薄荷
「ねえテルヒ!昨日お姉ちゃんと2人で出かけてたって本当!?」
「うん、シイナに紹介したい人が居たから…」
「私に内緒でズルい!!」
「ゴメンね…その人にシイナのお仕事の紹介して貰いたくて…あんまり沢山の人で押しかけると迷惑だと思って…」
「私もテルヒと行きたかった!」
「でもその人は…マナに興味持ってたよ?写真見せてあげたら可愛いねって言ってたから」
「ホント!?」
「うん、今度シイナと一緒に会いに行ってみたらどうかなあ?」
「うん、昨日お姉ちゃんも言ってた。私にも会わせたいって…」
「そっか!もしかしたら…マナが気に入られて芸能人になったりして」
「えっ!?私が!?うそっ!?」
「そうなったらもう私とは遠い世界の人になっちゃいそうだなあ…」
「そんな事ないからっ!私はずっとテルヒの事大好きだしっ!」
「ふふ、有難う」
そう言って照陽はソイツにそっと頬にキスをしていた
あれが摩那って女か…
確かに…まだ見た目も幼くて小学生と言えば通用するかもしれない
独占欲が強く気の強そうな、我儘そうな顔つきだ
姉の椎那に何処と無く似ていた
自分の利益の為に妹を平気で犠牲に出来る椎那と言い…
多分似た者姉妹なんだろう
照陽にすっかり手懐けられてる様だ
そしてその摩那も椎那と同じ夢を目の前にチラつかされて浮かれていた
まあ近い内に椎那の為に生贄として体を張ることになるんだろう
照陽のクラスの前を通ると廊下で2人が騒いでいる所を遠目に見えて様子を見ていた
「ねえテルヒ!」
「何?」
「あのさ…急にアレが来て…持ってる?」
「うん、ちょっと待ってて!」
そう言って照陽は教室に入り小さなポーチを持って来た
「これ使って?」
「有難う!助かる!」
そう言って手渡された女子はお礼を言って立ち去った
「ねえテルヒ!次の小テストでさ!」
「うんうん…あ!じゃあまたね!マナ!」
「うん!今度は絶対2人だけで遊んでよ!」
また別の女子から声をかけられて教室に入って行った
どうやら照陽は本当に女子に人気があるらしい
そんな風に眺めていると静風がクラスからそっと出て行く姿が見えた
「何してんの?」
廊下の突き当たりの所で静風がしゃがみ込んで顔を伏せていた
腹でも痛いのだろうか?
「セイヤ…」
静風が顔を上げて俺の名前を呼んだ
「腹でも痛いのか?そんな所に座り込んでないで保健室に行ったらどうだ?」
ここで漏らしたら恐らくこの先高校まで…いや一生ネタにされるだろうに
「お腹は…痛くない…胸が苦しい…」
「それは益々保健室…いやもう病院案件だろ。さっさと帰れ」
授業も終わっていたので早退にはならないだろう
サボる訳でも無いので内申書に影響も無い
「多分…セイヤが飴くれたら…治る」
「何だそりゃ…都合のいい病気だな」
「今日は持って無いの?」
「んー…どれどれ…ん!あったぞ」
ポケットを探ると入っていた
「今日は…薄荷だな。良かったな、胃腸に効くな。更年期障害にも効くな」
「ミントか…甘いのが良かった」
「まあスースーはするが飴だから甘い味は多少ついてるぞ?シュガーレスだから虫歯の心配も無いな」
「あはは、そこはこだわりあるんだね」
「何かマユの好みだな。歳だからそう言うの気にしてんじゃ無いか?多分。ほれ」
そう言って飴を手渡そうとしたが受け取らなかった
「何だ?薄荷はお気に召さないか?」
「袋開けて食べさせて」
「おいおい、子供かよ…」
「はい、あーん…」
そう言って静風は口を開けた
「ちっ…めんどくせえなあ…」
仕方ないので飴の包みを開けて口に入れてやった
「んっ…辛い…スースーする…」
「だから薄荷だと言っただろうが。とことん我儘だなお前…」
「あはは、テルヒが…セイヤはお願いすると何だかんだで聞いてくれるって言ってたから」
「アイツ…とことん人の事舐め腐りやがって…」
「テルヒが我儘言って甘えられる相手はセイヤ位なんだろうなあ…」
「そうか?」
「うん。他の子には頼られてるしなあ…誰かに…私にも…我儘言ってる所見た事ない…」
「まあ外面良いんだろ?アレは中々の奴だぞ?」
中々の人タラシで悪意なく人を陥れるしな
「仲良い友達も沢山居るし…私だけじゃなくても…良いんだろうなあ…」
ここにもすっかりタラシ込まれてる犠牲者が居た
「まあ…その辺は良く分からんが…お前にはダイチも居るだろ?昔から仲良い奴は」
ここで大地の事を推しておいた
感謝しろよ?大地
「ダイチは…男子だし…人気者だし…私が近づくと迷惑かかるだろうし…」
「でもダイチもシズカと仲良くしてたいと思ってるぞ?」
「やっぱりダイチもテルヒも…人気者だからなあ…2人は似てるんだろうなあ…あはは」
「そうか?似てるか?ダイチは良い奴だぞ?」
「それじゃあテルヒが良い奴じゃないみたいじゃん」
「まあ…ご想像にお任せします…」
「あはは、何か元気出た。有難う!」
「何か知らんがどういたしまして」
「じゃあね!飴有難う!あんまり美味しくなかったけど!」
そう言って静風は立ち上がって笑いながら去っていった
何か知らんが勝手に元気を取り戻して折角与えた飴をマズイと言いやがって女子は良く分からんな…
そう思いながら階段を降りて下の階にたどり着いた時に
「セイヤ!」
と後ろから声をかけられた
振り返ると照陽が居た
「何だ?」
「私も飴欲しい!」
どうやら先程の静風とのやり取りを目撃していたらしい
「お前は元気いっぱいだろうが。飴ちゃんは必要無かろう?」
「あー…元気無くなったあ…セイヤが出し惜しみするからー」
「ちっ…どいつもこいつもめんどくせえなあ…」
ポケットを探るとまだ1つ有った
「ほれ、良かったな。まだ有ったぞ」
そう言って手渡そうとすると受け取り拒否して来やがった
「私も食べさせて!」
「おいおい、何競ってんだよ…子供大会かよ…」
「子供じゃないもん!じゃあ口移しで食べさせてよ…」
「ここ学校なんですけど…」
「この下なら見えないよ?」
そう言って階段下に引き込まれた
「マジかよ…」
「はい、あーん…」
そう言って口を開けたので仕方なく飴の袋を開けて自分の舌に乗せて照陽の口に入れた
「辛っ…スースーする…」
「薄荷だからな。ここまでさせたんだから吐き出すなよ?」
「じゃあ…手伝ってよ…」
そう言って俺の首に腕を回して口付けて来た
「んっ…んん…」
お互い舌を絡めて飴を舐めていた
学校で、誰かに見られるかもと言うシチュエーションに興奮して来てお互い夢中になっていた
「んぐっ…飲んじゃった…」
「ハイ終了」
「どうしよう…お腹で溶けるかなあ?」
「知らん。出てくるおしっこがスースーするかもな」
「うそっ!どうしよう…」
「んな訳あるか…」
「むう!」
照陽は相変わらず俺のする事を真似て…俺が人にした事も自分にさせて尚且つ負けず嫌いの様だった
最近エグめだったので箸休め的なちょっぴり青春っぽい話ですかね?
静風ご無沙汰ですね
摩那はこの後どうなるんでしょうね?




