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明宵  作者: 水嶋
残照

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81/91

あと8キロ

「テルヒっ!」


授業が終わり下校時に校門を出た所で椎那が声をかけて来た


どうやら私を待っていた様だった


「ゴメンね、私今携帯無くしてて…連絡出来なくて」


昨日は椎那からもラインが来ていたが静風にこれ以上寂しい思いをさせない為に連絡せずに無視していた


「そっか!仕方ないね!」


椎那は明るくそう答えた


「この間はどうだった?」


「うん!本当に有難う!いい話を貰えた!」


どうやら上手く行った様だ、良かった


「良かったね!おめでとう!じゃあ早速仕事の話になったのかな?」


「うん!でもね…条件を出されてね…」


「条件?」


「1か月で8キロやせられたら…TGSに推薦してあげるって…」


「ふむ…」


「まあ…開催まであんまり日数無いし…ニリさんから教えてもらったダイエットサプリも一応注文はしてるんだけど…届くまでとりあえず頑張んなきゃね…」


「そっか…あっ!そうだ!」


「何?」


「前にユヅキがね、ニリさんが色々面倒見てあげてたモデルの子と仕事した時にその子がニリさんに教えてもらったサプリを使ってダイエット成功したって教えてくれたとか…言ってたなあ」


「えっ!?ホント!?やっぱりあのサプリ効果あるんだね!」


「みたいだよ?その子写真で見たけど凄く細い子だったから」


「へえ!いいなあ…」


「でもね、その子色々有って最近モデルやめちゃったから…もう必要無いし、もしかしたらまだそのサプリ使わず持ってるかも?」


「ホントに!?」


「今携帯持って無いから…譲って貰えるか家に帰ってユヅキに連絡してみるね!」


「有難う!テルヒ!」


そう言って椎那は抱きついて来た



その次の日に高等部の校門の前で椎那を待ち伏せしていた


「テルヒ!」


椎那は私を見つけて笑顔で駆け寄って来た


校門から少し離れた物陰に移り鞄からそれを取り出した


「シイナの為に急いで譲って貰ったよ!」


「ホントだ…コレだ…」


椎那は自分のスマホで注文画面を開きサプリの画像と見比べていた


サプリの形状や色もPTPシートも全く同じだった


「助かる!でも…こんなに沢山…本当に良いの?そこそこ値段するのに…」


サラから有るだけ全部回収したので結構な量だった


「もうその子には必要無いものだし、捨てるくらいならって。だから良いんだよ?」


財布を取り出した椎那の手を制して私はそう言った


「その子は夢を諦めたけど…椎那は夢を叶えてね!」


「うん!頑張るね!有難う!その人にもお礼を言っておいて!」


笑顔でそう言って跳ねる様に軽やかな足取りで帰って行った


そうだね…

椎那が夢に向かって空に羽ばたく鳥の様に…

このままならない現実世界から理想の世界へ飛び立つ事がサラへのお礼になるんだろう


そう思いながら笑顔で椎那を見送った



元気な椎那と対照的に摩那はあれから学校を休んでいた


何度か着信やラインが届いていたが全て開かず未読にしていた


『テルヒ、会いたい』


『声が聞きたい』


『連絡して』


『汚くなった私の事嫌いになった?』


『お願い…』


どれもこれも開かずとも内容が分かる、そんな泣き言ばかりだった


芸能界はちょっとしんどいからと言ってすぐ人に頼ってやっていける様なそんな甘い世界じゃ無いだろう

ニリも言っていたが鋼の精神力を持たないと…

今の内に一人で孤独に耐えられる様に鍛えてあげないと…


そんな親心のような気持ちで心を鬼にして見て見ぬふりをしていた





○○○○○○○○○○





「私ね、歌のレッスン始めたの…」


「へえ!そうなんだ!」


サラが家に来て報告をしていた

あの謝罪の日に出会った人に紹介された所に通っている様だ


「なーんかね!その先生がね!クソムカつくやつでさあ!毎回バトってる!」


「あはは!でもちゃんと教えてくれるんだよね?」


「まあね。一応コッチも金払ってるし?」


「そっか、まあ客商売だもんね」


「ソイツが言うにはさあ、見込みのない奴はさっさとやめさせてるんだから有り難く思えってさあ!いちいちムカつくんだよね!」


「でもそれってサラに見込みが有るって事なんじゃない?」


「どうだろ?こんな事小学生でも出来るとかちゃんと考えろ空っぽの頭だとか何かにつけてdisってくるし!単に私で憂さ晴らししてんじゃ無いの?」


「そうかなあ…まあ確かに口は悪そうだけど」


「あと、エルとかIce Manてアイドルグループとかもレッスンしてるだのいちいち自慢挟んでくるのも鼻につく!いい歳したオッサンが!」


「まあ、詳しくは知らないけど多分凄い人なんだろうね」


サラは散々偉いおじさんに酷い目に遭ってきたからやっぱりおじさんが嫌いなんだろう


「でね!ソイツが言うには…私は痩せすぎだから…あと8キロは太れって。今は体が支え切れてなくて声が安定してないってさ」


「ふむ…」


こっちもあと8キロか…


「確かにサラは痩せすぎだもんねえ…モデルやめた後も体型変わって無いみたいだけど…まだダイエットしてるの?」


「してる訳じゃないんだけど…何か怖くて食べられない…」


「怖い?」


「体重が増えたら…また昔みたいな目に遭うんじゃ無いかって…そんな事無いって思う様にしても無意識に手が食べ物を拒否してる…」


「ふむ…」


どうやら椎那達はサラを肉体的にだけでなく精神的にも追いつめていた様だった


「でも…もう今のサラは嫌な事は嫌ってハッキリ言える強い子になってるんだよ?」


「うん…それは分かってるんだけどね…」


「お家では…食事はどうしてるの?」


「ウチは片親で…ママだけなんだけど…仕事で忙しいからいつも作り置きしてくれて一人で食べてる」


「ふむ」


「心配させない様に食べたフリして捨ててる…その事にも凄く罪悪感がある…折角忙しい中作ってくれてるのに…」


「そっか…そうだよね」


サラはやっぱり優しい子だなあ…


「サラは食べる事が億劫とか嫌いとか…食べ物の好き嫌いとかあるの?」


「ううん。昔は食べるのが大好きだった。嫌いな食べ物も無い。だから小さい頃はちょっとぽっちゃりしてたんだけど…」


「そっか…じゃあ美味しいものを食べたら変われるかも知れないね」


「まあ…でも多分一人で食べても美味しいとも思わないだろうし…まず手にとって口に入れられないと思う…」


「そっか…じゃあさ!誰かにちゃんと食べられるように見てもらいながらなら大丈夫かもね!」


「誰か?ママは忙しいから私の我儘で食事の監視なんて頼めないよ?病院とかに行くのもヤダ…」


「大丈夫!うってつけの人に心当たりがあるから!料理も上手でお医者さんの人!」


「?」




私は早速静風に連絡をして家に来て貰いサラを紹介して事情を話した


照陽はあのサプリを遂に椎那に渡しました

浮かれる椎那と対照的に落ち込む摩那…

この姉妹はこの先どうなるのかな


一方新しくスタートしたサラにも最初の難関が訪れてますがお節介照陽はまた周りを巻き込んで何か企んでそうですね


まあ多分次の犠牲者はあの人…ですね


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