5【スライムを】知識欲爆発【称えよ】
白い空間の中央、タブレットが再び輝きを放つ。
『自然回復により魔力量が10MPを突破しました』
『ダンジョン構築が可能です』
『新規部屋を構築しますか?』
俺は思わず顔を上げた。
「ついに……!ついに来たか……!」
世界に来て初めての“建設命令”。つまり、ここからが俺のダンジョンマスターとしての第一歩!
エリちゃん(スライム付き)もふわりと浮きながら頷いた。
「よいぞ、主よ。まずは最初の一室を選ぶのだ。ダンジョンの“核”となる重要な選択だ」
「なるほど、最初が肝心ってわけか……!」
しかし、画面にはおなじみのあの文字が表示されていた。
『安価アプリを実行します』
『構築する最初の部屋の種類を募集』
>>99
「……やっぱり俺に決定権ないのかよ!!」
またも掲示板が大賑わいになる。
90 名前:名無しのダンジョンマスター
トイレ作っとけ。長期滞在には必須
91 名前:名無しのダンジョンマスター
寝室じゃね?主の。ちゃんとしたベッド必要だろ
92 名前:名無しのダンジョンマスター
牢屋だろ普通。ダンジョンと言えば囚人
93 名前:名無しのダンジョンマスター
いやここはまず食堂。腹が減っては戦はできぬ
94 名前:名無しのダンジョンマスター
トイレ(ウォシュレット付き)
95 名前:名無しのダンジョンマスター
落とし穴部屋を最初に作るという逆張りもアリでは?
96 名前:名無しのダンジョンマスター
風呂。絶対風呂。しかもでかいやつ
97 名前:名無しのダンジョンマスター
最初から宝物庫。ロマンで殴れ
98 名前:名無しのダンジョンマスター
スライム専用部屋(湿度調整可)
99 名前:名無しのダンジョンマスター
【図書室】。知識は力だ。
「……あの、エリちゃん」
「うむ?」
「スレ民、思った以上にマジで議論してるんだけど」
「それが彼らの強さだ。我がかつて見た人間界の“スレッド戦争”より秩序がある」
「その“かつて”が気になりすぎる……」
そのとき、タブレットがピコンと音を立てる。
『構築対象決定』
『最初の部屋:図書室』
『必要魔力:10MP』
『構築開始――』
「……図書室!!? お、おう、悪くない!知識は力!よし、賢くいこう!」
100 名前:名無しのダンジョンマスター
図書室きたあああああ!最高かよ!
101 名前:名無しのダンジョンマスター
初手から知性ぶってて草。でも好き
102 名前:名無しのダンジョンマスター
スライムの本棚破壊率が高そう
103 名前:名無しのダンジョンマスター
落ち着け、これは“知のダンジョン”の布石だ
部屋の中央に、青白い光の柱が立ち上がる。
まるで設計図が空中に描かれるように、棚、机、魔導書、照明クリスタルが次々と“生成”されていく。
「……うわ、すげえ……マジで部屋ができてく……!」
「これが“構築”だ。ダンジョンとは即ち、世界を作る行為に等しい」
そして数分後、そこには……
重厚な木製の本棚と、魔力で灯るランプに照らされた、静謐な空間が完成していた。
俺はその中に、ふと一冊の本を見つけた。
『初心者でもできるダンジョン運営入門』
「……いや、マジでありがたいなこれ!?」
図書室が完成して数分後。
「おい、エリちゃん……」
「……」
「……なあ、聞いてる?」
「……静かにせよ。読書の邪魔だ」
「すみませんでした」
エリちゃん(浮遊中)は、スライム体を下に置きっぱなしで、本棚の前に浮かび、両手で本をバサッと開いていた。
しかも――その読む速度が異常だった。
パラパラパラパラパラ……!
え、え、もう読み終わった!?いやちょっと待て、今の1冊何百ページあったよ!?
「お、お前……ちゃんと内容読んでんの?」
「ふん……“初心者向けダンジョン運営入門”か。基礎中の基礎だな。だが、魔力循環の考え方は現代型の理論に基づいており、応用次第では“自動拡張型構築”も可能になる」
「……なんかもう言ってることが上級者なんだよ!!」
105 名前:名無しのダンジョンマスター
え、エリちゃん読書ガチ勢!?
106 名前:名無しのダンジョンマスター
1分に3冊くらい読んでね……?
107 名前:名無しのダンジョンマスター
スライムって本読めるんだっけ……って思ったけど、エリちゃんはなんか納得してしまうな
108 名前:名無しのダンジョンマスター
てか知識吸収の速度、やばくね?
109 名前:名無しのダンジョンマスター
これは……スライム版“賢者”あるな……!
俺は恐る恐る聞いた。
「……お前さ、もしかして本読んだら、そのまま能力として身につく系?」
「ふむ……そうだな。読んだだけでは発動はしないが、“知識”として吸収・解析は可能だ。我は“学習統合型変異種”だからな」
「それ初耳すぎるぞおい!!」
「魔界じゃ普通の分類だが?」
「魔界の教育水準なにそれコワイ!!」
『新スキル候補獲得:「魔力定点収束」「空間制御・初級」「属性設計」ほか多数』
※使用には該当スキルの“習得”コマンドが必要です。
『条件を満たせば、スキルの合成・進化も可能です』
「スキル合成まで……!?」
どうやら、スキル獲得には
【知識取得】→【習得】→【発動】
というステップがあるらしい。
エリちゃんは既に第一段階――“知識”の段階を爆速で突破中。
「主。魔法理論、錬成技術、構築工学、罠の設計……これはすべて、この図書室で学べる範囲だな」
「マジかよ……チュートリアルスライムが一番頼りになる件について……」
110 名前:名無しのダンジョンマスター
これもうスライムっていうか知識生命体じゃん
111 名前:名無しのダンジョンマスター
【知の化身スライム】って肩書きほしいなw
112 名前:名無しのダンジョンマスター
こいつ育てたら世界征服できそうで怖い
そして数時間後――
「主、質問だ」
「ん?」
「“魔力中継ノード”を使って、空間の歪みに干渉するにはどうすればいい?」
「えっと……なにそれ?」
「なるほど。では次はそれに関する文献を探すとしよう」
……このスライム、ガチで賢くなってる。




