忠告
「おはよう!」
「おは…よ…」
最近女子から…何だか距離を置かれてる気がする…
「おはよう、テルヒ」
「あっ、ダイチ、おはよう!」
「もうすぐゴールデンウィークだなあ」
「そうだね。また宿題沢山出るんだろうなあ」
「そうだろうなあ…」
そう話しているとダイチが近寄って小声で囁いて来た
「また、4人で宿題やるか?」
「そうだね。そうしよっか。私シズカに都合のいい日聞いとくね」
「うん。俺はセイヤに聞いとく」
と、ヒソヒソと話していた
「テッテルヒ…これ…」
「ん?なあに?」
この間呼び出された澪が何か紙袋の包みを渡して来た
「昨日…クッキー焼いたの…良かったら食べて!」
そう言って押し付けて走って行ってしまった
「有難う!帰ったら食べるねー!」
聞こえたか分からないが一応お礼は言った
「あのっ!杉田さんっ!」
入り口からよそのクラスの女子の里絵が私を呼んでいた
「なあに?サトエ…」
「あのっ…これっ…」
そう言って可愛い表紙のノートを渡して来た
「なあに?」
「昨日…買い物に行って…可愛かったから…ついでにテルヒにもどうかなって…」
「えっ!?これくれるの!?」
「うん…私とお揃い…」
「わあ!嬉しい!有難う!何かお礼しなくちゃ…」
「いっ!いいよ!私があげたくてあげるんだから!」
「本当に?何か悪いなあ…でも有難うね!買い物してる時まで私の事思い出してくれて嬉しい!」
そう言ってサトエに抱きついた
「テッテルヒっ!」
里絵は顔が真っ赤になっていた
「ふふ、可愛い」
「ちょっとサトエ!アンタ他所のクラスなんだから大した用事でも無いのにチョロチョロ来ないでよ!」
クラスの女子の絵梨奈が里絵に怒っていた
「用事あるもん!テルヒに!」
「気安くテルヒにベタベタしないでよ!」
「ゴメンゴメン、私が嬉しくて抱きついたから…エリナも騒がしくしてゴメンね!」
「別にテルヒは悪くないし!」
何だか色々騒ぎになってしまった
漸く落ち着いて大地がまた話しかけて来た
「何か…段々すごい事になってるな…」
「うーん…私は誤解を解いて皆と仲良くしようとしたんだけどなあ…」
「もしかして…サトエもエリナも…例の練習した訳?」
「うん、そうだよ?皆ダイチが好きだって言うからさ…」
私は澪に呼び出された後日、里絵の友達グループと絵梨奈の友達グループからも同様に呼び出されて同じ様に尋問されていた
誰が大地と付き合う様になるのかは分からなかったが、私は皆それぞれ誤解を解いて平等に練習してあげた
本心は静風と結ばれて欲しいけど…
選ぶのは大地だし、私はそこまで口出ししたり介入する事はしないでいた
その内静風にも練習してあげなきゃと思っていたが…
澪達に呼び出された時、大地も偶然居合わせてしまい少々気まずかった
やっぱり好きな人にキスの練習してる所なんて女の子は見られたく無かっただろう
そう思ってあの時は大地に見なかった事にして欲しいとお願いしていた
教室で大地と話していると目立つので、またあらぬ誤解をされない様に放課後大地と人目がつかない場所で改めて話そうと言われた
まあどこに居ても結局目につくかも知れないとなって、家に来る事になった
家は夕方まで誰もいないので都合が良かった
「あのな、テルヒ…あの練習の事な、セイヤに聞いたんだ」
「そうなんだ…」
「テルヒはその…セイヤと練習してるんだよな?」
「うん、そうだよ?」
「ミオとの一件の後も…サトエやエリナとも…やっちゃったんだよな…」
「うん、そうだよ?1人だけに特別扱いは友達としてダメだと思ったから」
「そっか、まあそれは良い心掛けだよな」
「うん!おかげで誤解も解けたし前より仲良くなれたよ!」
「いや…多分…仲良くなりすぎ…まあ良いか」
「?」
「あんな、セイヤがな、あの練習の事は人に話さない方が良いって言ってたぞ?俺も同意見だな」
「そうなの?」
「まあ…セイヤにとってもテルヒにとってもキスはたかが口を付けるだけって事なんだろうがな、他の人は特別な意味が有るんだよ」
「特別?」
「そう。好きな人とする物だから…無闇矢鱈にするもんじゃないんだよ」
「そうなんだ…」
星夜がたかがキスって言ってたのに…
なんだかチグハグだなあと思っていた
「だから…テルヒがキスしまくってると…テルヒはヤバい奴だって変な噂がたって…学校に居辛くなるぞ?ウチの学校は高校まで続くし…友達も居なくなって高校卒業まで独りぼっちになるかも知れないぞ?」
「えっ!?それはやだっ!」
「だから、これからは他の人と練習は無しな」
「うん、分かった…」
「セイヤと練習してる事も秘密にしとけよ?バレるとセイヤもとばっちりを食うぞ?」
「そうなの?」
「セイヤが言うには…テルヒは俺だけに飽き足らずセイヤにも手を出す女って見られるだろうって」
「むう!私ダイチに手を出してない!」
「それは俺が1番分かってるから…」
「うん!そうだよ!ダイチはシズカと結ばれて欲しいし!」
「えっ?」
「だって好きなんでしょ?」
「うん…まあ…やっぱ分かる?」
「うんうん!やっぱりな!」
「何だよ…カマかけられたのかよ…」
「あはは!やっぱり思った通りだ!良かった!」
「テルヒはどうなんだよ…セイヤが好きなんじゃないのか?」
「うーん、まあ好きだけど…イマイチピンと来ない。多分ダイチやシズカが思う様な…そう言う好きじゃないのかも」
「そうなんだ…」
「私はね、カイって決められた人が居るんだけどね?」
「えっ?カイ?誰それ…」
「まあお母さんのいとこの子…だからはとこ?戸籍上は」
「戸籍上?」
本当は兄だけど、その事は言わないでいた
「まあ、そのカイの事も好きだけど…おんなじ感じでピンと来ないの」
「そっか…幾つぐらいの人?」
「今医学生で…今年21歳かな?」
「ええっ!?そんな年上の人!?」
「うん。だから…優しいんだけど…イマイチ好きとかピンと来ないの」
「そっか…そんだけ年が離れてりゃなあ…その人は許嫁みたいな感じ?」
「うーん…結婚とか約束してる訳じゃないんだけど…でもお母さんはカイと結婚したら嬉しいって言ってた」
「そっか…でもな?」
「?」
「やっぱり…付き合うとか結婚とかは…人のためにするもんじゃ無いと思うぞ?自分が本当に好きだと思った人と付き合うべきだと思うがなあ…」
「やっぱりそうかあ…お母さんも無理にカイと結婚しなくても好きな人とすれば良いって言ってくれた」
「そっか、理解あるお母さんで安心した」
「そうだよ?すっごく優しいんだから!セイヤは殺されるって怖がってるけど」
「あはは、あのセイヤにも怖いものとかあるんだなぁ」
「まあ私の知る限りでは私のお母さん位かな?基本ふてぶてしいから」
「確かにな!でもやっぱりセイヤは可愛いぞ?どこか憎めない奴だよな。大人びてるけど…」
「どうだろ?やっぱり見た目は子供、中身はオッサンだよね」
「正にリアルオジナンだよなあ。その内事件とか解決し出すかもな」
「丁度デッカいメガネかけ始めたし。後は蝶ネクタイでも付ければ完璧だね」
「ところで…あの練習って…カイって奴の為にセイヤとしてるの?」
「うん、そうだよ。セイヤなら失敗しても大丈夫ってか構えなくて良いから気持ちが楽」
「そっか…やっぱり気を許せる相手なんだなあ」
「まあね。小さい頃からの仲だしお願いしたら大体聞いてくれるし」
「あはは、テルヒはセイヤには甘えるんだな。負けず嫌いのシズカが気を許して頼ってるからしっかりしてる人に見えたけど」
「そうだ、シズカにも練習してあげようと思うんだけど…やっぱりダメ?」
「絶対ダメ!」
「仕方ないなあ…ぶっつけ本番になるだろうけど…シズカのファーストキスはダイチに任せるか…」
「あはは、普通はファーストキスの練習なんて物は無いんだからな!」
「そうなんだ…」
「まあそのおかげで俺は蚊帳の外になって気楽に過ごせてるかもだが…」
「そうなの?」
「ミオの時も…テルヒがシズカの二の舞になるんじゃって心配して様子を見に行ったんだけど何か予想の斜め上の展開になってて腰抜かしそうになったぞ…」
「あはは、ダイチしっかり立ってたじゃん!まあ何か怯えた顔してたけど」
「そりゃあんな場面見たら誰でもビビるだろ…殴り合いよりある意味怖かったぞ…」
「私そんな野蛮な事しないもん!万が一そうなってもお父さんから護身術習ってたから負けないけどね!」
「やれやれ…どの道相手はバッドエンドだな…」
「あっ!そうだ!ミオから貰ったクッキー食べる?ちょっと食べてみたけど美味しかったよ?」
「いや…いい…何か怨念とか色々取り憑きそうだし今や俺は下手したら敵になってそうだし呪われそうで怖い…」
「そう?考え過ぎじゃない?可愛いハートの形だったよ?」
「さらに怖い情報が追加されたぞ…」
櫂の事は静風にもまだ話していなかった
八神家の使命については他言無用だったので関係者以外で使命の為の交配相手の八神家の人間の存在を話したのは大地が初めてだった
恐らく星夜も櫂の事や八神家の事については大地にも話していなかっただろう
流れで話してしまったが後から少々不安になって来たので改めて星夜と色々擦り合わせをした方が良いなと思った
とりあえずゴールデンウィークにまた4人で家に集まって宿題をする段取りを私は静風と、大地は星夜と取り付けた
何だかモテ期の照陽の様です
(ただし女子限定)
そして櫂の存在を大地に話してしまいましたが後から不安になっている様です
照陽も星夜も大地にはポロッと喋ってしまう様ですね




