表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/98

76話

「なんて書いてんだ!」

「読める……けど、意味が全く分からない」

「はあ?」

「ただの数字なの! なんかの鍵かも」

「駄目! 土の壁がもうもたない! 火が来る!」


 ナシュカが金切り声を上げた。


「レナ! とりあえず読んでくれっ!」

「えっと、13・22・35・53……」

「暗号か! クソ、解いてる時間が」

「上の文字が手掛かりだろ!」

「これだけじゃ分かんねえ……」

「もう火が見えてる!」


 ナシュカの叫ぶような声に三人がバッと入口を見る。


「やべぇ……」

「俺もナシュカに加勢する!」

「無理よトキ!」


 玲奈は、迫る火を見て、呼吸が荒く上がってきてしまった。


「オイ、大丈夫か!」


 過去球を起こす玲奈に、リュウが声をかける。心配する声が鼓膜を通り抜けていく中、玲奈は時を巻き戻した。





「……扉よ」

「開けた瞬間、襲いかかってくる可能性もある」

「そうね。皆、気を付けて……レナ? 顔が真っ青よ」

「うわ、どうした急に」

「あ、ごめ……」

「何かあったか」


 急ピッチの鼓動を抑えるべく、深呼吸した。


「立ち眩みしちゃって……少し休憩してもいい?」

「それはいいけど、大丈夫?」

「うん、ごめん」


 火が迫っているのを見て、パニック状態のままに時を戻してしまった。落ち着いた所で反芻し始める。


(さっき、踏んでも何ともなかったタイルは覚えてる。あそこだけを辿れば、奥まで行けるはず)


「レナ、落ち着いた?」

「う、ん」

「何があるか分からない。あまり長居せず進もう」


(あの数字の暗号を解いてから入りたいとこだけど、これ以上ここに止まってる説明ができないし……もう、私謎解き苦手なんだよー)


 いったん暗号は忘れ、進む決意をする。


「開けるわよ」


 ナシュカに続いて入ると、先程と全く同じ景色が広がる。


「奥に扉がある」

「……ほんとだ。あそこまで行けってことね」

「さっきの例もある。また小石投げてみるか」

「分かった」

「……何もないようね」

「いや、待って。微妙に床が光って反応した……気がする」

「はあ? なんもなかったぞ。見間違いだろ」


(う)


 玲奈より動体視力の優れたリュウに言われてしまうと、まるで説得力がない。


「いや、私じゃなくてかみなりが」

「ン!」


 かみなりは玲奈に続くように鳴いて、さっきリュウが踏んだ張り付きポイントを前足で示した。


「あそこが特に危ないって!」

「マ! マ!」

「確かに何か言ってんな」

「……かみなりの勘は信じた方が良さそうね」

「何か感じ取ったか」

「踏む場所に気を付けて向こうまで行こう。私がかみなりに教えてもらって先頭歩くから、後ろ逸れないで付いてきて!」


 皆納得してくれ、玲奈が先頭を行く。歩きながら、ふと気付く。

 

(あれ、なんでかみなりはリュウがさっき踏んだとこ知って……)


 腕の中のかみなりを見ると、目が合った。


(……もしかして)


「ンナ」


 かみなりはその思考を肯定するように鳴いた。



 

 玲奈が最初に、無事に扉の前まで付いた。後ろを振り返ると、皆順調だ。一安心し、奥の扉を押す。


「あれ?」

「開かないの?」

「うん」


(さっきはすぐ開いたのに……)


「何か開くための鍵があるはず」

「よし、探すか」


 冷静な三人とは逆に、玲奈は一人険しい顔になった。


(さっきは……リュウとトキがタイルを踏んで、身動きが取れなくなってから扉を開けたんだ。もしかしてそうしないと開かない……? でも、それじゃ、)


 思考する間に、三人は部屋を探し始めた。かみなりに「ここは踏んでいいの?」と聞いている辺り抜かりない。


 そしてタイルを鳴らすこと無く、今度はナシュカが、あの暗号を見つけた。


「上側は分かるけど意味が分からないし、下は何て書いてあるか読めない……」

「……そうだ、もしかしてお前なら、また読めんじゃねえのか?」


 リュウが再び玲奈に暗号洋紙を持ってきた。


「……うん、読める」

「ほんと! 何て?」

「読めるんだけど、意味がある文章じゃない。私の世界の数字記号なの」

「暗号か……」

「まあ、そんな簡単には行かせてもらえねえか」


 暗号を取り出しても、火は上がらない。


(正解パターンを引いたかも……!)


 張り付くタイルを避けて、暗号を解いてドアを開ける……。これなら、ゆっくりと暗号に向かう時間も取れる。玲奈は改めて暗号に向き合った。


 その時、聞きたくなかった音が再び鳴った。


 ――ジリリリリリ!


 玲奈だけでなく、皆体を跳ねさせる。


「何の音?」

「……何か臭うぞ」

「何かって……」

「ックソ! 火だ! 火が迫ってる!」


(っ、そんな、タイルを踏んでなくても火が上がるの……)


 もう少しで手がかりを掴めそうだったという所で。まだ火は見えてなかったが、玲奈は早くも目を瞑った。


 * * *



 三度、扉の入口に立つ。


(駄目だ、火が来ると思うと冷静で居られない)


 過去に火事に遭ったとか、特別トラウマがあるとかいうわけではない。ただ、火と対峙した時にパニック状態になってしまうのを自覚する。あのベルが鳴ると、暗号を考えてる余裕など、飛んでいってしまう。


(そもそも、さっきはタイルは鳴ってなかった。一定時間で火は上がる……? じゃあ、タイルの足止めは何なんだろう……いや、それより暗号を解く方に集中しないと)


 今が勝負だと、頭を回転させる。少しの間、また仮病を使ってここに留めさせてもらった。心配の声を他所に、その場に体育座りして目を閉じ、暗号を思い出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ