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明宵  作者: 水嶋
黄昏時

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夏の予定

「来月は僕居ないから、お休みね」


「うん、分かった。何処か行くの?」


「おばあちゃんの所にね。お家の片付けとかね。暫く滞在するんだ」


「そうなんだね…」


7月の最後の週の水曜日、櫂の元に行くとそう告げられた


今年は一人で行って長期滞在するらしい

部屋の隅にスーツケースが置いてあった


元々はマコトが学会等で地方に行く際に使っている物でマコトは来月は使わないから借りるらしい


この家も比較的裕福だとは思うがやはりそう言う物欲のない所は八神家の人間は皆共通している様だ


「まあ課題も有るから片付けはそんなに出来ないかもだけどね。ご先祖の事も詳しく知りたいから片付けがてら何か分かるといいなあ」


「櫂は研究を引き継ぎたいって言ってたもんね」


「うん、そうだよ。色々知りたいんだあ…何故この研究…使命を始めようと思ったのかとかね」


私は考えた事も無かったけど…

櫂は好奇心旺盛なんだな


「そうなんだね。何か分かると良いね」


「うん、すっごく楽しみ!」


去年の…

私とおばあちゃんの所に行く時の話をしていた時には見せなかった嬉しそうな笑顔でそう言っていた


そして来月は櫂の元へ行かなくて良いんだなと思うとどこか安堵した気持ちになっていた


「でも…田舎だし家じゃないから近くに資料とか…課題をするのも大変じゃない?」


「まあその点は大丈夫。分からない事とか有ったらリモートでマコトに聞くから」


「成る程…医者の良い先輩が近くに居るもんね」


「そうだよ。あと田舎だから静かだし色々余計な事を考えずに集中できるしね」


「そうだね」


多分、私の事は余計な事なんだろうなと思った




その週の金曜日、約束をした通りマコトの元へ通っていた


最初が5月末だったので今回で3回目だった


マコトとは主に雑談が多かった


櫂の事は勿論、マコトも同じ学校を卒業していたので学校の事や後は私の友達の事など色々話していた


お父さんもお母さんも忙しい人なので大した内容の無い話はしていなかった


あと静風や大地や星夜の事も…

星夜と話していても静風や大地の話は余り興味が無さそうなので初めてちゃんと聞いてくれる人に出会ったなと思っていた



「でね、ダイチもシズカも多分お互い好きなんだと思うんだけど…ダイチが人気が有ってモテる人だからね、周りのやっかみが凄くて学校で仲良く出来ないの」


「そうなんだ、カッコいい人なんだね」


「うん、イケメンだね。シズカも昔それで女子にハブられて大変だったの。でね、私も小6の時にクラスの女子に呼び出されてね、私はダイチとはただの友達だからねって説明してね」


「へえ、テルヒも巻き込まれちゃったんだね。仲間外れにされたり虐められたりしなかった?」


「その子がダイチの事が好きだったからね、もしも付き合えた時に失敗しない様にファーストキスの練習をしてあげたの!今では皆と仲良しなんだよ?」


「あはは、それは凄いね」


「バレンタインにもチョコくれてね!ダイチより貰った数多かったんだよ!」


「わあ、それは凄いね!本当に皆と仲良しになれたんだね!テルヒは凄いね!」


「えへへ」


この話は星夜と大地には注意されてしまったけどマコトは褒めてくれて何だか嬉しくなっていた


やっぱり私の事を否定しないで理解してくれるマコトは本当のお父さんなんだなあと思った


「でもやっぱり今の子は皆大人びてるなあ」


「そう?」


「うん。アンはともかくインは…テルヒの歳の頃は大変だったんだから…」


「まあインくんはちょっと特殊かもだけど…」


星夜の話だと中学に入って早々に沢山の女子と遊んでたらしいので寧ろ私より大人だった気もするけど…


「中学に入って直ぐにね…あの子それまで外の生活をしてなかったから…学校の非常ボタン押しちゃって…」


「えっ!?あの赤いやつ!?」


「そう…一応トモハルくんが先に非常ベルが鳴って大騒ぎになるから押しちゃダメって教えてたらしいんだけどね…その通りになるか試してみたくなったって…」


「あはは」


「その後学校に呼び出されて凄く怒られたよ…なんとか転んで非常ボタンのある所に手をついて押してしまったって言い訳したけどね…」


「確かあれって…ぶつかった位じゃ押せない作りになってると思うけど…危険な緊急事態だから押しますよって強い意志が無いと…」


「そうなんだよね…まあ苦しい言い訳だったね…後は…まあ、その年の寄付金はかなり上乗せして払ったみたい。謝罪も込めて…」


「あはは、確かにそれは大変だったね」


「そんな事とか色々有ったからね…カイにはちゃんと教育しなきゃって思ってね。ただ僕は色々事情があってカイが小さい頃にまた医学部に入り直して学生で大変だったから…」


「うん…」


「小学生の時は全寮制のボーディングスクールに入れたんだ」


「そうだね…」


「確かにそのおかげでしっかりした子に育ったとは思うんだけどね…やっぱり1番甘えたい時期に親元から離されるのは良く無かったのかも知れないね」


「そっか…ある人にね…」


「ある人?」


「うん…カイは…私に対する態度は…甘えているんじゃないかって言われたの」


「そっか…」


「マコトさんにもお母さんにも見せない素の姿を…私に対しては見せられてるんじゃないかなって…」


「うん…そうかも知れないね…」


「そう思うとね…前は少しカイが怖かったんだけどね…今はそんなに怖いと思わなくなったの」


「そっか…やっぱり僕の責任も大きいかな…ちゃんと見て…愛情を持って育ててあげられなかったから…」


「ううん。それは少し違うかも知れない」


「そうかな?」


「うん。多分ね、大切な人の前では素の…カッコ悪い恥ずかしい所見せたく無いんじゃないかな?」


「そうかな?」


「カイはマコトさんの事が好きで大切に思ってるから…良い子の姿を見せたいんじゃないかな?多分お母さんに対しても、お母さんがマコトさんに対しても…」


「そう言われると…アンも昔から我儘言わず聞き分けのいい子だったからなあ…何だかんだでインの面倒も見てくれたし…」


「そうなんだね」


「テルヒもそうなのかな?」


「私は…逆かも知れないかな。大切な人には本当の自分を見て分かって欲しいって思う」


「そっか…多分僕も同じだね。信頼してる人には偽りの姿は見せたく無いと思うかな」


「そっか…」


やっぱりマコトと私は似てるんだなって思った


「来月は…カイは留守だけどどうする?金曜日もお休みする?」


「ううん。金曜日はマコトさんに会いに来てるから来るよ。いいかな?」


「うん、僕は構わないよ」




今年の夏は櫂でなくマコトと約束をした


今年は櫂は1人で行く様です


そして今年は変わってマコトと会いますが…

大丈夫かね?


そして…結局あの非常ボタンは押してしまった様ですね

詳しい経緯は「晏陰」を参照下さい


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