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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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66話

 丸一日、草原を進むと、草も枯れ始め、砂漠地帯に突入した。暑さに耐えていると、オアシスが現れた。中々に広大なようで、小さな森ができている。


「やった、木陰と木の実……」

「この辺で食糧集めて休憩だな」


 草しかなかったので、備蓄していた木の実を口に含み、何とか進んできたのだ。昼なのに影に入れるのも嬉しい。疲れていた玲奈も笑顔が戻った。


「二手に別れましょ。私とトキはこの辺りで食糧集め。レナたちは向こうで水を汲んできて」

「分かった!」


 鼻歌でも歌いそうなテンションでオアシスの中を進む。まずは喉を潤してから、四人分のボトルに水を汲み、ナシュカたちの元に戻った。


(あれ)


 玲奈は異変に気づき、足を止めた。 

 

「いない……?」

「どうした」

「トキとナシュカが見当たらない」

「あ? なんで」


 戻った先、二人の姿はなかった。


「どっか行ってんのか?」

「……とりあえず、探そうか。手分けして」

「……いや。二人で行動した方がいい」

「……そうだね」


 リュウの真剣な顔つきに、玲奈も頷く。そして二人の探索を始めるも、トキとナシュカの気配は全くない。暫くして、リュウが口を開いた。


「俺らに黙って勝手に遠くへ行くほど、迂闊な奴らじゃない」

「うん」

「ということは、だな」

「これも迷宮の仕業……」

「よりによってこの組み合わせか」


 自分たちは、できない方の二人。頼りにしてきた、トキとナシュカの力は借りられない。


「ま、なるようになんだろ」

「……」

「ん?」

「いや……頼もしいと思って」

「あん? 嫌味か?」

「本心だよ!」


 この状況でも、リュウに焦りは見られない。魔術の腕は二人より劣っても、リュウが隣にいることにとても安心した。


「二人を探しながら、進むしかないよね」

「だな。出口に向かってればその内会うだろ」

「うん」


 休憩して体を休めてから、二人きりで、ざくざく歩いていく。オアシスの木漏れ日のなかを進んでいると、暫くして景色が変わってきた。


「あ、木無くなっちゃった……」

「行くしかねえな」


 高い木が姿を消し、やがて地面は砂利に変わっていった。その先には、巨大な水の吹き溜まり。


「湖……」

「ただの湖には見えねえけどな」

「そのようで……」 


 見下ろした先の湖は、激しく渦巻いている。水面に触れたものを、全て底へ引きずり込まんとする激流だった。


「大回りするしかないかぁ」

「だな」


 湖を直進したいところだが、これを無事に渡れる魔術は持ってない。岸辺は遠いし、道も平坦ではなく労力がいりそうだが、仕方あるまい。上ったり下ったりしながら、うねうねした道を歩いていく。


「……誰かいる」

「え!? どこ、見えない」


 視力のいいリュウが指さす方向に目を凝らし、近づいていく。玲奈の目にも、段々とシルエットが浮かんできた。トキとナシュカとの再会かと期待するも、どうやら違うようだ。


 そこにいたのは、見知らぬ男性二人の後ろ姿だった。


「……知らない人だよね」

「ああ、同時に迷宮入りした奴らだろうな」


 これまで全く気配を感じなかったので、ほとんど忘れていたのだが、同じタイミングで二十人程が迷宮に挑戦していた。


「……声かける?」

「このままあいつらと合流できない可能性はある。これから四人で達成する試練があることを思えば、有りだな」

「……とりあえず、話聞いてみようか」

「用心はしろよ」

「うん」


 恐る恐る近づいていくと、気配に気づいたのか彼らが振り返った。


「おわっ、誰だお前ら! 驚いたわ!」

「お、そっちも二人組?」


 男性たちは、続けて喋りかけてきた。

 

「えっと、はい。あなたたちも二人なの?」

「そうなのよ。途中で逸れちゃったみたいでさ」

「私たちと同じだ」

「ほんと? なになに、仲良くできそうじゃん」


 一人は黄色味の強い金髪の男。背はそんなに高くない。もう一人は黒髪で、ひょろっとした印象の男だ。


(リュウほどじゃないけど、結構背高い)


「つーか女の子じゃん! 名前は?」

「玲奈です」

「レナちゃん? かわいいじゃん。いくつ?」


(チャラっ……うわ、苦手かも)

  

 怖気づく玲奈を庇うように、リュウが一歩前に出た。

 

「無駄口は後にしろ。俺らは二人、お前らも二人。仲間と逸れたつってたけど、協力する気はあるか」

「あるあるー! 俺らもこっからどうするって相談しててさ、大助かりよ!」

「元の仲間と合流できるまでの一時的な協力でも構わねえか」

「勿論。俺等もそのつもり」


 話がついてほっとする。チャラそうな方がギドリー、ひょろっとした方がアルガンというらしい。


「俺らは二人とも六級。お前らは」

「二人とも七級だ」

「ふーん」


 玲奈の一級魔石は希少故、どんなトラブルを起こすか分からない。彼らと試練に挑戦するなら打ち明けねばならない展開もあるだろうが、とりあえずは様子見するのが吉だ。


 新たなパーティーで湖の周りを進んでいく。


「レナちゃんって彼氏いんの?」

「かっ……」

「かわいいからいそうだよなー。実際のとこは?」

「い、ないけど……」

「うわ、マジで! 俺立候補しちゃってもいい?」


(良くない良くない!)


 曖昧に笑ってごまかすと、リュウの裾をピンピンと引っ張る。ヘルプの合図は伝わったはずなのに、リュウは知らん顔だ。


(コイツ! さっきは助けてくれたじゃん!)


 玲奈の念が伝わったのか、リュウは溜息をついて振り向いた。


「別にかわいくねえだろ」 

「ハ?」


 素で低い声が出た。


(えっ、今のがフォローのつもり!?)


「え〜、かわいいじゃん! 化粧したら絶対化けるぜ?」

「……それ、化粧しなきゃ微妙って言ってるよね」

「あー違う違う! 今もかわいいけど、もっとかわいくなるよって!」

「おいおい、その辺にしとけよ」


 助け舟を出してくれたのはアルガンだった。玲奈は恨めしげにリュウを見つめる。


(なによ、かわいくないって……分かってるし……)



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