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ダンジョン魔王。安価でダンジョン運営する  作者: とあるアルパカ


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9/11

9【浮いた】浮遊【1㎝】

 魔力による物理干渉。

 ――それが、第二の講義テーマだった。


 講師はもちろん、スライム執事のエリ。

 教室は浮遊本が舞う図書室。

 受講生は……俺ひとり。そして、なぜかまたジャージ姿。


「主、先ほどの光魔法ルミナに続いて、今回は“動き”のある魔法――風属性魔法エアロの習得に挑みます」


「動き、ってつまり……」


「飛ばす、打つ、斬る、運ぶ――あらゆる応用が利く汎用性の高い魔法です」


 そして次の瞬間、部屋の上部から何かがわらわらと降ってきた。


「……なにこれ」


「本日のターゲット、紙飛行機50機です」


 目の前には、ふわりふわりと舞い降りる異世界製の紙飛行機たち。

 魔力で強化されてるのか、異様に軌道が読めない!普通に避けないと顔に刺さるレベル!


「え、ちょ、これ訓練ってレベルじゃ――」


「制限時間は5分間。全機撃墜、お願いします」


 \スタート音ピピッ/


「はやっ!?ちょ、もう来てる!?」


 俺は慌てて手をかざし、魔力を込める!


「風魔法――《エアロ》ッ!!」


 \シュゴォォン!/


 風の塊が放たれ、紙飛行機の一機を弾き飛ばす!


「おおおおお!!やった!撃てるぞこれ!」


 だが――


「……数が、多すぎるんですけどぉ!!?」


 残り49機が一斉にバサァァァッと飛び回る。

 カオス。完全に紙の弾幕地獄。


「一発ずつ撃ってたら間に合わねぇってことか……!」


「主、風の“流れ”をイメージしてください。線ではなく、面で押し返すのです」


「面……流れ……つまり風のカーテンを作るってことか!?」


「その通りです。賢い。さすが主」


「そこはもっと感情込めて褒めてくれていいんだよ!?」


 気を取り直して、両手を突き出し、空気の流れを作るように魔力を練る。


「……行けっ!《エアロ・ウォール》!」


 \ブワァァァァン!/


 部屋全体にふわりと風圧が走り――

 紙飛行機たちが、空中でくるくると巻き込まれながら一斉に落下していく。


「や、やった……!?これ、全部落とせたか……?」


『確認。全機撃墜完了。戦果:パーフェクト』


 ふよふよ漂う思念の声が響く。

 そして同時に、タブレットに実績が表示された。


【実績解放】

  風魔法エアロ習得

  応用魔法エアロ・ウォール獲得

  新魔法系統《風圧加速》《飛翔》解禁!


 180 名前:名無しのダンジョンマスター

 紙飛行機とガチバトルしてるやつ初めて見た


 181 名前:名無しのダンジョンマスター

 ジャージで空中戦してて草止まらん


 182 名前:名無しのダンジョンマスター

 エリ先生の淡々とした解説ほんと好き


 183 名前:名無しのダンジョンマスター

 飛翔魔法ってまさか、空飛べるんじゃ……


「……飛べる、か。マジで」


 額の汗を拭いながら、俺はふとタブレットに目をやる。


【次回講義候補】

 ▶ 空中浮遊魔法フロート

 ▶ 魔力弾精度訓練

 ▶ 魔法戦訓練(実戦演習)


「……エリ先生、そろそろ俺も“戦える存在”になれてきた気がするぜ」


「まだまだ、ですよ主。道のりは長い」


「……それ、毎回言ってない?」


「“言われ続けるうちは本物ではない”という名言があります」


「くっ、論破されてる気がする……!」


 浮遊魔法フロート

 ――それは、地に縛られし者たちに許されし、“空への第一歩”。


「さあ、主。本日は“飛行魔法”の初歩――《フロート》の実践です」


 スライム執事・エリが、ぴょこんと跳ねながら言う。

 今日も俺は例によってジャージ姿。最近はもう疑問に思わなくなってきた自分がいる。


「つまり……飛べるの?」


「はい。最大高度1cmです」


「……えっ?」


「まずは1cm、確実に、安定して、浮く。それが“飛行”の基本です」


「たった1cm浮くだけで、そんな偉そうに言う!?」


「空をなめてはいけません。落ちたら死にます」


「1cmだよ!?落ちても死なないよね!?」


 エリはぴとりと触手(?)で床をなでる。


「この部屋はダンジョンの魔力で構成されています。浮遊に失敗すると、**“0cm以下”**まで落ちます」


「地下行くの!?!?」


 ◆浮遊魔法フロート習得ミッション

 成功条件:浮遊状態を維持して10秒間、スライムと並走する

 失敗条件:墜落=顔から床キッス


「それでは主、魔力を集中し、重力を斥けるイメージを」


「重力を……斥ける……ええいままよっ!」


「唱えてください。“《フロート》”と」


「《フロート》!!」


 \フワッ/


 その瞬間――

 俺の身体が、ふわっと浮いた。


「えっ……うわっ、浮いてる……!俺、浮いてる!!」


「現在、高度:0.8cm。安定維持を――」


「うおっ!?う、うごくとふらつく!バランス難しいこれ!」


 そして横には、いつのまにかふよふよ浮いて並走しているスライム・エリ。


「主、ここからは実技です。私と並んで、一周していただきます」


「いやいや、スライムのおまえと違って、こっちは人型なんだよ!?安定感違うの!」


「“人間だからできない”ではありません。“人間だからこそできる”のです」


「おまえたまに良いこと言うなああああっ!?」


 ぐらりっ!


「あっぶな!今、顔から落ちかけた!?」


「もう少し力を抜いてください主。“浮く”ことは、“抗う”ことではなく、“信じる”ことです」


「信じるって何!?自分を!?床を!?」


「空間を、です」


「答えが壮大すぎるッ!!」


【浮遊モード:10秒間安定維持 成功】


「……これで、終わり?」


「おめでとうございます主。浮遊免許、初級取得です」


「免許制だったのコレ!?」


【実績解放】

  浮遊魔法フロート習得

  移動系スキル使用可能:「空中回避」

  新スキル候補:上位浮遊フライが出現!


 202 名前:名無しのダンジョンマスター

 高度1cmでイキってて草


 203 名前:名無しのダンジョンマスター

 でもわかるぞ、最初の“ふわっ”って感動するよな


 204 名前:名無しのダンジョンマスター

 スライムと並んで空中散歩してるジャージの男、絵面強すぎる


 浮遊練習後――

 俺は図書室の端で、エリと並んでふよふよ浮いたまま、しばらくの間、無言で空間を漂っていた。


「……なんか、悪くないな」


「浮く、というのは、存在を“許される”ことですから」


「エリ、おまえってさ……スライムだけど、時々めっちゃ深いよな」


「よく言われます、主」



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