夏のホラー「ディープ•ディープ•ダウン」
「おい、ロニー見てみろよ!」スクールバスに揺られながら茶髪の少年が興奮気味に言ってくる。
「何だよ、マイケル?唯のキャンプ場だろ?そんなにはしゃぐなよ」黒髪の少年がうんざりしながら言った。
今俺達は地元のボーイスカウトに参加中で学校の連中と共に田舎のキャンプ地に向かっていた。
「思ったよりでかい湖だな着いたら泳ごうぜ!」
今俺の隣ではしゃぐこいつ、名前はマイケル•スティラー底抜けに明るい俺の親友だった。
「おい、おい、俺達今年で16だろう?何時までもガキ見てーな事言うなよ」
「そんな事言ってお前下に海パン履いてんじゃねえかよ」マイケルに指摘され俺は恥ずかしげに顔を逸らした。
「なあ、こんな時位素直になろうぜ相棒?」マイケルが俺の肩に手を回しながら言った。
バスがキャンプ場に着き引率の教師の話を聞いた後俺達は湖へと向かった。皆大はしゃぎで遊んでおり俺もマイケルと一緒に湖で潜ったり泳いだり前から気になっていた、ミッシェルに声を掛けて彼氏のランデルに殴られた。そんな楽しい時間も終わり直ぐに夜が来た。
「皆集まれよ、夜と言ったらこいつだろ?」ランデルの号令に俺達は泊まっていたログハウスの中央のテーブルに集まり酒とドラッグを始めた。
「ランデル、お前に殴られたせいで歯が痛むぜ」
「お前が俺の女に手ぇだそうとしたからだろう?」
俺とランデルはお互い立ち上がると他の皆が見つめる中お互いに瓶に入った酒を頭に掛け合い笑った。
「悪かったよランデル」
「ああ、俺もやり過ぎたからよお互いこれで水に流したって事で楽しもうぜ!」俺とランデルはお互い肩を掴むと盛大に酒を飲んだ。周りのマイケルや他の奴等もそれを見て盛大に笑っていた。
「所で知ってるか?」夜も更けた所でマイケルが語った。
「今から40年前この場所で事件が起きたらしいぜ」
マイケルが語り出すとそれまで騒いでいた皆が耳を傾けた。
1986年この場所メリー•レイクに47人のボーイスカウトで来た子供達が居た。子供達は今の俺達と同世代でありその日も今の俺達と同様湖で遊んだり近くの森でキャンプの研修を受けていた。
そしてその晩突然銃声が鳴り全員が飛び起きた。外を見ると作業着を着た男が銃を片手に子供達を追いかけていた。それを見た全員がパニックになり逃げ出したが男は子供達を逃がす事はなく全員殺した。
そして翌日通報を受けた警察がキャンプに着くと辺りは真っ赤に染まり惨劇の後が広がっていた。そして広場の真ん中で返り血に染まった男が笑って座っていた。
直ぐに男は捕まり裁判に掛けられた、犠牲者の家族達は自分の子供の死体の在り方を聞いた。だが男はある言葉だけを言い続けていた。
「ディープ•ディープ•ダウン」男は笑いながらそう呟く事しかせず裁判員も極めて凶悪な事件として男に死刑判決を出した。男は終始笑ったままで投獄され死刑執行をする前に獄中内で囚人によりシャワールームで溺死させられた。
「そして今もその子供達は見つかっていないんだとさ」マイケルの話を聞いて皆が黙っていた。
「その男の名前は?」俺が聞くとマイケルが良くぞ聞いたと言わんばかりに指を鳴らす。
「男の名前はジャック•マイヤーズ地元の整備士だったらしい」話を聞き終えるとランデルが笑った。
「おっかねえな、俺は一人で寝れねえからミッシェルの所に行って来るぜじゃぁな!」ランデルがそう言って外に出ようとした時だった。
ドン!と銃声が鳴り響く。ランデルと俺達は直ぐに灯りを消して伏せる。
「何だよイタズラにしては手が込んでるぜ!」
「静かにしろ!状況がわからねえんだよ!」
俺達が隠れていると再び銃声がなり他の子供達の悲鳴が聞こえた。
「おい、おい、やばいぞ!逃げろ!」他の奴等が一目さんにドアを開けて逃げ出す。
「止めろ!戻れ!クソ!ロニー、マイケル俺はミッシェルを探してくるお前達は助けを呼んでくれ!」
ランデルはそう言うと近くにあった手斧を持って闇の中へと消えた。
「マイケル助けを呼びに行こう!」
「よせよ、銃を持ったイカれ野郎がうろついてんだぜ?」俺はマイケルを置いて行こうとしたがマイケルは待ってくれと言って付いてきた。
外に出るとクラスの連中が辺りの森や湖に走って行った。キャンプ場には撃たれた死体が転がっていた。
監視員用のログハウスに行くと引率の教師が頭を吹き飛ばされて死んでおり俺とマイケルはその場で吐いた。中の無線や電話は壊されており乗ってきたバスもタイヤをパンクさせられていた。
「どうする!もう逃げられないぜ!」
「そんな事言っても」2人で言い争って居ると。突然銃声が近くで聞こえた。
俺とマイケルは直ぐにベットの下に隠れた。するとドアが蹴破られ男が入ってきた。
男の手にはショットガンが握られており辺りを探していた。
「捧げ無くては、儀式が完成しない、湖は無垢なる魂を求めている」男はブツブツと呟きながら言った。
そして俺達の隠れていたベットまで来た。
「そこに居るんだろう?なぁに怖くない無いよ皆下で待ってるからね!」男が下を覗くとそこには誰もいなかった。
「くらえイカれ野郎!」俺とマイケルがロッカーから飛び出し男の頭目掛けてスコップを振り抜く。
だが男は片手で掴むとそのまま俺達を放り投げた。
「悪い子達だお仕置きが必要だね」月明かりに照らされ男の顔が写った。
その顔は生気が無く真っ白であり口をナイフで引き裂裂きコヒュー、コヒューと空気が漏れていた。
「逃げろ、ロニー!」マイケルがスコップを持ち直し殴り掛かるが。
ドン!と言う音と共にマイケルの身体が宙を舞う。
「マイケル!マイケル!」動かなくなったマイケルを揺すりながら俺は叫んだ。
「心配しなくていいよ君も直ぐに逝かせてあげるよ」
「止めろ!止めて!止めてくれ!」銃声と共にロニーの悲鳴が止んだ。
男は2人の身体を引き摺って行く。そして湖に着くと2人の身体を湖に投げ入れた。
すると2人の身体を湖から複数の黒い手が掴み引き摺り込んでいく。
「私は一体どれ程捧げれば許されるのでしょうか、、ああ、神よ許し給え!」男が叫びながら祈りを捧げる。
そして湖の底へと子供達が沈んで行く。深く、深く、沈んで行く。そして男は1人呟く。
「ディープ•ディープ•ダウン」と。
完