エピローグ
僕はどこかに落ちた。
辺りを見回すと虹色のレンガで作られた建物の中にいることが分かった。
僕は今、虹色の塔の中にいる。
僕は階段を上がり最上階を目指した。
どこまでも続くようにおもえる階段を上がり続けると目の前にドアがみえた。
僕はドアを開けた。
虹色の塔の屋上に出ると、屋上の縁に男性が一人座っているのがみえた。
「待たせたね」
僕は言った。
「思ったよりも早かったな、タリオ」
コゲツは言った。
「コゲツって呼んだ方がいい。それともエクリプス、竜騎士。イオリテがいいかい」
コゲツは笑った。
「隠してたことは謝る。けどイオリテは半分だけだぜ。あの人形はちゃんと自分の意思を持ってた。あいつは本当にお前のこと好きだったんだ」
「君が意志を持たせたんじゃないの」
「いいや。俺の意思とは関係ない。勝手に目覚めたんだ」
「じゃあ、あの精霊石は」
「あれを入れたのはずっと前さ。あの人形に穴が空いてワッペンを貼っただろ。あのときだ。精霊石の魔力を使って人形の本体を強化し続けただけ。あいつは勝手に動いてお前と旅に出た。俺はあいつの力じゃどうにもならないときにときどき力をかしただけ。あいつの感情は俺が精霊石にかけた魔法を通じて、常に俺が感じ取れるようになっていたからな」
「そう」
僕はそう言ってコゲツの隣に腰かけた。
「君はここで何を願ったの」
「この世界を現実にしてほしいってね。ずっとこの世界で生きていたかった。この世界が好きなんだ。希望と喜びに溢れてるだろう。
俺の願いは叶った。命や名前を与えられなかったもの達は俺の願いで光輝いた」
虹色の塔が虹色の光を放った。
「タリオ、お前の願いを叶えるってさ。何を望む」
「僕はすべての人が自分の願いを叶えられるように願う」
虹色の塔は虹色に光輝き、虹色の強烈な光を放った。
目が眩むほどの強烈な光に僕は目をつぶった。
光が落ち着くとコゲツが喋った。
「その願いで良かったのか」
「叶えたい願いはいくらでもある。僕達は僕達自身でそれを叶えるしかないんだとおもう。だからせめてなにかを願うその時、その願いが叶いやすければいいなっておもうんだ」
「お前らしいな」
僕は笑った。
コゲツも笑った。
空はいつの間にか白み始めていた。
夜を押しのけて、朝日が昇った。
完結したので一斉に投稿します。
応援してくださった皆さんのおかげで最後まで書ききれました。
ありがとうございました。




