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明宵  作者: 水嶋
残照

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63/90

迷惑な再会

あの人と再会しますが…


長くなりそうなので2話に分けます

「また会えたねっ!ユヅキくん!」


「…」


ゴールデンウィークにねじ込まれた撮影に何故かあの桜漬け大根…サラが居た


今回はあの百鬼夜行もといTGSの延長企画だった事を思い出していた


あの時出場したモデルで今年開催の宣伝も兼ねた内容らしい


俺は今年は絶対出ないと言ってはいるが…

何故この撮影に呼ばれているんだ?と疑問を持っていた


「これはね、前回数字が取れたメンツの集まりだよ」


そして今回は麻由がピアノの仕事が入り付き添いに来れず、事務所が用意してくれたマネージャーっぽい事をしてくれる人が付き添ってくれていた


「数字?」


「まあザックリ言えば…服の注文数が多かった人や…動画の再生数が多かった人とか…かな?」


「成る程…」


まあ俺が着ていた服はやや攻めた感じで一般受けはしないだろうから、再生数の方だろうか

動画は分割されていてそれぞれに再生数が分かるのだろう


よく見ると俺が出てた少し後や前に出てたモデルも居た


まあ俺目当てで再生したのか他の奴目当てかは分からんが、俺は素性を隠しているのでどんな奴かと興味本位で再生された可能性は高い


サラは動画では殆ど見切れていたがある意味強運の持ち主…運を掴む芸能人に向いてるのかも知れない


相変わらずガリガリだったが


「ユヅキくんと組めるだけじゃ無くてセンバツに選ばれるなんて!頑張ろうね!テッペン目指してっ!」


そして相変わらず無駄にテンションが高くポジティブシンキングだった


普段からカロリー消費が激しいからそんなガリガリなんだろうか?


悪いが俺はテッペン目指してないから一人で頑張ってくれ…


今回は前ほど攻めた格好では無かったが、やはり雑誌なので実用的なものでは…いや攻めては無いがかなりイカれていた


俺はまたこの金髪ウィッグのせいかふざけた格好をさせられていた


フリルの沢山ついた袖がタルーンとしたブラウスにリボンタイ、膝上のズボンに黒のハイソックスに革靴で頭に変な帽子を乗せられていた


「…」


俺は鏡を見て何からツッコミを入れるか思案していた


「皇子系って言うらしいよ?」


「左様ですか…」


その一言しか結局発せなかった


これを見て『わあ!僕も買いたい!』と思う奴は前回以上に居ないだろうな


俺で遊びたいんだな


そう思う事にした


そしてサラも俺に合わせた所謂ゴスロリファッションだった

今回は服がゴテゴテな分あの痛ましいガリガリの体が隠せて良かったのかも知れない


今回はモデルも多かったので俺の撮影までかなり待たされた


なら最初から俺が撮影する時間を指定して来るようにしてくれよ…とも思ったが


「他のモデルの着てる服を見て服やメイクを変えたりとかね…ホラ、皆バチバチだからさ…」


と大人の事情を説明された


やはりこう言う世界は皆如何にテッペン取るかの熾烈な争いが繰り広げられてるんだな


特に自分に自信を持ってる女同士の争い程恐ろしい物は無いな…

そんな風に傍観していた

まあ俺は男だからこの中では眼中に無い様で比較的平和でいた


後はなるべく姿を見られたり声を出して話したく無かったので自分の出番以外は楽屋で過ごしていた


結局終わったのは夜になっていた


「じゃあユヅキくん、お疲れ様でした」


「いえ、こちらこそ遅い時間までお付き合い下さり有難うございました」


駅まで車で送って貰いその場で別れた


家までの送迎は身バレも含めて遠慮した

どこで素性が漏れるか分からないので、俺の事は事務所の人間にもごく一部の人間以外は殆ど分からない様にして貰っていた

これもこの事務所と契約した際に交わした約束でも有った


まあ主に麻由の指示では有ったが


駅の券売機で交通系電子マネーのチャージが少なくなっていたので入金していた


「ユヅキくんみっけ!」


肩をトントン叩かれて振り返るとサラが小声で笑いながら耳元で囁いていた





○○○○○○○○○○





「サラさんも電車ですか?」


「うーん、まあそうだけど…」


一緒に帰ろうとか言われると厄介だ

降りる駅とか知られたく無い

まあ最悪少し手前で降りて時間をずらして乗り直すか…


そんな事を考えていた


「ねえねえ、まだゴールデンウィークだしさ!これからカラオケにでも行こうよ!」


「いや…もう夜だし親が心配するんで…」


本当は韻も麻由について行ってホテルに泊まりなので家には誰も居ないのだが


麻由はコンサートが終わるまではセックス禁止を伝えていたので終わった後は足腰をやられて連泊する羽目になるだろう


「久々に会えたのにつれないなあ」


「すみません」


俺は別にサラにまた会いたいとも思ってはいなかったが


「じゃあ1時間だけ!お願ーい!」


「いや、それは…」


無駄に通る声で周りがジロジロ見ていた


「あれって…もしかして?」


「似てるね…」


「確か…映画に出てなかった?」


何だかヒソヒソザワザワ周りの小声が聞こえて来ていた


「分かりました、1時間だけ…」


「わあ!有難う!嬉しい!」


俺はその場から逃げる様に駅から早足で離れた


全くロクでもねえな…と不在の麻由に心の中で悪態をつきながらサラに腕を引っ張られながら歩いていた


駅から少し離れた場所にあったカラオケのビルに入り小さめの部屋へ通された


「俺、流行りの歌とか何も知らないし歌わないですよ?」


「うん!いいよ!私も歌わないから!」


「じゃあ何しに来たんですか…」


「ユヅキくんとお喋りしたかったから!」


「はあ…」


「成功者の話を聞いてね!私も参考にしたいしさ!悩みも聞いて欲しいし!」


「別に俺は何も成功してないですが…」


悩みって…

何か何も考えてなさそうな…

空っぽそうなんだが悩みなんてあるのか?


しかもまだ中2になったばかりの俺みたいなガキでなくてもっとふさわしい先輩はいるだろうに…


また厄介な事に巻き込まれたなあとウンザリしていたが、まあ1時間の我慢だ…

そう割り切って無になる事に決めた


「ユヅキくんは何飲む?」


「じゃあアイスコーヒーで」


「分かった!じゃあ注文するね!」


そう言って部屋に備え付けられてる電話で注文していた


余り持ち合わせ…現金は持たされていなかったがまあ年上だしコイツの都合で連れ込まれたんだから奢りだよな?とセコイ事を考えていた


「俺ちょっとトイレ…」


一応何かヤバい事になるかもを想定してトイレに入り麻由に今の状況を伝えるショートメッセージを予約送信にした


日付が変わる明日の0時に設定しておいた

何事もなく開放されれば消せば良い


まあ送信されても直ぐには気づかないかもだけど…


あと作成した画面の日付と時刻をスクショしておいた


あまり遅くなると怪しまれるかと思い急いで部屋に戻った


「おかえりー!飲み物来たよー!」


俺の席にアイスコーヒーが、サラの前には炭酸水が置いてあった


「じゃあ、取り敢えず今日はお疲れ様ー!カンパーイ!」


そう言ってグラスを鳴らしてサラはゴクゴクと飲んでいた


俺も添えられたミルクを入れてストローで一口飲んだ


「なんか…マズイな…」


「まあこう言う所のはねー、カフェみたいにはいかないよねー!あはは」


サラは相変わらずテンションが高かった


「で、俺と何のお話しをたいの…」


俺は仕事が長引いた上に終わった後足止めされてすんなり帰れなかった事に少々不機嫌になっていた


「ユヅキくんってさー、どうしてこの世界に入ろうって思ったの?」


「俺は入りたくて入ったんじゃなくて知らない間に周りから外堀埋められてやらされてるだけですが」


「へえ!やっぱり成功者ってさー、自分から動かなくても周りが押し上げてくれるんだね!」


「さあ…俺は別に成功者でも何でも無いですが。ただ目立たず平穏に過ごしたいだけなのに勝手に祭り上げられて俺からしたら敗北者なんですが…」


「そうなんだー、でもやっぱり言うよねー!この世界は努力が報われる世界じゃ無いんだって」


「あー…」


同じ事を前に事務所の人が言ってたなあと思い出していた


後は…


「チャンスを引き寄せて掴める…そう言う選ばれた人間…全てを兼ね備えたほんの一握りの人が成功する世界なんだよねー」


全く同じセリフをサラが言った


もしやこいつは会社関係者か?


そんな馬鹿げた疑いも浮かびつつそうだとして俺にどうしろと言いたいのか…

と聞くのも少々面倒になって来ていた


「まあクヨクヨしても仕方ないんだけどさっ!」


「そうですね…」


「あはは、ゴメンねっ!愚痴ってばっかでさっ!」


「いえ…」


「ホラ!折角注文したのに全然飲んで無いじゃん!マズイからって残したらバチが当たるよっ!」


「はあ…」


謝るくらいならさっさと俺を解放してくれ…と言う言葉はアイスコーヒーと一緒に飲み込んだ


「でねっ!私もさっ!」


「はい…」


「自分からねっ!」


「はあ…」


「チャンスは掴みに行かなきゃねってねっ!」


「そう…です…か…」


無駄に通る声の筈なのに…

段々耳に…頭に入って来なくなって来ていた


「だからねっ!」


「は…あ…」


その先の言葉を聞く前に俺は…


意識を失っていた





「ユヅキくんに…協力して貰おうと思ってね…」


あらら…


どうやら一服盛られた様ですね


どうなる星夜、待て次号!

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