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どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


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45/48

45話

 玲奈の心配もなくなったところで、時間まで腹ごしらえとなった。近くの適当な店で食事を取る。


「透明なのに食べてたらまずくない?」

「お前、一番奥行け。俺の身体で隠れんだろ」

「うん、ありがと」


 リュウは、玲奈より頭一つ大きいトキより更に背が高かった。百八十後半はありそうだ。ぱっと見は細身でそんなにがっしりしてる感じでもないが、それでも、玲奈の体はすっぽり収まりそうだ。サラッとした茶色い髪に、髪より濃い、茶色の瞳。目つきは悪いが、トキやサディに負けず劣らずのイケメンだ。


 席についてリュウをジロジロみても、何も言われない。


(本当に見えてないんだ)


 それを良いことに、今度はナシュカに視線を移す。長い睫毛、ぷっくりとした唇。


「まだ昼前なのに暑いわね」


 そう言って、ナシュカは汗を拭い出だした。


(すごい胸……)


 彼女が動くたび、揺れるそこに玲奈は目がいってしまう。ちらっと見れば、リュウも一瞬目が釘付けになり、慌てて反らしていた。トキは見ないようにか、不自然に首を逆方向へ捻っている。男として当然の性というか、むしろ二人は紳士的だ。


(だけど、なんか負けた気分……)


 玲奈に対しては全く配慮もないというか、まるで女として意識されてないのに。こうも扱いに差があると、がっくりきてしまうのが正直な気持ちだ。


(まあ、当たり前か)


 ナシュカは汗を拭き終わると、ポニーテールを解いた。髪を下ろしても美女はますます美女だった。キラキラとエフェクトがかかってる気すらしてくる。美女というものは恐ろしい。


「さて、迷宮に備えてたっぷり食べなくちゃね」

「ああ、中でろくなもん食えるか分からないしな」

「飢え死にはごめんだな」

「えっ、待って迷宮ってそんなに時間かかるの?」


 半日くらいで終わるのかと思ってたので、飢え死にというワードに面食らう。


「早くても一週間はかかるって話よ」

「ご飯は?」

「中で自給自足。魚も木の実もたっぷりあるらしいから」

「お前、本当に何も知らねぇのな……」

「……はい」

「正直レナには不安もあるけど、トキがフォローしてくれるんでしょ?」

「ああ、俺のできる限りはする」


 トキの声に安心するも、任せきりのつもりはない。


「魔術も覚えたし、トキと一緒にいたころよりはできるはずだから! 頑張るよ!」

「お前って気合い入れるほど空回りするタイプだろ」


 リュウが失礼なことを言うので腕を思いっきり抓ってやった。


()っっって!」

「そういえばレナは何等級を持ってるの?」

「えっと、魔石の等級のことだよね」

「うん」

「一……」

「ん?」

「一級……持ってる」

「え!?」

「んな反応すんなよ、冗談だろ」

「……貰ったのか?」

「……うん」

「なに、どういうこと!?」


 トキに、誰に匿われていたかは言っていない。だが、階級の高い相手だとは察しがついてるようだ。破滅の子の事情を詳しく知ってるのは特権階級というところから、当たりをつけたのかもしれない。


「レナには事情があるって言ったろ」

「まあ、誰しも言えない事情はあるものだけど……一級なんて見たことない。よければ見せてもらってもいい?」

「うん」


 懐から、サディに貰った緑の魔石を取り出す。


「うわ……凄い、輝きが違う……」


 ナシュカとトキは、興味津々というように一級魔石を眺める。


(リュウは興味なさそう)


 リュウは一人、頬杖をついて、表情を変えなかった。


「でもお前は、やっと躯術の初歩が使えるだけなんだろ?」

「うん」

「宝の持ち腐れ」

「自覚してます……」


 ケケケ、と意地悪げに笑われ、むっとした。


「リュウだって私とそんなに腕前変わらないんでしょ!」

「さすがにお前よりは数段上だわ」

「んなっ、そうなの」


 やはりダントツで実力がないみたいだ。足を引っ張らないように、頑張らないと。透明になったまま、料理にかぶりついて決心する。


(満足にご飯食べれるのも当分先かも……いっぱい食べよ)


 各々、覚悟を固めているのだろうか。その後の食事は黙々と取られた。

 

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