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明宵  作者: 水嶋
黄昏時

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カラスと会談

照陽は忠告を無視して田所と会います


長くなったので2話に分けます

「遅くなりました」


「いや、僕が少し早く着いただけだからね、時間通りだよ?」


待ち合わせに指定したカフェに着くと田所はもう居て私を見つけて手を挙げていた

以前会った時と同じく上から下まで真っ黒でやっぱりカラスみたいだなと思った


「この度はお時間を作って頂き有難うございます」


「いえいえ」


星夜の部屋でメモを見つけてその日に田所に連絡を入れて会う約束を取り付けた


この事はお母さんにも星夜にも伝えていなかった


星夜はなんだか殺されるかも知れない様な、ダイイングメッセージみたいな物騒なメモを残していたが、私はそこまでの危機感は持って居なかった


それはやはり…お母さんの存在が有ったからだろう

何か私に有ったらお母さんが許さない筈だ

星夜曰く暗殺者なら…

いやいや、お父さんの実家は警察一家だから!その安心感は有った


田所は私に相談に乗ると言っていた

殺したい相手ではない筈…多分


「もう…丁度1年くらい前になるのかな?星夜くんと同じ場所、同じ時間に待ち合わせてここでお話したよ?」


「そうですか…どんな話をしたんですか?」


やはり星夜は田所とこの場所で会っていた


「星夜くんからは聞いてない?」


「はい…植咫さんと会った事も教えてくれなかったんで…何を話したかも知りません」


「へえ…そうなんだ。中々楽しいお喋りだったんだけどね?」


「そうなんですか…」


楽しいお喋り…お母さんの事とかでは無いのかな?

星夜はお母さんの事怖がってるし、お母さんの話題なら星夜は楽しいとは思わないだろうし話も弾まないだろう


何か別の事なら、敢えて聞く必要も無いかなと思った


「今日は何やら相談が有ると書いていたけど?」


「それは…植咫さんに聞きたい事が有って」


「何だろう?」


「お母さんに何の用件で会ってるんですか?」


「まあ…大した理由じゃ無いよ?近況報告や…世間話かな?マコト先生と同じ様に会ってお喋りしてるだけだよ?」


「そうなんですか…」


「心配?」


「まあ…その…はい」


私は素直に頷いた


「テルヒちゃんも僕の事は星夜くんから聞いてるだろうから大体どんな人間か知ってるだろうからね。そう思うのは仕方ないかな」


「すみません…」


まあ同じ場所、同じ時間に指定した辺りで私と星夜は繋がっている事は分かって居るだろう


星夜から聞いている…

恐らく星夜は田所がどんな人間か知っている事を本人に伝えたのだろう

中々肝が座ってるのはやはり中身がおじいちゃんだからだろうか


星夜は田所の過去を色々調べたので現在も殺人等で指名手配されている事や、戸籍や姿形を変えている事は私も知っている事は理解しているだろう


「アンちゃんはね、テルヒちゃんの事凄く心配してたよ?」


「私の事?」


私がお母さんの事心配してるのに…

だから今日は周りの忠告を無視して田所に会っていると言うのに何だかあべこべだなあと思った


「テルヒちゃんが…去年の夏休み辺りから様子がおかしいって…」


「あっ…」


去年の夏休みは…

櫂と秘密基地で色々あった

私はお母さんには心配かけない様に上手く櫂とセックス出来たと報告して明るくしているつもりだったが…

櫂もお母さんには星夜との事前練習の事は秘密にして同じ様に伝えている筈だが…

その様に櫂は私に言っていたので信じていた


「テルヒちゃんは何か有ったんじゃ無いかってね。その事で相談には乗ったんだよ?」


「そうですか…明るくしてたつもりなんだけど…」


「何か有ったのかな?」


「まあ…そうですね…」


「お母さんにも言えない事?」


「まあ…はい…心配かけたくないので…」


「そう。まあアンちゃんもちゃんとお母さんしてるんだね。テルヒちゃんの異変を敏感に察知するんだからね。テルヒちゃんはアンちゃんに愛されてるんだね。好きな人との間の子供だものね」


「そう…ですか…」


やっぱりお母さんは優しくて私の事いつも気にかけて大切にしてくれてるんだ…


「お母さんは…私に好きな人と結婚して良いんだよって言ってくれました」


「それはマコト先生の意思を引き継いでるんだね。マコト先生もアンちゃんとインくんに同じ様に言っていたからね。八神家の使命に拘らず好きな人と結婚して子供を作って良いんだよって言っていたからね」


「そうなんだ…」


「インくんもアンちゃんも…ちゃんとその教えに従って好きな人との子供を授かってるから、テルヒちゃんにもそうして欲しいんだろうね」


「そっか…お母さんは八神の子供の事は心配しなくても私がちゃんとどうにかしてあげるからねって言ってくれました」


「そうなんだね…昔は自然妊娠させたかったみたいだけど…アンちゃんも親になって考えが変わって来たのかな」


「そうなんですか…自然妊娠…」


「アンちゃんも好きな人との子供は人工授精じゃなくてちゃんとセックスして妊娠して幸せだったんだろうからテルヒちゃんにもそうして欲しかったんだと思うね」


「そうなんだ…」


「だから櫂くんと最初にセックスさせて好きになって貰いたかったんじゃないかな?自分とマコト先生の時と同じ様に…」


「多分…それは無理なんじゃないかなあ…」


「そうなの?どうして?」


「それは…」


そこで夏休み、秘密基地で有った事を話した


話すつもりは無かったのだが、田所の誘導に乗せられる様に…

当事者の星夜とは違う、お母さんや静風や大地にも言えないこの事を…無関係の第三者の誰かに…


ズッシリとのしかかって抱えているモヤモヤしている事を吐き出したくなってしまったのかも知れない


「成る程ね…確かにそれじゃあ自然妊娠は難しいね」


「この事はお母さんには話さないで下さい。余計な心配かけたく無いから…」


「分かったよ」


「カイは…お母さんの事が大好きなんです。私の事はお母さんの身代わりにしてるだけだと思います」


「そうなんだね」


「カイは…この先も私とはセックスはしない気がします…恐らく先に星夜とした所に挿れたくないんだと思います」


星夜の言う事が正しいのなら…

蔑んでいる星夜が先に使った所には挿れたく無いのだろう


私のアナルの事を便器だと言っていたし、私の事はそう言う風に見ているのだろう


「そうなんだね」


「星夜との話を聞いてから2人きりの時には明らかに私に対する態度も変わりました…いや…元々そう言う人だったのかも知れませんが。今まで取り繕っていた部分を隠す事無く開けっぴろげにしてると言うか…」


「でもそれは別の言い方をすれば、テルヒちゃんに素直な所を見せている…気を許しているって事にもなるんじゃないかな?」


「そうなんでしょうか?」


「僕の意見を言うと…恐らく櫂くんはテルヒちゃんに甘えてるんじゃないかな?」


「私に?」


「櫂くんは小さい頃家を出されて全寮制…ボーディングスクールに行ってたんだよね?」


「そうですね…インくんの事が有ったからカイにはちゃんとした環境で育てたかったみたいです。マコトさんは当時まだ大学に入り直して学生だった事もあって…」


誰かさんのせいで…とは口には出さなかった


「多分、まだ甘えたい時期に親から離れて生活をして周りから期待されて無理矢理良い子で大人になった…のかな。やっぱり幼少期の環境は大事だよね。インくんにしろ櫂くんにしろ…」


「成る程…」


韻くんを見てると特にそれは感じる

麻由さんとの関係は奥さんと言うよりお母さんみたいに思える


「だから、テルヒちゃんはアンちゃんとはまた違った…自分の素を出せる相手…なんじゃないかな?嫌だとか嫌いだったら2人きりで会ったりアナルセックスもしないと思うし、アンちゃんに報告してると思うけどね?」


「そっか…」


確かに言われてみればその通りだ

私は櫂より9歳下なんだが…





しかし何だか田所の意見はしっくり来ていた


やはり田所との会話は長くなりますね…


と言う事で後半に続く

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