表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうやら私は破滅の悪女らしい  作者: りらこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/48

33話

「これが建国神話」

「……破滅の大悪女」

「そう、だからこの話はきみに関係大有りなんだ。レナに下った宣告は、『破滅の子』。楽園――つまり、この地上を壊滅状態にした、大悪女の先祖返りがきみだというお告げだ」

「……でも、神話なんでしょ。神様って伝説じゃないの?」

「きみの世界ではそうなのかな? ここでは違う。神は、かつてこの世界を作った実存在(じっそんざい)だ」

「そう、なんだ……サディは、私がその破滅の子だと、信じてるの?」

「宣告は絶対だ。きみは大悪女の先祖返り。この国を滅ぼすことになる」

「……そう」

 

(破滅の『子』……幼い子供という年齢のことじゃなくて、神の血を引いた子供って意味なのね)


 頭の中で、どす黒い紫色の髪に真っ赤な唇の、(ヴィラン)の魔女をイメージした。その女は赤い目を吊り上げて破壊を尽くし、暴れ回って人を殺す。


(その先祖返りって……そりゃ死刑にするか)


 ここでは神話はかつての歴史として信じられ、語り継がれているという。考えれば魔術が使える世界だ。玲奈からすれば非現実的なことでも、価値観が違うだろう。最初は面くらい、ショックもあったが、少し時間を置けば落ち着いた。


(サディは元々、私が国を滅ぼすって言ってたし)


 サディはだからこそ、玲奈を助けた。そして、国を滅ぼす道が、玲奈が唯一帰れる方法だと。サディの顔を見れば、揺らぐことのない、強い眼差しをしていた。


「ごめん。ちょっとびっくりしたけど、大丈夫」

「受け入れられた?」

「うん……ていうか、結構エグい話だね……本当に全部実話なの?」

「いや、いくらかは創作が入ってるとされてる。神話は紙に残ってなく、口承で伝えられてきた。存在しない神を付け加えたり、話を盛ったり。国内の各地で微妙に内容が違う部分もある。でも、破滅の大悪女は実在した。これは確かだ」

「そうなんだ……ご先祖がアレだと、王族へのイメージも悪くならないの?」

「ううん。むしろ、実の親がめちゃくちゃにした土地を復興させ、実りある大地にしたとして、初代王は英雄視されてるんだよ」

「へぇ……」

「まあ、最近は徴税が増して、王族への信頼も揺らいできてるけど」

「そこが狙い目って考えてるんだよね」

「そう」


 サディはパチンと長い指を鳴らす。


「既に、反政府側の市民たちには、破滅の子を祀って権力者の一掃、国の再構築を謳おうとしている者たちがいる。玲奈の存在が広く知られれば、絵空事にとどまっていたそれは、現実のものとして一気に勢いを増す」


 神話が現在(いま)に繋がって、思わずブルリと身震いした。

 

 神話をゆっくり思い返している内、引っかかることが出てくる。王族は女神の子孫で、玲奈は女神の血を引く先祖返り。


「え!? 私、王族と血が繋がってるってこと?」

「系譜を辿れば繋がってるね。ただ、今の王は十五世。レナは先祖返りで相当濃く血が出てるはずだけど、王族側がかなり薄まってるからね。俺たちとの血の繋がりはあんまないんじゃないかな」

「そっか」


 少し残念なような、むしろ安堵したような。不思議な感覚にみまわれた。


「きみの血はむしろ、貴類と近いはず」

「え?」

「貴類の寿命は人の五倍から十倍。代替わりは数えるほどだ」

「貴類と……近いとなんか良いことある? ありそうじゃない!?」

「どうかな……利用できそうな気もするけど、彼らはこの国では宣告をする以外、人と積極的に関わらないから」

「この国? 他の国にもいるの?」

「ああ。貴類は元は冥界に棲み着いていたが、楽園、つまりこの地上が豊かになっていくにつれ、一部は地上に降りてきて、今は各国に散在している。ほとんど人前に姿を見せないから、分からないことの方が多いけど」

「そっか、貴類と接触できるのは導士だけなんだっけ」

「んー、接触っていっても、導士から近づくことはできないよ。貴類の気まぐれ次第さ。外国じゃ貴類と導士の関係も、こことはまた違うらしいけど」

「へぇ……」

「どう? 好奇心は満たされたかな」

「うん……気軽に首突っ込んだら、自分と因縁深くて疲れちゃった」

「アハハ。でも、その内話そうと思ってたことだ。まだ知らないことばかりのはずだ。レナはこの国の歴史と現状を少しずつ知っていって」


 すぐに頷いた。無知であることは弱点だ。それがいつの日か、玲奈の命運を分けることになるかもしれない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ