと相変わらず中々平穏からは遠ざかってますね
さて星夜は誰と観に行くのでしょうか?




