五里霧中
短い冬休みが終わり、3学期が始まった
年が明けて私は漸く11歳となった
「おめでとう、照陽も初潮を迎えたわね」
誕生日が終わって少しした頃に生理も始まった
「これで無事子供を産める身体になったわ」
「うん」
「同時にセックスをすれば子供が出来ると言う事よ」
「そっか」
まだ私はセックスをしていなかった
しかし近い事は既にしていた
挿入はしていないが素股やマンズリと言う事は櫂に教わってしていた
星夜にも試した事があった
こういった行為でも妊娠する可能性があると櫂に教わっていた
「これからはこれを飲むのよ」
そうお母さんに言われてピルを処方されて飲み出した
不測の妊娠を防げるのと同時に生理不順などの改善にもなるらしい
お母さんは6年生の時に最初に妊娠して一年休学して一つ下の韻くんと同級生となって苦労したらしい
そんな事も有ったので私には学生が終わるまで妊娠しない様にと言われた
お母さんも私を産んだ後もずっと飲んでいてもう子供を妊娠する事はないと言っていた
お母さんはもうお父さんとの子を作るつもりは無いんだな…と思った
「俺は男だからなあ…よく分からなくてアンに任せっきりですまんなあ…」
「ふふ、大丈夫よ」
「寒いし冷やさない方が良いよな!?テルヒあったかいココアいれてやるからな!」
「うん!有難う!」
「やっぱりトモハルはテルヒに甘いわねえ」
「そりゃテルヒもアンも俺の大切な家族だからな!」
そう言ってお父さんはキッチンに行った
「これじゃきっとテルヒがお嫁に行く時は大変ね」
「あはは」
私はお父さんにもお母さんにも大切にされている
十分に分かっていたから余計に悲しくなっていた
「私は…櫂と結婚するの?」
「強要はしないわよ?私も好きな人と結婚したし」
そうだよね、お母さんはお父さんの事好きなんだよね!
「でも…テルヒがカイを好きで結婚するなら…八神に戻るなら嬉しいかな」
「そっか…」
戸籍上も櫂はお母さんのいとこの子となるので問題は無かった
実際は兄だが…
「まだそんな先の事を心配する必要も無いのよ?テルヒにはちゃんと好きな人と結婚して欲しいって思ってるから」
そう言って私を抱きしめて頭を撫でてくれた
ちゃんと好きな人…
お母さんは本当はマコトと結婚したかったんだろうか…
お母さんの言葉に少しモヤモヤしていた
「八神の子供の事は心配しなくても私がちゃんとどうにかしてあげるからね…」
そう耳元で小さく囁いた
○○○○○○○○○○
「テルヒ、生理始まったでしょ!」
「えっ?うん…先月…」
静風が部屋に遊びに来ていて、そう言われた
「やっぱり!あー…先越されたかあ…」
「よく分かったね…」
「だってトイレに行く時にポーチ持って行ってた!」
「あー…成る程…」
ちゃんと見てるなあ…と感心していた
「じゃあシズカはまだか…まあ焦らなくても自然に嫌でも皆来るし…」
「まあそうなんだけど!」
「シズカはやっぱり負けず嫌いだなあ…これは勝負とかじゃないんだからね?」
「負けず嫌いってのじゃなくて!テルヒと同じが良いの!」
「成る程…」
中々女心は複雑だ…
まあ私も昔から星夜のする事を真似して同じになりたくてそんな感じに思ってたからなあ…
人の事とやかく言える人間じゃないよなあ
私と静風は似てるのかも知れない
「じゃあさ、テルヒは好きな人出来た?」
「うーん…まだイマイチピンと来てない…」
「そっかそっか!」
「シズカは?気になってる人居るんだよね?」
大地の事…あれからどうなったんだろう
「私も…まだ五里霧中よ」
何か四文字熟語で解答して来た…
確か意味は…
物事の状況が全く分からず、どうしてよいか判断に迷う状態…だったか
「じゃあ私と大して変わらないね」
「まあそうなんだけど!」
「あはは」
まだはっきり大地の事が本当に好きって自覚し切れないのかな?
私も櫂に対して同じ様に思ってるのかもしれない
好きでは有るけど…
世間で言う付き合うとか恋人みたいに過ごすとか…
その様子が想像出来なかった
恋人同士がする様な事はもうしてるけど
それを言ったら星夜も同じなので、やはりピンと来ていなかった
「生理は先越されちゃったけど…付き合うとかファーストキスとか!そう言うのは同じ頃にね!」
「えっ!?何か難しく無い?それ…」
「お互いにあーだった、こーだったって相談し合いたいの!恋バナがしたいの!」
「何で?」
「だって友達じゃんテルヒは!大好きだから!何でも相談したり話し合ったりしたいの!」
「成る程…そっか、うん。私もシズカの事大好きだよ?ずっと友達でいてね!」
「当たり前じゃん!」
そう言って静風は抱きついてきた
「ファーストキスって大切なの?」
「そりゃそうだよ!初めて好きな人と思いが通じ合ってするキスなんだから!私の理想はねえ…告白してー、実は俺もずっと好きだったとか言われてー、ハグされてー、頭撫で撫でからのー、キス!きゃー!」
「あはは、何か想像力豊かだね」
「漫画で有ったシチュなの!想像や妄想じゃないし!」
「あはは、そっかそっか」
「初めてキスした時も報告ね!」
「はいはい」
ファーストキスって大切だったんだ…
ゴメンね静風…
私もうファーストキスは終わってた…
好きとかよく分からない相手と…
運動会やピアノの練習と同じノリで練習だって言って軽い気持ちでお願いして…
星夜と…
照陽は段々複雑な感情が芽生えて来ます
そして軽い気持ちで星夜との練習した事に後悔してる…のかな?
何でも一緒!は、これもこの年頃の女子あるあるなのかも知れないですね?




