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明宵  作者: 水嶋
黄昏時

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保留と終焉

1月の終わり、最後の週の水曜日の櫂との約束の日に…



「来月は僕は春休みに入るから…また長期でおばあちゃんの所に行く事にしたから」


「そうなんだ」


「だから2月と3月はお休みね」


「うん、分かった」


大学の春休みは長い。夏よりも長い様だ

この機会に八神家の事を色々調べたいのだろう


「夏に行った時に…何か分かった?」


「まあ僕も自分の課題や勉強もあったからね…この時は部屋の片付けとかで終わっちゃったかなあ」


「そうなんだね…八神の人って余り物に執着しないって言うか…物欲が無い人が多いと思ってたから何か物で溢れてるってのは意外…」


櫂の部屋も相変わらず電子ピアノ以外には目ぼしい物は見当たらなかった


「そうだね。荷物を整理してると…古い物ばかりだったよ。戦前の昭和初期から大正、明治時代…もしかしたら江戸時代の物も有るのかもだけどまだ全部は片付いてないから分からないね。日本刀とかも有ったよ」


「へえ!凄い!」


「恐らくだけど…これらの品は家系図に有った八神皇輝より以前の持ち物じゃないかなあ?」


「そうなんだ…」


「皇輝から以降の時代の物らしいのは殆ど無いんだ」


「成る程…じゃあその人から物に対して関心が無くなって行ったのかなあ?」


「多分ね。おばあちゃんももれなく当てはまるから…処分に困ってた。物は集めないけど捨てる事にも関心が無いって言うのかな?」


「へえ…」


確かに…

私も物を買ったり集めたりもしないが使える物を無闇矢鱈に捨てたりもしない


以前幼稚園に行ってた頃から使ってるハンカチで手を拭いていて静風が笑ってたのを思い出した


「まあ僕も骨董品とかにも価値を見出せないから…おばあちゃんと相談して譲渡できる物は資料館とか博物館とかに寄贈する事にしたんだよ」


「そうなんだ…大変だったね…」


「後は…経年劣化で使えない物や必要無いものの処分とか…おばあちゃんに業者を頼んで引き取って貰うとかしんどいだろうから僕が代わってやってあげないとかな」


「そうだね」


マコトが言っていた様におばあちゃんは外の人と殆ど関わらず生きてきた人だとしたら、顔の変わったマコトや星夜を怖がる位なんだから他人とのやり取りは難しいだろう



「まだ処分するものと寄贈できる物との選別も出来てない物が多くてね。その続きを春休みにまた再開させなきゃ」


「そっか…まだ沢山あるの?」


「そうだね…春休みの期間には終わらないかなあ。まあ何年かかけてになるかな?」


「へえ…大変だ…」


と言う事は櫂はこの先も長期休暇にはおばあちゃんの元へ行くのだろう


マコトが言っていた様に家督を譲り受ける覚悟でいるのだろう


「櫂は…将来おばあちゃんの家に住むの?」


「そうだね…まだ分からないけど…そうなる事も考えておばあちゃんがいる内に確認して貰いながら必要無いものを片付けてるよ」


「そっか…お医者さんにはならないの?」


「いや、医者にはなるつもりだよ。皇輝が当時開業してた病院も一応建物は近くに有るからね。そこを改装すれば使えそうなんだ」


「へえ!知らなかった!今はどうなってるの?」


「今は閉鎖して立ち入り禁止にしてるね。まあ八神家の敷地内に有るから他人は立ち入れないだろうけどね」


「そっか…」


「もし照陽が僕と結婚したら…あの家で生活出来る?」


「おばあちゃんの所?」


「うん」


「うーん…どうだろうなあ?あの場所に知り合いも居ないし…近くに友達も居ないし…」


「そうだね。僕しか居ないね」


「そっか…」


あの場所は田舎で周りに民家も殆ど無い

全く知らない土地で櫂と2人だけで生活…

近くにお父さんもお母さんも静風や大地や…星夜も居ない


そんな生活が私に出来るのだろうか?


「テルヒは友達が多いからね。寂しいよね?」


「まあ…そうだね…」


櫂は私と将来結婚する気が有ったのかと何だか意外に思った


私は櫂に好かれてるとは思っていなかった


仮に櫂と結婚したとしてこの先私とセックスする気は有るのだろうか?


私は子供を…お母さんになれるのだろうか?


櫂は私をどうしたいのだろうか?


私は色々考え込んでいた


「僕と結婚するのは嫌?」


私の微妙な表情を読み取ったのか微笑みながらそう聞いてきた


「櫂が嫌とかじゃ無いんだけど…私はお母さんになりたいから…」


「そうだね。小さい頃から言ってたね」


「カイと一緒に居て私はお母さんになれるのかな?」


「多分僕はテルヒとはこの先もセックスはしないだろうね」


「そうなんだ…」


多分そうなんだろうなと思ってはいたが改めてハッキリと告げられた


「近くにセイヤも居ないしね。寂しいよね」


「セイヤは別に…好きとかそう言うのは無いよ?セイヤも私の事そう言う風には思って無いよ?」


やっぱり櫂は星夜の事を気にしてるのだろうか?

私はセイヤの事は…

セイヤも私の事は…


「ふふ、そうなんだね。セイヤも似たような事言ってたなあ。僕の代わりはゴメンだねだってさ」


「そうだね、セイヤには悪い事してるとは思ってるよ」


「そっか、まあこの話はまだ保留にしておくね。一つの提案位に思ってて?」


「そう…」



櫂はどうしたいんだろう

結婚の話は驚いたがそれは本心なのか単に揶揄ってるだけなのか…


イマイチ櫂の思惑が掴めないでいた





○○○○○○○○○○





1月はマコトの都合でマコトには会わなかった


次の月の2月の末の金曜日にマコトに会っていた


「カイはまたおばあちゃんの所に行っててね」


「うん。先月カイがそう言ってた」


その流れで先月櫂と話した内容をマコトに伝えていた


「そうなんだね…カイはそんな事思ってたんだね」


「本心なのかな?」


「どうなんだろう…僕には…」


「?」


「カイはテルヒを試してる風に見えるかな…」


「試す?」


「子供みたいに、小さい子が親にやるみたいに。わざと困らせる事をして関心を引きたいって言うのかな?どんな対応をするか見たいって言うのかな…」


「成る程…」


「やっぱり…カイはテルヒに甘えてるのかも知れないね」


「そっか…」


そう言われてなんだか腑に落ちていた


「まあ僕もだけど…テルヒも八神の人間だから…感情が乏しい所が有るでしょ?」


「まあ…そうかも知れない…」


「だから…怒ったり悲しんだり泣き喚いたり叫んだり…しないでしょ?」


「うん…そうだね」


「多分カイも同じなんだよね。昔から聞き分けも良い子だったし。だから…そう言う人間らしい所を…テルヒにさせたい…見たいんじゃないかな?」


「そっか…」


「後は…カイもテルヒは自分に似てると思ってるだろうから。僕もそう思ってるよ?他人に優しくて社交的で友達も多い所とかは」


「うん…そうだね」


「ただ…決定的に違う所は…やっぱり包容力かな?カイは少しその点は足りない気がするね。後は執着心はテルヒには無さそうだね」


「そっか…」


執着心…

私にはその点はまだ見出せていなかった


後は櫂に有って私に無い物は、誰かを本当に好きになれる事だろうか…


「カイもね…多分その点は自覚してると思うんだ、賢い子だからね。だからテルヒを通して自分も試してるんじゃ無いかなって思うんだ。どうすれば自分に無い物が引き出せるだろうかって」


「成る程…」


「ただ…やっぱりテルヒは…僕と同じで怒りの感情が湧かないだろうから…それを引き出すのは難しそうだね」


「そうだね…確かに多少は拗ねる程度に怒ったりする事は有っても取り乱す様な怒りってのは経験無いかも」


「だからね、結婚とかの話も気にしなくて良いんだよ?テルヒにする気が無いなら断って全然良いんだからね。アンもそれで良いと思ってると思うよ?」


「うん。お母さんにも言われてる。好きな人と結婚すれば良いって。子供も好きな人と作れば良いって」


「そうだね。その通りだと思うよ」


やっぱり櫂は研究熱心と言うか…

研究者に向いてそうだ


そして私も…



「私ね、この間…初めて分かったの」


「何が分かったのかな?」


「幸せな気持ちが」


「そうなんだね」


「セイヤにね、教えて貰ったの」


「そっか、良かったね!」


「これを知る事が出来たのはマコトさんのおかげだよ?」


「そっか、多少役に立てて良かった」


「ふふ、多少じゃないけど…だからね、マコトさんから教わるのは終わりにするね」


「うん、分かったよ」


マコトは優しい笑顔をしてそう答えた


「でも…またこうしてお喋りしに来ても良いかな?」


「勿論構わないよ?」


「有難う!じゃあ…金曜日は仕事休みなんだっけ?」


「うん。そうだね。じゃあ…最初の週の金曜日以外なら…良いよ。テルヒはまだセイヤに会ってるでしょ?」


「分かった」


マコトもまだお母さんと会ってるのだろう


やっぱり私とマコトは似てるんだな

やってる事が同じだ

同じ日に気持ちよくして貰ってる…





そして4月を迎え中学2年生となり新学期を迎えた


櫂の考察を終えてマコトとの関係も終えました

まあ駄弁りの関係は続きそうですが


そして漸く中学1年生が終わりました


意外に長かった


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