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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

女神は戦闘狂勇者を観察する。

作者: 雪月花VS花鳥風月

新作を投稿します。

読んでもらえたら、とても嬉しいです。

2023年3月26日に新しいエピソードを追加しました。

「私は勇者パーティーを脱退します」

「俺も抜ける」

「私も辞めます」

聖女リサと戦士タイタンと賢者のイリアが勇者パーティーを脱退すると言い出した。

「何故なんだ。理由を説明してくれ」

突然の脱退宣言に混乱しながら、三人に理由を求めた。

「答えなければ分かりませんか」

リサが氷よりも冷たい視線で見つめてきた。

「貴方が戦闘狂だからです」

イリアが大声で答えた。

「もうウンザリだ」

タイタンが吐き捨てた。

「・・・・」

僕は愕然となった。

自分が戦闘狂だったのは分かっていたが、役目は立派に果たしていたと認識していた。

「何とか考え直してくれないか」

三人に考え直してくれないかと懇願した。

「考え直すつもりは無いわ」

「もう決めた事なので」ぬ

「悪いな」

三人は拒否して、立ち去ってしまった。

こうして僕は独りで魔王討伐をする事になってしまった。


「畜生。リサとタイタンとイリアの馬鹿野郎」

戦闘狂の何処が悪いんだ。

僕は成人の儀式で勇者と狂戦士の称号を授かった。

その為に戦闘狂になってしまうんだ。

自暴自棄になって、やけ酒を浴びるほど飲み続けた。

そして三人と出会った時の夢を視た。


「僕は勇者のマコトです」

「お前が勇者だと。嘘を付くな。あんな戦闘狂の勇者が居るか」

「僕は成人の儀式で勇者と狂戦士の称号を授かったのです」

「そうか。戦闘狂なんて言って、悪かった」

「ところで貴方達は何者ですか」

「俺は戦士タイタン。冒険者をしている。後ろの二人は愛人のリサとイリアだ」

「違います。愛人なんかじゃありません。私は聖女のリサです。せめて紹介はまともにして下さい」 

「嘘は止めて下さい。私は賢者のイリアです」

「戦士と聖女と賢者ですか」

「ところで俺達と勇者パーティーを組まないか。もちろんリーダーはマコトで良いから」

「はい」

仲間に誘われたので、快諾した。

「話は決まったな」

こうして勇者パーティーを結成した。


「夢か」

出会った時の夢を視るなんて、未練がましくて情けない。

いつまでも落ち込んでいられない、

気を取り直して、新たな仲間を探す事にした。


「うう~ん」

悩ましい声がしたので、その方向を見ると、若い女性が眠っていた。

「うわあああ」

「うるさいわね。あら、イケメン」

私は匂いフェチの調香師の香坂麻湖都。

新作香水の調合レシピを横取りしようとした同僚に殺害されそうになった筈よね。

それなのに目の前に新作香水と同じ香りをしたイケメンが居た。

「貴方、とても素敵な香りがするわね。クンカクンカしても良いかしら」

うわぁ、変態だ。

彼女がとんでもない事を言い出した。

僕は思わずドン引きした。


「僕は勇者のマコトです」

「私は調香師のマコトよ」

「貴女もマコトという名前なんですか」

「そうよ。紛らわしいからカオリンって呼んでね」

それから色々な話をした。


どうやら私は異世界転移したみたいね。

「決めたわ。勇者パーティーに入ってあげる」

「お断りします」

流石に変態は勘弁して欲しいので、速攻で拒否した。

「拒否は認めないわよ」

【睡眠魔法】

睡眠魔法を発動させて、彼女を眠らせた。

気の毒だけど放置したまま、急いで宿屋を出た。

そして新たな仲間を探す旅に出た。


私は女神マリア。

どうやら勇者が新メンバーを探しているようなので、適当な人物を異世界から召還したら、匂いフェチの変態だった。

面白そうなので、暫く勇者を観察する事にした。


「おい、勇者パーティーの戦士タイタンと聖女リサと賢者イリアが追放されたらしいぜ」

「俺が聞いたのは自主的に脱退したという噂だったぜ」

「どちらにしても勇者パーティーはどうなるんだろう」

「勇者様は落ち込んでいるのかな。少し心配だな」

「それなら心配無用さ。勇者様は新たな仲間を探す旅に出られたそうだ」

「それなら安心だ」

勇者パーティーの噂が王都中に拡がっていた。


「「「・・・・」」」

元メンバーは苛立っていた。

勇者が反省して直ぐに自分達に謝罪すると思っていたからだ。

しかし結果は違っていた。

勇者は謝罪どころか新たな仲間を探す旅に出た。

元メンバーの目論みは完全に外れてしまった。


「やっと追い付いたわ」

「あの時の変態女」

匂いフェチの調香師の自称カオリンが勇者の目の前に現れた。

「どうして変態女が此処に居るんだ」

「もちろん勇者の匂いを辿って追いかけて来たのよ。さぁ、クンカクンカさせてよ。匂いを嗅がせてよ。そして今度こそ勇者パーティーに入れてもらうわよ」

「お断りします」

「拒否しても無駄よ。私は絶対に諦めないわよ」

「どうして勇者パーティーに入りたいのですか」

「貴方の体臭が最高に好みだからよ」

「絶対にお断りだ」

【転移】

転移魔法を発動させて遠くの街に転移した。

「・・・・勇者が消えた」

カオリンは呆然とした。


あの調香師の嗅覚を鋭くして、勇者の追跡を楽にさせよう。


あれ、嗅覚が鋭くなったみたい。

「ラッキー。これで勇者の追跡が楽になったわ」

カオリンは嬉々として勇者の追跡を再開した。


「おい、勇者パーティーの新メンバーの話を知っているか」

「ああ、もちろん知っている。毒魔法使いと女神の眷属と暗殺者の三人だろう」

「そうそう。噂では新メンバーは元メンバーより優秀らしいぜ」

冒険者ギルドでは勇者の新メンバーの話で盛り上がっている。

元メンバーはその状況が面白くなかった。

勇者パーティーを脱退してからは何もかも上手なくなったからだ。

「それに比べて」

冒険者達が元メンバーをチラホラ見てくる。

「「「・・・・」」」

元メンバーは益々不機嫌になった。

「面白くねぇ」

「タイタン、落ち着いてよ」

「不貞腐れても仕方ありません」

元メンバーは肩身の狭い思いをしていた。

「リサ、イリア、マコトの奴を追いかけるぞ」

「分かったわ」

「うん」

元メンバーは勇者を追いかける事にした。


元メンバーも勇者を追いかけ始めた。

勇者を観察するのが益々楽しみになった。

女神による勇者の観察は暫く続きそうだった。


私は連続毒殺犯の毒島真琴。

遂に犯行がバレてしまい、数日前に逮捕された。

「おい、時間だ」

「取調室に向かうぞ」

二人の刑事と共に取調室に向かっている時に目映い光に包まれた。

「な、何だ」

「何が起こった」

「ま、眩しい」


気が付くと見知らぬ神殿のような場所に居た。

「成功だ。我等の神殿にようこそ。毒使いの魔女よ」

神官らしい老人が叫んだ。

何故か私を毒使いの魔女と呼んだ。

それから色々な話を聞いた。


此処が異世界である事。

召還された事。

彼等が邪神を崇拝する教団である事。

私が毒の魔法を自由自在に使える事。

この世界には魔物が存在する事。

そして私をこき使おうとしている事。

ブラック企業じゃあるまいし、冗談じゃないわよ。

【睡眠毒】

「「「「・・・・」」」」

睡眠毒の魔法を発動させて、教団の奴等を眠らせた。

ゴメンね。

宝物庫から高価なアイテムを持てるだけ奪い、神殿を脱出して、街を目指した。


途中で緑色の魔物に取り囲まれてしまった。

これはゴブリンとかいう魔物よね。

先手必勝。

【即死毒】

「「「「「・・・・」」」」」

私は即死毒の魔法を発動させて、ゴブリン達を全滅させた。

「カ・イ・カ・ン」

私は大量毒殺に快感を感じて、身体を震わせた。

人間を毒殺するのは罪に問われるから、魔物を標的にしようと思った。


「ゴブリンが全滅している」

「コイツはゴブリンキングだ。ゴブリンジェネラル、ゴブリンメイジも居る」

「百匹以上は居る」

「凄い光景だな」

「アンタが全滅させたのか」

暫く妄想に浸っていると声を掛けられた。

声のした方を見ると、兵士らしき集団が居た。

「そうよ」

「どうやって全滅させたんだ」

「即死毒の魔法でよ」

「「「「「・・・・」」」」」

兵士達が無言になり、顔色が真っ青になった。

兵士達の話では冒険者ギルドでゴブリン討伐の報酬を貰えるとの事だ。


今は兵士達に街と冒険者ギルドへの案内を頼み、一緒に向かっている。

「此処が冒険者ギルドだ」

「案内して下さって、ありがとうございました」

兵士達に案内の礼を伝えて、ギルドに入った。

「「「「「・・・・」」」」」

冒険者達が私を睨み付けた。

お約束の通りね。

「ゴブリン討伐の報酬と冒険者の登録をお願いします」

私はゴブリンの右耳を百二十四個を受付嬢の前に置いた。

「・・・・」

受付嬢が固まってしまった。

「早くして下さい」

「・・・・失礼しました」

私が急かすと、受付嬢が正気に戻った。

「こちらの申請書に必要な情報を書いて下さい」

名前はマコト、年齢は二十九歳、職業は毒魔法使い、犯罪の有無は無し。

「これで良いですか」

「確認します」

受付嬢が申請書を確認する。

「問題ありません。それではこの水晶に両手を置いて下さい」

「分かりました」

私な水晶に両手を置くと、水晶が紫色に輝いた。

「確かに毒魔法使いですね。冒険者レベルはE級です」

どうやら毒魔法使いは紫色に輝くみたいね。

「これが冒険者の身分証です。紛失した場合は再発行には銀貨五枚が必要になります。それから冒険者の手引き書です。必ず読んで下さい」

「分かりました。紛失しないように気を付けます」

「これがゴブリン討伐の報酬の銀貨六十二枚です」

「確かに。ありがとうございます」

私は報酬を確認して、礼を伝えた。


「おい、デタラメを言うな」

「お前みたいな女にゴブリンが百二十四匹も討伐出来るわけ無いだろう」

「そうだ、そうだ」

ギルドのから出ようとしたら、柄の悪い冒険者達が因縁を付けてきた。

【麻痺毒】

鬱陶しいから麻痺毒の魔法を発動させて、冒険者達の身体を痺れさせた。

「う、動けねえ」

「身体が痺れてやがる」

「お前の仕業か」


私は冒険者達を放置して、ギルドから退出しようとした時。

「失礼します。僕は勇者のマコト。貴女を勇者パーティーに勧誘したいのですが」

勇者マコトと名乗る若いイケメンに声を掛けられた。

偶然にも私と同じ名前だ。

どうやら私を勇者パーティーに勧誘したいみたいね。

「・・・・」

値踏みするように自称勇者を見つめた。

「失礼だけど、本当に勇者なの」

「もちろん本当に勇者です。ギルドマスターが証明してくれます。受付嬢さん、ギルドマスターを呼んで下さい」

「は、はい」

受付嬢は大急ぎでギルドマスターを呼びに行った。

ギルドマスターの証言で本当に勇者だと証明された。

「分かったわ。勇者パーティーに参加してあげる。私は毒魔法使いのマコトよ。これから色々な意味でヨロシクね」

「マコト?貴女もマコトという名前なんですか」

「そうよ。だからオネエサマと呼びなさい。これは参加する条件よ」

「・・・・分かりました。オネエサマ」

こうして毒使いの魔女のマコトが仲間に参加した。


「おのれ。毒使いの魔女め。絶対に赦さん。毒使いの魔女を生け捕りにしろと各支部に連絡しろ」

教団の各支部に毒使いの魔女の生け捕り命令が連絡された。


邪神を崇拝する教団が連続毒殺犯を召還した。

面白い事にその連続毒殺犯が勇者の仲間になった。

益々勇者から目が離せない状況になった。


「連続毒殺犯の毒島真琴が脱走しました」

私と同姓同名の連続毒殺犯が脱走したというニュースが流れた。

縁起が悪いなと思いながら、登校する為に家を出た。

「キィイイイ・・・・ドカーン」

「きゃあああ」

信号が青に変わったので、横断歩道を渡っていたら、自動車が猛烈な速度で突っ込んできた。

一応ブレーキを踏んだみたいだが、間に合わずに轢かれてしまった。

数メートル撥ね飛ばされてしまい、即死してしまったようだ。


勇者の仲間になった連続毒殺犯と同姓同名の女子高生が交通事故で死亡した。

面白そうなので、私の眷属として転生させる事にしよう。

そして勇者の仲間にしよう。


「私は女神マリア。貴女は不運にも死亡したので、異世界に私の眷属として転生させる事にします」

「はぁ、異世界に転生ですか。拒否は可能ですか」

「これは決定事項ですので、拒否は不可能です」

気が付くと女神マリアと名乗る胡散臭い少女と対話していた。

女神の話によると、やはり私は死亡したらしい。

そして女神の眷属として下さい、異世界に転生させられるらしい。

せっかく有名な進学校に入学したのに、とても残念です。あぁ、私はやはり不幸な星の元に生まれたのだ。

やはりイジメの加害者だったのが悪かったのかな。

「そうそう言い忘れましたが、私の遺伝子を組み込んだ身体に転生させますので、身体能力は世界最強の格闘家級ですし、ほぼ不老不死でいられます。おまけに全属性の魔法が無制限に使えます。ただし私と同じ桃色の髪なので、色々なトラブルに巻き込まれるかもしれません。覚悟しておいて下さい。それと転生先は魔物が存在する世界です。さてと私はそろそろ神界に戻りますので、これでサヨウナラです」

言いたい事が全て終わったらしく、駄女神はさっさと神界に戻ってしまった。


「ちょっと待ってよ。これって幼女の身体じゃないの」

幼女の身体に変換させられてしまい、しかも出現場所が広い草原だった。

周囲を見渡したが、街は見えなかった。

「何で幼女の身体なのよ。しかも出現場所が草原なんて、絶対に嫌がらせよね。あの女神の奴、覚えていなさいよ」

女神に盛大な罵声を浴びせてやった。


「・・・・何なのよ。貴方達」

ようやく街にたどり着いたのに、衛兵らしき集団に取り囲まれてしまった。

「女神マリア様の桃色の髪を真似るとは、この罰当たりが。たとえ幼女でも赦せん」

更に神官らしき老人が罵倒してきた。

どうやら女神マリアと同じ桃色の髪なのが原因みたいだ。

そういえば色々なトラブルに巻き込まれるかもしれないと言っていた。

あの女神、やりやがったわね。

「衛兵、この幼女を拘束しろ」

「「「はい」」」

拘束なんて冗談じゃないわよ。

「やれるものなら、やってみなさいよ」

衛兵達が拘束しようと近付いて来て、私は魔法を発動させようとした。

一触即発の状況になった時。

『お待ちなさい。私は女神マリア。その者は私の眷属のマコトです。危害を加える事は赦しません』

「「「「は、はい。女神マリア様、眷属のマコト様、申し訳ありませんでした」」」」

女神の念話が脳に伝わって、神官や衛兵達が私に平伏した。

私が戸惑っていると。

「失礼するよ。僕は勇者マコト。お嬢ちゃん、君を勇者パーティーに勧誘したいのだけど」

勇者と名乗る若いイケメンに声を掛けられた。

どうやら私を勇者パーティーに勧誘したいようね。

「・・・・」

とても怪しい。

私は睨み付けるように自称勇者を見つめた。

「本当に勇者なの」

「もちろん本当に勇者だよ。神官が証明してくれるよ」

「は、はい。そのお方は間違いなく勇者様です」

神官の証言で本当に勇者だと証明された。

「分かった。勇者パーティーに参加するわ。私は女神様の眷属のマコトよ。これからヨロシク」

「マコト?君もマコトという名前なのか」

「そうよ。混乱するから天使と呼んでね」

「どうして天使なのかな」

「女神様の眷属だからよ」

「・・・・分かった。天使ちゃん」

「勇者、ちゃんは余計よ。ちゃんは」

こうして女神の眷属のマコトが仲間に加わった。


転生させた女子高生が計画通りに私の眷属として勇者の仲間になった。

勇者パーティーを観察するのが更に面白くなった。


「オネエサマ、このお嬢ちゃんが新しい仲間の天使です。この子は女神マリア様の眷属なんです。天使、仲間のオネエサマだ。彼女は毒魔法使いなんだ」

オネエサマに天使を、天使にオネエサマを紹介した。

「何で天使なのよ」

「どうしてオネエサマなの」

「二人共、マコトという名前だからだ」

「「貴女もマコトなの」」

二人の声がハモった。

コイツ、何処かで見た事があるような気がする。

ひょっとしたら脱走した連続毒殺犯の毒島真琴じゃないの。

【鑑定】

天使が鑑定の魔法を発動させて、毒魔法使いの情報を調べた。

【種族=人族(日本人)。名前=マコト(毒島真琴)。年齢=二十九歳。犯罪歴=連続毒殺犯】

やっぱりコイツが連続毒殺犯の毒島真琴。

連続毒殺犯が仲間なんて冗談じゃないわよ。

今更パーティーを抜けるなんて言えない。

せめてコイツより上の立場にならなきゃなりない。

「勇者、彼女と女同士の話があるから席を外してくれる」

「分かった」

勇者が離れた場所に移動したのを確認した。

「貴女に提案があるわ。私と貴女の上下関係はハッキリさせない」

「つまりどちらが強いか勝負するっていう事」

「そうよ。もちろん殺し合いまではしないわ」

「分かった。その勝負を受けるわ」

「決まりね」


「勇者、これからどちらが強いか勝負するから審判してくれない」

「どうして勝負するんだ」

勇者が心配そうに尋ねてきた。

「私と彼女の上下関係をハッキリさせる為よ。これは女のプライドの問題だから止めても無駄よ」

「・・・・分かった」


【睡眠毒】

毒魔法使いが睡眠毒魔法を発動させたが、私に効果は無かった。

睡眠毒魔法が効かない。

【麻痺毒】

麻痺毒の魔法も効かない。

「無駄よ。私は女神マリア様の眷属なのよ。魔法は一切効かないわよ」

【正拳突き】

毒魔法使いを正拳突きで気絶させた。

「それまで。勝者天使」


「負けたわ。完敗ね。天使様」

「単に相性が悪かっただけよ。貴女の魔法もかなりのもんよ。それから敬称は不要よ。オネエ」

二人は握手を交わした。

こうして二人の上下関係は決定した。


勇者よ、暗殺ギルドの壊滅を依頼する」

「畏まりました。直ちに暗殺ギルドの壊滅に向かいます」

国王陛下から暗殺ギルドの壊滅を依頼されたので、オネエサマと天使と数名の騎士と共に暗殺ギルドのアジトに向かった。


俺は連続切り裂き殺人犯の切山誠。

先刻に死刑が執行された筈だ。

それなのに俺は生きている。

しかも見た事が無い獰猛そうな豚のような獣に取り囲まれている。

違う。

コイツらは獣じゃない。

これはオークとかいう魔物だ。

俺は死を覚悟したが、何故か黒色の刃の短剣が両手に握られていた。

これでオークが切れる。

「「「「「ガァアアア」」」」」

次々とオークを切り裂いていった。


「いやぁ、楽しかった。満足。満足」

三十匹程のオークを切り裂いて、とても満足した。

どうやら異世界に転移したらしい。

この世界にはオーク等の魔物が存在らしい。

面白い。

人間を切り裂くのも飽きたから魔物を切り裂こう。

魔物なら切り裂いても罪には問われないないだろう。

本音を言えば、もう死刑にはなりたくない。

確か小説ではオークの魔石は冒険者ギルドで買い取ってくれる筈だ。

俺はオークの身体を解体して、魔石を取り出した。

そして街を目指した。


「稀代の暗殺者は何処だ」

「どうやら召還儀式の手違いで出現場所がずれたようです」

「直ちに迎えに向かえ」


「魔物が切れる。切れる。切れる。肉が切れるよ」

鼻歌を唄っていたら、魔物の生息する森に迷い込んだみたいだ。

「居る。居る。肉が沢山居る」

魔物の群れを発見して、嬉々として切り込んだ

「「「「「ガァアアア」」」」」

次々と魔物を切り裂いていった。

「いやぁ、楽しかった。満足。満足」

百匹程の魔物を切り裂いて、とても満足した。


「スミマセン。旅の者ですが、宿屋はありませんか」

小さな村にたどり着いたので、村人に宿屋があるか尋ねてみた。

宿屋は無いが、空き家はあるらしい。

空き家に泊めてもらうした。


深夜に殺気を感じて、目を覚ましたら、武器を携えた村人達が空き家を取り囲んでいた。

どうやら旅人を襲って、金品を奪う盗賊の村だったようだ。

そんな外道の悪党達なら皆殺しにしても、構わないだろう。


「助けてくれ」

「殺さないでくれ」

「死にたくねえ」

「駄目ですよ。盗賊に生きる資格はありません」

「「「ぎゃあああ」」」

ほとんどの盗賊達を始末したら、生き残りの盗賊達が命乞いをしたけど、構わずに切り裂いた。


「稀代の暗殺者よ、迎えに来たぞ」

「お前達は何者だ」

「我等は暗殺ギルドだ。そなたを召還した者だ。我等の為に働いてもらうぞ」

いきなり黒装束の集団に取り囲まれてしまった。

どうやらコイツらが俺を召還したらしい。

そしてブラック企業のようにこき使うつもりのようだ。

「断る。拒否する。絶対に嫌だ」

当然断ってやった。

「何だと。ふざけるな。拒否など認めん」

無理矢理こき使うつもりのようだよ

鬱陶しいので、全滅させよう。

「「「「「ぎゃああああ」」」」」

暗殺ギルドの奴等を一人残らず切り裂いてやった。

その場を立ち去ろうとした時。

「失礼します。僕は勇者のマコト。僕達は暗殺ギルド壊滅の為に此処に来た。貴方の腕を見込んで勇者パーティーに勧誘したいのですが」

若い男と年増女と幼女と数名の騎士という奇妙な集団に声を掛けられた。

若い男は勇者マコトと名乗った。

偶然にも俺と同じ名前だ。

どうやら私を勇者パーティーに勧誘したいみたいだ。

「・・・・」

俺は無言で、奇妙な集団を見つめた。

「失礼だが、本当に勇者なのか」

「もちろん本当に勇者です。此処に居る騎士達が証明してくれます」

「「「はい。このお方は間違いなく本物の勇者様です」」」」

騎士の証言で本当に勇者だと証明された。

「分かった。勇者パーティーに入ろう。俺は暗殺者のマコトだ」

「マコト?貴方もマコトという名前なんですか」「そうだ。紛らわしいからキリトと呼んでくれ」

「・・・・分かりました。キリト」

「私は毒魔法使いのマコトよ。オネエサマと呼んでよね」

「私は女神マリア様の眷属のマコト。天使と呼んで」

「・・・・分かった」

パーティー全員が同じ名前とは本当に奇妙な気分だ。


連続切り裂き犯が暗殺者として勇者の仲間になったので、益々面白くなった。


「勇者殿、大盗賊団の壊滅を依頼したい」

「分かった。直ちに大盗賊団の壊滅に向かおう」


冒険者ギルドから大盗賊団の壊滅を依頼されたので、オネエサマと天使とキリトと共に大盗賊団のアジトに向かった。


「大盗賊団を壊滅させるぞ」

「わぉ、団体さんのお着きだ」

「これからは殺戮の時間よ」

「切れる。切れる。盗賊が切れる」

勇者の号令と共に大盗賊団との戦闘が始まった。


「「「「「ぎゃあああああ」」」」」

者は聖剣で次々と盗賊達を倒していった。

オネエサマは次々と盗賊達を毒殺していった。

天使は正拳突きで次々と撲殺していった。

キリトは短剣で次々と盗賊達を引き裂いていった。

「「「「「ひぃいいい。助けてくれ」」」」」


盗賊達は恐怖の為に戦意を喪失してしまった。

「駄目ですよ。盗賊に生きる資格はありません。皆殺しにします」

キリトが氷よりも冷たく言い放った。


「そんな馬鹿な。四人相手に全く歯が立たないなんて絶対にあり得ない。特に勇者と短剣使いの規格外の戦闘力は何なんだ」

大盗賊団の頭は初めて恐怖を感じて、呆然としてしまった。

「このままでは全滅する。野郎共、引き上げろ」

遂に頭が引き上げろの指示を発した。


「一人も逃がしては駄目だよ」

「任せて」

「分かった」

「了解」

「「「「「ぎゃあああああああ」」」」」

勇者達は退却しようとする盗賊達を追撃した。

やがて盗賊達は頭を除いて残して絶命した。


「お四人のれ。この化け物」

「化け物とは失礼だね。返り討ちにしてあげるよ」

「ぎゃあああああああああ」

頭がキリトに斬り付けたが、あっさりと返り討ちにあった。


本当に勇者パーティーは面白いわね。

あの大盗賊団の頭を魔族に転生させたら、もっと面白くなりそうね。


あれ、魔族になっている。

「これで勇者達に復讐出来るぜ」

頭は嬉々として叫んだ。

勇者達を鑑定して分かった事がある。

魔法使いは連続毒殺犯だったらしい。

女神の眷属はイジメの加害者だったみたいだ。

暗殺者は切り裂き殺人犯だったようだ。

それらの被害者達を召還してやろう。


「此処は何処だ」

俺は連続毒殺犯毒島真琴の被害者遺族だ。

どうやら異世界召還されたらしい。

この世界の魔族の話では毒島真琴も異世界召還されていて、今は勇者パーティーに入っているらしい。

そんな事は絶対に赦せないぞ。

絶対に復讐してやるぞ。


「此処は何処なの」

アタシはイジメの被害者だった。

どうやら異世界召還にされたみたいだ。

この世界の魔族の話ではイジメの加害者のリーダーだった毒島真琴も異世界召還されていて、勇者パーティーに入っているみたい。

そんな事は絶対に赦せないわ。

絶対に復讐してやるわ。


「此処は何処でしょう」

私は連続切り裂き殺人犯の被害者家族です。

どうやら異世界召還されてしまったようです。

この世界の魔族の話では切り裂き殺人犯の切山誠も異世界召還されていて、勇者パーティーに入っているようです。

そんな事は絶対に赦せません。

絶対に復讐します。


「マコト、探したぜ」

「タイタン、リサ、イリア、久し振りだな」

元メンバーと再会した。

「久し振りじゃねえ」

「そうよ。そうよ」

「もう逃がさないわよ」

しかし不機嫌そうだった。

「勇者、知り合いなのか」

「ずいぶん失礼な態度よね」

「気分が悪くなるわ」

「あぁ、紹介するよ。彼等は元メンバーの戦士タイタン、聖女リサ、賢者イリアだ。君達にも紹介するよ。新メンバーの毒魔法使いのマコト、女神の眷属マコト、暗殺者のマコトだ」

「馬鹿にしているのかよ」

「そうよ。全員がマコトなんて変でしょう」

「四人が同名なんて絶対にあり得ない」

「仕方ないだろう。全員がマコトなのは本当なんだから」

「初めまして。オネエサマと呼んでね」

「初めまして。天使よ」

「初めまして。キリトだ」

「名前なんかどうでも良い。俺達は文句を言いに来たんだ」

「文句?何故だ」

「惚けるな。どうして俺達に謝罪しない」

「謝罪?僕には謝罪する理由がない」

「理由ならあるわ。私達に散々迷惑を掛けたのを忘れたの」

「そうよ。とても苦労させられたんだから」

「謝罪する理由になっていないな。パーティーなんだから迷惑や苦労を掛けるのはお互い様だろう」

「ふざけるな」

「責任を取りなさいよ」

「無責任よ」

「黙って聞いていれば言い掛かりもいい加減にしてよ」

「完全に責任転嫁じゃない」

「不愉快だな」

元メンバーと新メンバーが睨み合い、一触即発の状況になってしまった。

「面白い。決闘だ。表に出ろ」

「決闘だと。望む処だ。後悔するぞ」

タイタンが決闘だと言い出し、キリトが受けた。

こうして決闘する事になった。


最初はオネエサマとリサだ。

【光弾】

リサが先に光弾の魔法を発動された。

しかしオネエサマが素早く躱した。

【光弾】

【光弾】

【光弾】

オネエサマは次々と躱していく。

「はぁはぁはぁ」

リサの魔力が尽きた。

【麻痺毒】

オネエサマが麻痺毒の魔法を発動された。

「身体が痺れる」

「そこまで。勝者オネエサマ」


次は天使とイリアだ。

【水流】

イリアが先に水流の魔法を発動された。

水流の魔法が天使を直撃したが天使は無傷だった。

【火炎】

【雷撃】

【風斬】

何度直撃しても天使は無傷だった。

「はぁはぁはぁ」

イリアも魔力が尽きた。

【正拳突き】

天使の正拳突きでイリアが気絶した。

「そこまで。勝者天使」


最後はキリトとタイタンだ。

「オラオラオラ」

タイタンが先に斬り込んだ。

しかしキリトはあっさりと躱した。

「躱すな」

「避けるな」

「動くな」

キリトは躱し続けた。

「はぁはぁはぁ」

タイタンの体力が尽きた。

キリトの短刀がタイタンの利き腕を切り裂いた。

「そこまで。勝者キリト」


決闘は新メンバーの圧勝だった。


「覚えてろ」

「この屈辱は絶対に忘れないわ」

「必ず仕返ししてやる」

元メンバーは捨て台詞を吐いて、脱兎の如く逃げ出した。


あの元メンバーの能力を高めると、もっと面白くなりそうね。


あれ、体力が増えたみたいだ。

あれ、魔力が高まったみたい。

あれ、魔力が高くなっている。

「「「これで勇者達に仕返し出来る」」」

元メンバーは嬉々として叫んだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 女神さまが楽し気に見てらっしゃるのがよく伝わってきました。 女神様、ピーキーな称号を勇者と同時に与えたり、勇者が困ってるのを見て楽しんだり、愉快犯的邪神? それとも好きな子をいじめる系?
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