ランディンガング 3
僕はランディンガングの街の敵として認識された。
そんなことに構うこともなく、僕は魔法で窓を壊した。
壊れた窓から黒い霧があふれ出て来た。
窓から監視塔の中に入ると濃い黒い霧が充満していた。
黒い霧は下の階からあふれていた。
僕は階段から下の階に向けて杖を構えた。
「唸れ衝撃!! 獅子放光弾!!」
放った魔法は黒い霧を浄化しながら下の階に消えた。
窓の外をみると警報システムは止まり兵隊達は動きを止めた。
下の階に向かおうとしたそのとき、突風が巻き起こり僕の身体は監視塔の外へと吹き飛ばされた。
立ち上がろうとしたそのとき、ふたたび突風が巻き起こり僕の身体は吹き飛ばされた。 風は止むことなく強烈に吹きつけ僕の身体を転がしていく。
いつの間にか城門が開き、僕はそこから城外へと吹き飛ばされた。
身体を起こすと、街が巨大なモンスターになっていた。
「なんだあれは」
「ヴァールゲイト。要塞の形をした巨大な鯨だ。体内に都市を模造した内蔵を持ち、迷い込んだ人間からエネルギーを奪い続ける。洗脳と幻覚を織りまぜることで、迷い込んだ人達になんの疑問も持たせずに暮らさせることができる」
「イオリテ!!」
いつの間にかイオリテが僕の横に立っていた。
イオリテは短剣を構えていない左手で、僕に立ち上がり杖を構えるように促した。
僕は立ち上がり杖を構えた。
イオリテはヴァールゲイトに斬撃を飛ばした。
斬撃を受けたヴァールゲイトは衝撃波が出るほどの咆哮を上げた。
それと同時にヴァールゲイトの体のあちこちから大砲が出てきて、止むことのない砲撃を衝撃波で怯んだ僕達をめがけて浴びせた。
僕達は魔法の壁を作り集中砲火をやり過ごした。
僕達は砲撃の隙をみて何度も攻撃をするが、ヴァールゲイトはまったくダメージを受けていなかった。
「難しい相手だ。このままじゃいつかは負ける」
イオリテが珍しく弱音を吐いた。
不意にヴァールゲイトの体内で起こったことをおもいだした。
僕はイオリテにそれまでの経緯を話した。
「街の中心部にあった監視塔が怪しいとおもうんだ。」
「なるほど。そこが弱点かもしれない。どうにかして体内に入らないといけないな」
ヴァールゲイトは咆哮を上げて以来まったく口を開けなくなった。
僕は何か突破口がないかとヴァールゲイトを魔法の壁越しに覗きみた。
ヴァールゲイトの右頬に当たる部分の壁に丸く他とは色の違う部分があった。
「イオリテ、あそこに色の違う部分があるのがみえるかい」
イオリテはヴァールゲイトを魔法の壁越しに覗きみた。
「たしかに色が違うようだ」
「あそこの壁は僕達が穴を開けたところなんじゃないかとおもうんだ」
「あそこが脆いかもしれないということか。おもしろい。試してみる価値はあるだろう」
僕達は砲撃の隙をついて色の変わっているヴァールゲイトの右頬に当たる部分の壁めがけて魔法を放った。
魔法が当たり壁が壊れた。
ヴァールゲイトは咆哮を上げた。
僕達は怯まず体内に入るため走り出した。
ヴァールゲイトは僕達を近づかせないように砲撃を再開した。
僕達は砲撃を気にせず走り続けた。
魔法で壊して開けた穴はすこしずつ塞がっていた。
僕達は塞がろうとする壁にもう一度魔法を放った。
魔法の衝撃でヴァールゲイトの動きが止まった隙に僕達は体内に侵入した。
体内に入るとたちまち警報システムが作動した。
僕達は警報システムに構うことなく、中心部の監視塔めざして走った。
監視塔の周りには兵隊が集まっていた。
僕は杖を構えようとした。
「あとは任せて」
イオリテはそう言ってほほえんだ。
イオリテは斬撃を飛ばして兵隊を倒し、監視塔までの道を切り開いた。
監視塔に近づくなり、イオリテは監視塔に斬りかかった。
「断ち切れ!! 藍玉断破斬!!」
イオリテは監視塔を真っ二つに斬り裂いた。
警報システムは悲鳴に変わり、ヴァールゲイトは浄化された。
あとには精霊石が残された。
「メラク、そう書いてある」
イオリテは精霊石に書かれた精霊文字を読んだ。
僕は精霊石を拾い、大事にしまった。
僕達は本物のランディンガングを探して周辺エリアが探索した。
本物のランディンガングはフェレンデとヴァールゲイトを繋いだ道の延長にあった。
本物のランディンガングの街並みはヴァールゲイトの体内とはまったく違って、普通の街という印象しかなかった。
僕達は転送ボックスを使ってウェッタリドに帰った。
僕達は拠点に帰って次の旅の準備をした。
「次の目的はスプリッチャリだ」
僕は精霊石のありかを書いたメモをみて言った。
「クリッジからなら七日くらいでつきそうだな」
僕達は買い物しながら次の旅の話をした。
僕が旅に持っていく物をまとめたリストに目をやりながら歩いていると、横に並んで歩いていたはずのイオリテがいないことに気がついた。
僕は振り返ってイオリテを探した。
イオリテは武器屋のショーウィンドウを眺めていた。
僕は横に並んでイオリテの視線の先を眺めた。
そこにはイオリテと同型の人形が置かれていた。
ガラスに映ったイオリテと目があった。
「私の中にいるもう一人の私、そなたと旅した私が熱心にみているんだ。そこに並んでいるのは私ではなくて彼だったかもしれない今をおもうと私私はなんと幸せなのかと」
僕は何も言えなかった。
僕がイオリテになにかをしてあげれたとはおもえなかった。
「いい関係だ。羨ましくおもう」
イオリテはそう言って、また歩きだした。
僕はしばらくその後ろ姿をみていた。
翌日、僕達は転送ボックスでクリッジの街まで行きスプリッチャリに向かって出発した。
途中、いくつかの街で泊まり七日目にスプリッチャリの街についた。
不思議な感じがした。
城外からでも活気がないと感じるほど静かだった。
街の中に入るといたるところに馬がいた。
街のどこを探しても人間は見当たらない。
突然、雨が降り出した。
僕達は傘をさして、宿屋に向かった。
宿屋にも人はいなかった。
窓の外に緑色の傘をさしてフードのついた外套をきた子どもがみえた。
僕は外に出て子どもに話しかけた。
「ねぇ、君。この街の人達がどこにいるか知らないかい?」
僕の問いかけに子どもは笑った。
「君には街の人達がみえないのかい?」
子どもの言葉は僕に気味悪さを与えた。
「まだ一人もみかけてなくて、どこにも人がいなくて困っていたんだ」
「あそこにいるだろう」
子どもは馬を指さして言った。
「……」
僕が困惑していると子どもは続けて言う。
「呪いだよ。草は枯れろ、馬になれ。そう呪ったのさ」
「なんのために」
「僕の姿をみようとしたからさ」
子どもは外套のフードを掴んではずした。
僕は子どもと目があった。
突然、子どもが僕に飛びついてきた。
次の瞬間、視界がどこかへ飛んだ。
辺りは一面湿地だった。
「僕と遊ぼう。ルールは簡単。僕をみつけたら君の勝ち、みつけられなければ僕の勝ち。
君が勝ったら、街の人達をもとに戻してあげる。僕が勝ったら、君も馬になってね。それじゃあ、はじめ」
子どもはそう言って消えた。
楽しんでいただけましたか。
毎週月、水、金曜日の午前7時頃に1話ずつ更新する予定です。
またお越しください。




