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明宵  作者: 水嶋


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17/21

大船か泥舟か

「幾ら北野くんの一押しって言われてもねえ…」


「はあ…すみません」


「大丈夫!俺の目に狂い無いから!」


北野に連れられて流れで出演させられる事が決まってしまった映画の監督に引き合わされていた


ドラマを放送していたテレビ局に連れてこられて、付き添いで来てた麻由は観光客向けの展示ブースへ俺を置いて遊びに…見学しに行きやがった


そして、映画の監督に何故か俺が謝っていた


「君、事務所とか劇団とかにも所属してないんだよねえ?」


「まあそうですね、○○学園小学部5年生として所属してますね…八神星夜と申します」 


「それ所属ってのとは違うでしょ。はあ…」


「まあカテゴライズするなら、演技の勉強も経験も無い一般人でズブの素人ですね」


「ね!しっかりしてるだろ!?」


「いやいやいや…まあ歳の割にはしっかりし過ぎてるとは思うけどさあ…」


「はあ…恐れ入ります」


「受け答えが俺らと同年代なのよ!面白いでしょ!?」


「まあ、面白いけどさあ…」


てかあの時の話だとリハーサルやら撮影やらスケジュールを言っていたが…


まだ監督に話すら通して無かったんかい!

と俺は呆れていた


まあこの様子ならこの話はお流れ、俺は平穏無事に冬休みと春休みを迎えられそうだと安堵していた


「お時間を作って頂いたにも関わらず、ご期待に添えず申し訳ありません…」


それではこれで…


と言う前に北野が口を挟んで来た


「セイヤくんピアノがすっごく上手いんだよ!エルも驚いてたってダイチくんも褒めてたしピアニストのお母さんもこの子は天才だって太鼓判押してたんだから!」


おいおい、お前は俺の演奏聞いてないだろ

さぞ聞いて来ましたって口ぶりだな

しかも何か色々脚色加えられてるし…

確か麻由はそんな事一言も言って無かったし


やはり芸能界に生きる人間は嘘八百を呼吸をする様に自然に述べて口先も上手いな


「まあ、今回は出来ればフリの演技じゃ無くてリアルに演奏して欲しいとは言ったけどね…」


「あと、この達観した感じ!役そのままでしょ!?」


「まあねえ…親にDVと育児放棄されて放置されて食べ物をスーパーで万引きしてる所を保護された喋れない子だから…イメージには合ってるけど」


おいおい、どんな設定なんだよこの役…

その環境で何故ピアノが弾けるのかも謎だが


「とりあえずピアノ演奏だけでも聞いてよ!」


「まあ、折角時間作ったからなあ…仕方ないな」


「じゃあセイヤくん!宜しくね!」


「はあ…分かりました…」


そう言ってピアノの所に連れて行かれた


「今回メイン場面になる、星川と演奏するきらきら星でお願いね!」


「はい、分かりました」


「じゃあ俺が星川の役できらきら星弾くから、隣で合わせて弾いてくれ」


そう言って俺の隣に監督が座った


「モーツァルト編曲のきらきら星変奏曲で良いですか?」


「ああ、それで。楽譜とか用意するか?」


「いえ、大丈夫です。覚えてるんで」


「じゃあ…そうだな…辛い事があった星川に楽しい気持ちにさせてやる様な…親が子供を包み込む様な気持ちで演奏してみてくれ」


「はあ…分かりました…」


ただ本当に弾けるか見るだけじゃないのか…

何気に演技の注文つけて来てるし…


まあ兎に角さっさと弾いて帰ろう


そう思いながら監督に合わせて弾き始めた


監督は辿々しく弾いていた


何だか…


小さい頃に家にピアノを習いに来て無理矢理付き合わされた照陽との演奏を思い出していた


あいつはいっつも俺の真似をしようとしてこの曲も弾けるようになるんだって麻由から楽譜を借りて帰ったが譜面を途中まで見てそっと閉じていたと杏が言っていたらしい


その後も弾ける様になった気分になるんだって付き合わされたなあ…


照陽はいつも強引で我儘な子供だ


その事を思い出しながら演奏し終わった



「いやあ!やっぱり凄いねセイヤくん!聞いてた通りだった!」


北野、今それ初めて演奏聞いたって暴露してるのと同じだぞ…

まあどうでも良いか、後で怒られても知らん



「成る程ね。確かに…」


「恐れ入ります。それじゃあ…」


今度こそ失礼します、と帰ろうと思っていると…



「いやあ、悪かったね!試す様な事して」


「いえいえ、別に。お気になさらず…」


監督が謝罪してきた

まあ謝罪して欲しかった訳では無いが頂ける物は有り難く受け取っておこう


「北野くんが偉く押してたからね。多分大丈夫だとは思ってたけど…予想以上だったよ」


「ん?そうですか?有難うございます」


まあ同年代よりは多少ピアノは上手いのかも知れないが探せばこれ位の演奏が出来る子はいるだろうに…


「君が俺に失礼な言動や態度をされても逆上しないか試させて貰ったんだ」


「えっ?」


「この役が心が死んでる子供の役だから…他人に何を言われても表情を崩さなくて動じない大人びた子が欲しかったんだ」


おい、今正に失礼な言動と態度だろそれ

俺を何だと思ってるんだよ…


「申し遅れました、俺は監督の布袋巴と言います。宜しくね、セイヤくん」


「はあ…宜しくお願いします…」


「今年の年末にはリハーサルやるからね」


「はあ…」


そう監督、布袋に自己紹介されて正式に出演が決まってしまった


「布袋監督はキララが子役の時に出て流行語大賞にノミネートもされて話題になったあの日曜劇場のドラマの監督もしてたんだよ!」


「そうなんですね、凄いですね」


すまん、そのドラマ分からない…


「監督は役者の魅力を引き出すのが上手いから!大船に乗った気持ちで身を預けてれば大丈夫だからね!」


「いやいや、それは役者に元々魅力があるんだから。俺はその大船に乗っかってるだけだから」


俺にとっては泥舟になりそうな気しか無いんだが…






しかし変なテストと言い、やっぱり芸能界にいる様な奴らは変わってるな



新たに監督が登場しました


正式に映画出演が決まってしまった様です

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