80話
名前を言いながら彼らを指差すと、鎧はこくと頷く。
「↓縺ゅ↑縺九≠繧�」
リュウだと名乗った鎧が顎辺りを少し上げながら、玲奈に向かって何やら呟いた。
(分かんないけど、小馬鹿にされた気がする)
「〓縺ョ縺ャ縺ュ」
今度はトキが、玲奈を指差す。その手には槍がある。
「ちょっと、危ないから下ろしてくれない?」
「溘o繧峨◆縺」
「だから、それ!」
槍を指差すと、トキは首を竦めた。伝わってないようだ。
(……持ってる自覚がないってこと? そうだ、皆は鎧を着てるわけじゃなく、私にそう見えてるだけなのか)
これは幻覚。槍も本物ではないのだろう。先程足元に刺さっていた槍の場所を見ると、まだそこに槍はあった。
(触れるのかな)
近づいて持とうとすると、槍はサラサラと光の粒になって消えていった。
「消えちゃった……」
そして鎧の皆を振り返ると、素手だったリュウの手に、また槍が復活していた。
「そっちに戻るんだ」
「レナ」
「あ、ごめん」
「かみなり繧後″縺ャ�医」
「あっ、そうだ、かみなり!」
どこにも姿が見えない。三人も知らないようだ。
「トンネル潜るときは肩に乗ってたんだよね」
微弱な電流を受けて、その時……はどうだったか。三人が消えて焦り、定かでないが、いなかった気がする。
(魔石から産まれたんだから、魔石に戻ることもあるかも……)
一旦、魔力を解除してみた。体からスッと力が抜けていく。しかし、それでもかみなりは居ない。
「ゅ↑縺九≠繧かみなり」
「……うん」
かみなりのことは後にしろと、恐らくそう言っている。気になるが、この状況を打開しなければならない。
「正体が分かっても、意思疎通が取れないのは困るもんね」
「縺ェ縺九≠縺セ」
「∪縺溘°縺ッ繧」
「医o縺セ縺溘≠縺」
鎧の三人は玲奈に向けてではなく、自分たちだけで会話を始めた。解決策を練ってるのだろう。そしてリュウがずん、と近づいてきた。巨大な鎧に距離を詰められ、影が落ちる。
「な、なに、怖いよ」
「�縺九d縺溘」
「痛っ〜〜!」
コオン、と良い音がした。拳で頭を叩かれたのだ。全力には程遠いのだろうが、悶えるくらいには痛い。
「痛いんだけど! 絶対たんこぶできた!」
「d縺ャ縺代⊇」
ギャーギャーと抗議を唱えると、悪いと身振りする。想像するに、衝撃を加えて目を覚まさせられないか、試してみたのだろう。
続いて、ナシュカが近寄ってくる。今度は何だと身構えると、ナシュカは槍を掲げた。幻覚と分かっているものの、ヒエッと体が震えた。辺りに風が吹く。
(魔術使ったのかな)
風が止んでも、鎧姿は変わらなかった。最後にトキがやって来た。玲奈の腕をつかみ、トンネルの方へ連れて行く。
「もう一回潜ったら戻せないかってことか」
「繧翫d縺ャ縺代」
「手離していいよ」
ブンブンと腕を振ると、手は解放された。トンネルを潜っても、先程のような電流は感じない。トキの姿も鎧のままだ。
「�縺輔°繧�∪縺溘」
「ううん、変わらない」
「……溘∪繧�↓縺」
トキが奥を指さす。入口まで戻ってみようと言ってるのだ。頷いて、また十分ほど歩く。後ろにはリュウとナシュカも付いてきている。トンネルの入口まで戻っても、さらにまたトンネルを潜っても、鎧の姿は変わらなかった。
「駄目か……」
「後″縺ャ�医∩縺」
「このまま進もうって?」
「�i縺ェ縺溘∪」
トキは進行方向を指さす。恐らく、解決は後にして、進もうということだ。
(不便だけど、正体が分かってれば問題ないし……)
このまま解決の糸口が分からぬまま足止めを食らい続けるのも嫌だという気持ちは皆持っているだろう。
「分かった。でも、少しだけかみなりを探させて!」
玲奈がトンネルの付近の茂みを探していると、何をしてるのか分かったようで、皆も一緒に探してくれた。それでもかみなりは見つからなかった。
「やっぱり、魔石に戻ったのかな」
「�縺輔°繧�∪縺」
落ち込む玲奈に、ナシュカが励ましの言葉をかけてくれる気配がする。
(またひょっこり出てくるよね)
そう信じ、玲奈は進むことにした。
(パーティの画が……)
女子一人を取り囲む、三体の鎧。話が通じないので、気軽に話しかけることもできず、黙々と歩く。三人はボソボソと喋っているようだ。
(口がないのにどっから声が……いや、幻覚でないように見えてるだけで、ちゃんとあるんだった)
横からじっと見ると、ぐりんと鎧が玲奈を振り向いた。これはナシュカのはずだ。全部一緒に見えるので、時々確認しないと分からなくなる。十分ほど歩くと、トキの腕が、玲奈の歩みを止めるように、バッと翳される。
「どうしたの」
「縺溘≠縺九�縺ェ繧�」
前方を警戒するトキに、リュウとナシュカも続く。目を凝らしていると、草をガサガサと掻き分け、彼らは現れた。




