4【スライムを】万能スライム少女【称えよ】
74 名前:名無しのダンジョンマスター
全部。あえて選ばない選択
掲示板に投下された、ある意味"禁断"のレス。
「全部って……いや無理だろ!10MPだぞ!?召喚コスト足りるわけないじゃん!」
しかし――
『安価アプリによって選択が確定されました。召喚対象:複合存在』
『必要魔力:10MP →消費完了』
『召喚開始――』
「え?は?マジで通ったの!? いや、無理でしょ、無理があるだろぉ!?」
叫ぶ間もなく、部屋の中央にまばゆい光が生まれる。
ぶおおおおおん――ッ!!
まるで空間そのものがねじ曲がるような唸りを上げ、タブレットが震え始める。
真っ白な部屋の床に、何も描いてないはずの魔法陣が、自然発光のように浮かび上がる。
「うおお……!?これ、マジで召喚されるやつだ!!」
部屋中に風が吹き荒れ、光が一点に集束し――
ドンッ!
小さな、しかし重みのある着地音。
そして、光が収まったとき、そこに現れたのは――
「……スライム?」
まず目に入ったのは、青くぷるぷると揺れる、手のひらサイズの……あの、定番の、最弱っぽいやつ。
「いやいやいや、なんかかわいいな!?ていうか、こいつが“全部”ってどういう――」
「――まさか、我を呼びし者が貴様か?」
声が、脳内に直接響いた。
「へっ?」
スライムの体からにじみ出るように、黒い影がもやもやと立ち上がり――
その中央から、黒衣を纏った小さな少女の姿が、すうっと浮かび上がった。
金髪のツインテール、背中には純白の羽根。そしてその瞳は、深紅に光る。
「……あ、天使、入ってる? いや魔族もおる!?待って、全部入りなのガチじゃん!?」
少女はふわっと浮かびながら、ふにふにと地面を這うスライムの上にすとんと着地する。
『召喚成功。配下ユニット「エリクシェル・アーク=ゼノ=ルシファリウス・スライムモード」を獲得しました』
※通称:エリちゃん(省略可)
「名前長っっ!!」
77 名前:名無しのダンジョンマスター
来たああああ!なんか出たぞ!
78 名前:名無しのダンジョンマスター
ちょっと強キャラ感あるじゃん!?
79 名前:名無しのダンジョンマスター
スライムなのに天使で魔族ってどういう設定だよwww
80 名前:名無しのダンジョンマスター
エリちゃんって名前のせいでかわいさ倍増してる件
少女――エリちゃん(仮)は俺をじっと見つめた。
「ふむ……貴様が我が新たなる主か。ひ弱で軟弱で見るからに頼りないな。だが――」
「だが?」
「……暇つぶしには、ちょうど良い」
ニヤリと、悪魔的な笑みを浮かべて彼女は言った。
「さあ、命じるがいい。新米マスターよ。貴様の"ダンジョン"を、我が力で完成させてやろう」
「……ッ!お、おう!」
こうして――
俺の最初の配下は、“スライムで天使で魔族な謎少女”という、
安価スレならではのカオス仕様で爆誕したのであった。
「……で?」
俺は言った。
「なんで、お前が俺の足元で、モップみたいになってるんだ?」
「……見れば分かるだろう。掃除してるのだ、主よ」
ふわりと浮かぶ金髪ツインテの美少女、通称エリちゃん。
その足元には……青くてぷるぷるした、あのスライム本体がくっついている。
キュポ、キュポ、キュポ。
音を立てながら、白くてピカピカの床を這っている。しかもすげぇ、滑らかに!
81 名前:名無しのダンジョンマスター
うわwwwまさかのスライムで床掃除www
82 名前:名無しのダンジョンマスター
最初の任務が掃除とか草生える
83 名前:名無しのダンジョンマスター
いや、でもダンジョンって清潔大事じゃね?モンスターだって衛生気にする時代だろ
84 名前:名無しのダンジョンマスター
万能スライム、マジで万能だった
掲示板の反応が地味に肯定的なのが逆に笑える。
エリちゃんは言った。
「主よ、ダンジョンというものはまず環境整備から始まる。汚れた空間では魔力の流れも滞るし、召喚にも支障が出る」
「……そういうもんなん?」
「そういうものだ。我の体質は“吸着分解型スライム”でな。埃、汚れ、残留魔素――そのすべてを吸い取って分解できる」
「なんかすごい便利なスキルだなおい……!」
「むしろ、掃除が主用途だ。我のスライム形態はもともと“魔界の宮廷清掃用に改良された特化型”だからな」
「お前、出自まで便利かよ!!」
そんなわけで、エリちゃん(とそのスライム部分)による清掃活動が始まった。
そして――30分後。
「……マジで、なんもねぇ空間が、めっちゃ神殿っぽくなった気がする……!」
キュポキュポと滑った跡が、もはや美術品。床の反射が天井を映し、白さに深みが出てる!
そして突然、タブレットが反応した。
『空間の魔素濁度が減少しました』
『魔力の自然回復を確認:+1MP/分』
「自然回復!?するようになったの!?清掃で!?」
85 名前:名無しのダンジョンマスター
掃除したらMP回復とか、マイクラみたいなシステムで草
86 名前:名無しのダンジョンマスター
やっぱダンジョンは土台からだよな……
87 名前:名無しのダンジョンマスター
エリちゃん、有能すぎて草も生えない
エリちゃんは、ふふんと胸を張った(なぜかスライム形態でもポーズは決めてくる)。
「ふむ、これで魔力環境の改善は済んだ。主よ、次の命令を」
「……あ、はい。よろしくお願いします」
言った瞬間、自分がもう完全に彼女のペースに乗せられていることに気づいたけど、
俺はなぜか、それがちょっとだけ――楽しかった。




