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明宵  作者: 水嶋


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21/40

受け売り星夜

「お疲れ様でしたー!」


「これでセイヤくんはオールアップです!」


春休みに俺の出演するシーンを全て撮り終えて今日が撮影最終日だった


「お世話になりました」


そう言って俺は一礼した


「お疲れ様でした、セイヤくんとお芝居出来て楽しかったよ!」


そう言ってキララは俺に花束を渡して来た


「有難うございます」


周りのスタッフから拍手が起こりその場面を撮影したり写真に撮られたりしていた


最後のシーンはキララとピアノ演奏の場面だった


「じゃあ…セイヤくん景気付けに何か弾いてよ!」


「えー…」


監督から無茶振りされた

この監督は最初の印象は気難しそうなオッサンだったが実はかなりのお調子者であの時は演技していた様だった


お前が役者になれよ…


とも思ったが実際若い頃に役者を目指していたらしい(Wikipedia調べ)


やはり人生何がどう転ぶか分からない物だなあと思った


「わあ!」


何か周りが期待して浮き足立っていた


やれやれ、仕方ないなあ…


まあ一応短い間だったがお世話にもなったし、今後関わる事も無いだろうが立つ鳥跡を濁さず精神で…


「じゃあ…一曲…」


「わあー!」


何かえらい騒になって来て人が集まり出した…

さっさと弾いて終わらせよう


そう思って皆が知ってそうな曲…

大地と友達になって流されるままこの場に連れてこられ役者まがいな事をさせられ撮影されたキッカケとなったAラッシュのあの曲を演奏した




「わあー!凄い!」


演奏が終わってまた大騒ぎになってしまった


「もう一曲!もう一曲!」


変なコールが始まってしまった


「はいはい…」



結局麻由が大地に披露したアルバムのメドレーを演奏する羽目になってしまった



「お疲れ様、最後大変だったね」


漸く解放されてキララが話しかけて来た


「本当ですよ…撮影より大変だった…」


「あはは、セイヤくんは頼まれたら断れない性格なんだね」


「みたいですね…じゃなきゃこんな所で演技して撮影なんてされてないですよ…」


「ふふ、確かにね!じゃあ私もお願いしたら聞いて貰えるのかなあ?」


「やめて下さいよ…俺まだこの間11歳になったばっかりの子供なんですから…」


「そうなんだ!おめでとう」


「有難うございます」


「じゃあ…また一緒に仕事したいな。セイヤくんと」


「えー…俺は芸能人になる気は無いですよ。目立ちたくないし、第一もっとふさわしい人間は沢山居るでしょう」


この世界は整った見た目と生まれ持ったオーラや人を惹きつける力を兼ね備えた人間が目指す場所だろう


正に大地の様な人間が…


「そうかなあ…セイヤくんお母さんに似て顔も整ってるし知識もあるし冷静な判断も出来るし向いてそうだけどなあ」


麻由も撮影の見学に来たりしていたのでキララは挨拶をした事があった


「何か高評価をして頂いて申し訳有りません」


「お世辞じゃないからね?」


「そうですか…」


大人の社交辞令…と思ってた事を見透かされていた様だ


恐るべしアカデミー賞女優ノミネートの観察眼…


「まあ役者は結局は自分がやりたいと思わないと出来ない仕事だとは思うけどね」


「そうでしょうね、非常に残念です」


「あはは、まあ役者じゃなくても仕事は一緒に出来るからね」


「?」


「照明や音声、スタイリストやカメラマン、あと脚本家や監督や…沢山の職種の人が集まって一つの作品を作り上げてるんだよ?」


「確かに…」


「あとは北野さんみたいなプロデューサーに広報にパンフレットやポスターの制作…映画やドラマの宣伝にも関わる人も沢山いるしね」


「そうですね…考えてみたら凄い世界ですよね。億単位の金が動く訳ですよね」


「まあ作品の規模にもよるけどね」


「成る程…」


「だから…どんな形になるかまだ分からないけどね、きっとまた将来セイヤくんと仕事するだろうなって…それは分かるんだ」


「へえ…そう言う先見の目を持つ能力者なんですか?」


「あはは、違うけど…強いて言えば野生の勘?」


「何ですかそれは…それを言うなら女優の勘とかじゃ無いんですか?キララさんに野生味は感じませんが…」


「確かにね!」



何だか前に俺が照陽に言った様な事をキララは言っていた





○○○○○○○○○○





「撮影どうだった?」


「うーん、多分問題なく終わった…筈…だと思う」


大地の家に遊びに行って近況報告をしていた


一応今回の件は大地とライブに行った事が発端だったので大地も心配してくれていた


「一応変装や偽名使ってるんだっけ?」


「そうだよ。金髪のウィッグつけた」


「へえ!スゲエ!早く見てみたいなあ」


「そんな面白いもんじゃないぞ?」


「だってこのセイヤが…想像つかない!」


「まあ普段前髪伸ばして顔を隠してるテルヒ曰く陰キャだからな俺は」


「あはは、陰キャとは思ってないけど…まあ敢えて目立たない様にしてるんだろうなとは思ってる」


「まあな…これも色々目立ち過ぎる両親への反発なんだろうな。多分なるべく平穏に過ごしたい欲求が強いんだろ」


「相変わらず冷静に自分を分析する奴だよなあお前は…でも何で金髪なのよ…」


「あー、なるべく今の姿とかけ離れて欲しいって要望出したら急遽変更したみたいよ。中々融通が効く職場だったな」


「へえ…成る程なあ」


「ズブの素人の俺を採用する位だから中々チャレンジングな監督なんだろうな」


「まあ素人の俺の目から見てもお前は雰囲気有るし…向いてそうだけどな」


「そうか?それを言うならダイチの方が向いてる世界だと思ったぞ?」


「そうかなあ…」


「うん。お前は演技の勉強でもしたらどうだ?エルって言うアドバンテージは有るんだし。多分あの器用な遺伝子は引き継いでそうだぞ?」


「どうだろうなあ。俺もお前と同じで悪目立ちしたく無いからなあ」


「そうか?もう既に目立ってるだろ」


「そうかあ…」


「何だ?何か問題でも有るのか?」


「まあなあ…あんまり目立つと…気軽に仲良く出来なくなる人とか…出てくるだろ?」


「あー…成る程ね。中々難しいな。人間関係って奴は」


「まあなあ…」


「あっ!そうだ」


「何だ?」


「キララさんがな、俺にアドバイスした事でな。時には馬鹿になる事も必要だとよ」


「馬鹿になる?」


「周りの事とか考えずにな。色々考え過ぎると結局上手く行かなくなるってさ」


「成る程な…やっぱり成功してる人間の言葉は重みが違うな」


「まあ俺達はまだ子供だし、多少失敗してもまだ許される年頃じゃないか?」


「そうだなあ…何か先生やおじさんと話してる様な気持ちになってるがな」


「何だよそれ…せめてお父さん位にしてくれよ…」


「だって俺の父さん俺よりガキだしなあ」


「成る程…その点はウチの家族に通じる共通項だな」


「まあ結局は俺達は似た者同士って奴なのかも知れないな」


「そうか?俺はダイチみたいに誰とでも仲良くしたりはしないぞ?」


「そこはそうだなって言う場面だろ…」


「はい、そうですか…」



大地は静風と仲良くしたい為に目立たない様にしてるんだろうか?






俺には好きな人の為にこういう行動するとかそう言う感情はイマイチ分からなかった


撮影も何とか無事終えた様です


星夜は頑なに芸能人になる事を拒んでいますが大地には薦めてるようです

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