もう1人のお父さん
「こんにちは」
「やあ、テルヒいらっしゃい」
「珍しいですね?水曜日にお家に居るの」
「普段は勤務してるんだけどね。この間同僚の先生が急用で僕が代わりに休日出勤したから今日は代休なんだ」
「そうだったんですね…」
今日は櫂と約束している最後の週の水曜日だったので櫂の元へ出向いたのだが珍しくマコトが居て出迎えてくれていた
「あの…カイは?」
「あー、急遽用事が…大学からまだ帰れないからって少し前に連絡有って。僕が家にいるからテルヒに直接伝えてって。折角だからゆっくりして行ってだってさ」
「そうですか…」
「今日は多分カイは遅くなるから…どうする?折角来てくれたんだから少しお喋りでもしてく?」
「そうですね、マコトさんとは普段あんまり会わないし…折角だから」
「じゃあ入って」
「はい」
そう促されてリビングに入った
「コーヒー飲める?」
「はい、砂糖とミルクが入っていれば…」
「あはは、僕と同じだね」
そう言ってマコトはコーヒーの入ったマグカップを2つキッチンから持って来て用意してくれた砂糖とミルクをお互いマグカップに入れて一口飲んだ
マコトは私の本当の父親だ
やっぱり味覚も似ているのだろうか
田所も私とマコトは似ていると言っていた
私はマコトの事は余りよく分からないのでこの機会に色々知ってみようと思った
お母さんが本当に好きなこの人の事を…
「今日は本当にゴメンね」
「いえいえ」
「いつも…毎月通ってくれて有難うね。本来ならカイが行かなきゃだと思うんだけどね。何だかアンの家に行くのを嫌がっててさ」
「いえいえ」
多分…お父さんの存在があちこちに有る私の家には来たくないのだろう
「カイとは仲良くやってる?」
「ええ…まあ…多分…?」
「あはは、何だかあやふやだなあ」
「まあ…私は仲良くやって行こうとは思ってるんですが…カイは私と仲良くしたいかは…分かりません」
「そうなの?」
「まあ…それは仕方ないのかも知れません…」
「仕方ない?」
「はい…私が悪いんだと思います」
「テルヒが悪い?」
「まあ…そうですね。やっぱり。折角私の為に色々準備してくれてたのに…結果私がその親切を踏み躙った事になるのかな…」
「ふむ…良かったら詳しく教えて?」
「はい…」
マコトは精神科医をしているだけ有って聞き出すのが上手いと言うかやはり父親という包み込む様な安心感と言うか…
この人ならちゃんと話を聞いてくれそうだと思えた
なので櫂と初めてキスやセックスをする前に星夜と先に練習していた事や櫂とはアナルセックスしかしていない事を打ち明けた
「成る程ね…」
「多分…カイは自分より先にセイヤを使って練習していたのが許せなかったんじゃないかなと思います」
「どうなんだろうなあ…それだけの理由なのかなあ?」
「後…カイは…お母さんの事が本当に好きだから…」
後は…星夜が言う様に八神家の人間として認められて居ない、蔑んでいた星夜に先に手を付けられた…
と言う事もあるのかも知れないが…
そこまでは言わなかった
言ってしまうと星夜を蔑んでいる様になりそうで言えなかった
星夜は私なんかよりよっぽど多才で頭も良く優れた人間だ
「成る程ね。アンはトモハルくんと結婚してるからね。アンに続いてテルヒも他の男の物になったって思ってるのかも知れないね」
「最近では私の事お母さんの代わりみたいに思ってる感じがします。アナルセックスしてる時お母さんの名前で呼ぶ時も有ります。お母さんのアナルは他の誰にも使われてないから…自分だけの物だって。そう言う事も有ってアナルセックスしかしないのかも知れません…」
「そうなんだね…そう言う独占欲と言うか執着は…御月に近いかなあ…」
「ミヅキって確か…」
「僕の姉であり産みの母親だね。僕の父親の云足と御月との間に僕は産まれたからね。御月は云足と宮乃との間の子だよ」
「そうですね…」
確かおばあちゃんの所で見た家系図でそう記されていた
宮乃は云足ときょうだいでありお母さんの育ての親だから私のおばあちゃんに当たるがそう呼ばれるのが嫌みたいなんで私は本人の前では宮乃さんと呼んでいた
「御月は…僕が幼い頃からずっと僕に執着していてね。まあ行動を監視されて制限されて…束縛されていたんだよ」
「そうなんだ…」
八神家の人間にそんな激情的な人が居たとは少し驚いた
「でね、最後は…僕の目の前で自殺したんだよ。僕のお父さんからもう子供は産ませられない年齢になるからって言われていた35歳で。僕の記憶の中でずっと歳を取らない為に」
「そんな…」
亡くなっていたのは知っていたが死因や自殺した理由までは知らなかった
「そんな事が有ったから…何だかカイも危うい感じがするね…どこか御月みたいな感じがして…」
「私はカイをそんな最後にさせたくない」
「そうだね…僕もそう思うよ」
「どうすれば良いんだろう…」
「テルヒはカイの事心配してくれて優しいね。カイの事は好き?」
「まあ…でも…」
「?」
「その好きは…多分カイがお母さんに思ってる好きとは違うと思います」
あと…お母さんがマコトに思っている様な…
「そっか…じゃあセイヤの事が好きなのかな?」
田所と同じ様な質問をされていた
「それも…カイに思うのと同じ様に…そう言う好きとは違うと思います」
「そっか…」
「私は…分からないんです。誰かを本当に好きって気持ちが…」
「そうなんだね…テルヒも僕と同じなんだね…」
マコトは悲しそうな顔をしていた
「マコトさんは…」
「?」
「私の事…自分と似ているって思いますか?」
「そうだね…よく似てるね…」
「どうしてだか知っていますか?」
「それは…ハッキリとは聞いてないけど多分…予想はしてるよ?」
「そうですか…」
「僕は…子供としかセックス出来ないから…テルヒを産んだ頃のアンとはセックスしてないけど…多分何かしらの方法で…」
「そうですね…」
「テルヒは…知ってたんだね」
「まあ…はい。私が八神家の使命を全うする様に言われていますし…」
櫂に指摘された事を述べた
マコトは田所の薬を使われていた事は知らない様だった
恐らく受精卵を自分の精子を使って作ったと思っているのだろうが…
田所の言っていた様にお母さんが自然妊娠を望んで…マコトの事が本当に好きなお母さんは…
恐らく大人になった自分とセックス出来ないマコトに薬を使って眠姦したのだろう
「そうだよね。でも…カイが何故あの子を欲しがったのか…理由が分かったよ」
「あの子?」
お母さんの事だろうか?
「やっぱり…刷り込みと言うのかな?最初の相手には特別な感情が湧きやすいのかな?」
「刷り込み?特別な感情?」
「アンもインも…最初に色々教えたのが僕だったからね。カイも最初に教えたのがアンだった」
「そうですか…」
「インなんて今だに僕のお尻を狙ってるからね。油断も隙もあった物じゃ無いよ…」
そう言ってため息を吐きながら自分のお尻を手で押さえていた
「あはは、やっぱりインくん面白い!」
「そして今だにアンとインは仲が悪い…」
「あはは。私は好きだけどなあインくん。でもお母さんはインくんに近づくなって言ってる」
「やっぱり仲悪いなあ…」
「お母さんはインくんとセイヤに私に近づくなって言ってるみたい」
「それは…やっぱり八神家の使命の為…だよね。僕はその事は反故にして好きな様に自由に生きて行って欲しいって言ってるんだけどね」
「そうなんだ…」
「テルヒもだよ?八神家の使命の事は気にせず自由に生きて良いんだよ?」
「はい…有難うございます」
「そろそろ…いい時間になっちゃったかな。暗くなる前に帰らないとね」
「あっ…そうですね。色々お話し出来て良かったです」
「そっか、そう思ってくれて良かった」
「マコトさんとは余り喋った事が無かったから今日は色々マコトさんの事も知れて良かったです…あと今まで人に言えなかった事とか…話せて気持ちが少し軽くなりました」
「そっか…でもこの先も…カイとは付き合ってくんだよね?」
「そうですね…お母さんの為と…お母さんの期待に応えたいカイの為にも…」
「もし良かったらさ、また話しにおいで?僕金曜日が休みだから…」
「良いんですか?」
「うん。そうだなあ…毎月最後の週の水曜日に家に来てるよね?あと…最初の週の金曜日はセイヤと練習してるんだよね?」
「そうです」
「じゃあ…カイと会ってる週の金曜日…はどうかな?カイの事も聞かせて欲しいし」
「はい、分かりました」
「この事は…カイやアンには知られない方が良いかも知れないね。色々周りに探られずに気兼ねなく悩んだり考え込んだりしてる事を話したいでしょ?」
「確かに…そうですね」
「じゃあ、また来月の金曜日においで」
「はい、分かりました」
「それじゃあ気をつけて帰ってね」
「はい、有難うございます、それじゃあ」
そう言ってマコトの家を出た
通りすがりにお母さんの働いている病院が見えた
お母さんにも櫂にも内緒でマコトと毎月会う約束をしてしまったが…
私にとってはお父さんだがお母さんにとっては大好きな大切な人だ…
いくら実の子とは言え2人きりで会う事を知ると余り良い気持ちはしないかも知れない
やはりこの事は誰にも…
星夜にも秘密にしておこう
そう思いながら家に帰って行った
照陽はマコトと初めてゆっくり話しましたがやはり似た者同士…なんでしょうか?
そしてマコトとも誰にも内緒で毎月会う約束をします
秘密主義な所は杏に似たのかな?




