1、暴走
俺、富山優には彼女が居た。
名前を早乙女有紀というのだが。
この女、俺に対して唾を引っかける様に浮気しやがった。
それからの話だが俺は通っている学校で早乙女に見せつける為に偽恋人になってもらった女子と早乙女に対してSNSに画像配布して復讐した。
協力してもらった。
それで今に至っている。
☆
「という事で今日で偽恋人を解消しようと思う。ありがとうな。ザマァで復讐も終わったし」
「...」
復讐が終わっての9月、屋上にて。
俺はこの5カ月の戦いを思い返しながら偽恋人をしてくれた目黒喜連に対して腰に手を当ててそう宣言をした。
顔立ちがクソみたいな俺に対して喜連は顔立ちが凛としておりすっとしている顔立ちをした美少女。
八頭身の美少女とも言えるが...とにかく可愛い美少女だ。
こんな少女と復讐出来た事を誇りに思う。
すると喜連は俺に対して笑顔になる。
それからうっすら目を開ける。
「別れません。嫌です」
「...そうか。嫌...は?」
「私、優さんが好きになったんです」
「い、いや。偽恋人って言ったろ。...オイ。まさかおま、お前さん。本格的に俺が好きになったのか?」
「ですね」
「は...!?」
目玉が飛び出るかと思った。
学校一可愛い美少女で...しかもこうして偽恋人で付き合う前は嫌々な感じだったのに...何を言っているんだコイツは。
そう考えながら俺は喜連を見る。
「き、喜連。あくまで俺達は偽恋人だって言っただろ」
「私の事、利用するだけ利用してポイですか?」
「だ、だから俺は説明したろ。あくまで復讐の為...」
「私、本気で優さんが好きなんです」
「ま、待て。冗談はよせ。お前知っているだろ」
「優さんの家庭の事情、優さんの事情は知っていますけど。あくまで私は優さんが好きになってしまったので」
「...俺はあくまで人とは付き合わないぞ。これからも」
「大丈夫です。私、優さんを落としますので」
「いや、だから...!?」
なんか話が...。
そう思いながら俺は徐々に近づいて来る喜連に俺は動揺する。
それから壁際に追い詰められる。
逆の壁ドンが飛んできた。
「オイ!?き、喜連!?」
「私は優さんが好きですよ?...だーいすき」
「喜連!そんな感じじゃなかっただろお前!?」
「はい。いや。長い間接触していたら感情が暴走しまして」
「いやいや!?」
そして俺は喜連を見る。
こんな馬鹿な!?、と思いながら俺は喜連を見る。
喜連は「という事で付き合うまで落としますよ」と笑顔になる。
「...お前の家庭はそれを許さないだろ」
「まあそうなんですけど...でも私、優さんが好きになっちゃったから」
「...喜連...」
「だから私は...好きですよ?」
き、喜連の目からハイライトが消えたんだが。
怖いんですけど?
俺は顔を引き攣らせながら喜連を見ているとチャイムが鳴った。
「チャイム鳴ったから!喜連。戻ろう」と大慌てで駆け出す。
それから喜連の傍を通り俺はドアを開けて逃走した。
☆
私は...始めはイヤイヤ接触していたにも関わらず。
優さんに接触し始めて徐々に私の感情が甘々になっていった。
あくまで優さんの傍に居たいって思う。
私はそう思いながら優さんの背後を歩く。
「優さん」
「お、おう」
「愛してます」
「い、いや。学校内で言う言葉じゃない」
「私は優さんが好きです」
「気持ちは分かる。だけど俺は...言ったろお前」
「確かにですね」
優さんの前に駆け出す。
それから優さんを見てみる。
優さんは「...」と私から視線を外す。
私は微笑んだ。
「私をどうしたら好きになってくれますか?」
「...いや。俺は多分お前を好きにはならない。だから無駄だ」
「ですか...」
「ああ。だからお前も諦めてくれ」
「でも私...本当に好きなんです」
優さんは無言になりながら歩く。
それから私はまた優さんに付いて歩いて行く。
すると目の前から優さんの義妹さんの富山雫さんがやって来た。
そして優さんと私を見る雫さん。
顔立ちは幼いながらも大人びている感じの顔立ち。
茶髪で美少女である。
前髪に兎の髪留めを着けている。
「お兄」
「雫?どうしたんだ?」
「先生が呼んでいるよ」
「...ああ。知ってる。アナウンス聞いたしな。進路希望だろ。それで職員室に行こうって思ってな」
「そうだったんだ」
それから私達は移動をする。
そして私と雫さんは職員室の傍で待つ事にした。
雫さんが私を見てくる。