表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/60

2回目の夜



 

 「今日はなんだか雰囲気が違うね。」

 

 「そう?」


 「うん。なんか大人っぽく見えるよ。」


 「そうかな。」


 「うん。」


  

 いつもの調子で話していた。しっかり手を繋いで歩いた。前よりもしっかりと。今日はエスコートをすると決めていた。2人で歩くいつもの道はまた違う景色のようだった。全てが鮮やかに見えていた。その時は。

 

 今日はいつもよりゆっくり歩いた。2人で美味しい料理を食べにいった。美味しいお酒と美味しい料理。これだけで気分を上げるのは十分だった。お酒も控えめにした。前回の失敗をしないために。

 


 「これからどうするの?」

 

 「夜の公園に行ってみない?」


 「いいね!メリケンパークに行ってみたい。」


 「一緒に行こう。」



 三ノ宮から海岸線に乗ってメリケンパークに向かった。少し距離があったけれど2人で話をすれば時間は気にならない。楽しい時間を過ごしていた。海が近い。潮風が吹いていた。

 

 「初めてきた。素敵……。」


 「綺麗だよね。カップルも多いねここ。」


 「確かに。」


  

 SK8をするために度々メリケンパークに来ていたがよく見ると昼間も夕方も夜もカップルは沢山いた。みな海に向かって二人で並んで座っている。そんなカップルが無数にいる場所だった。雰囲気を上げるにはぴったりの場所。気持ちを盛り上げていくには十分だった。


  

 「今日は本当のデートみたいだね。」


 「デートみたいじゃなくてデート。」


 「あはは。ごめん。」

 

  

 二人で並んで座った。ゆっくり話した。お互いのことや子供のこと。今までのこと。これからのこと。話したいことは沢山あってどれも時間が足りなかった。夜のメリケンパークを満喫してマンションに向かう。二人の気持ちは最高潮に上がっていた。

 

 途中、コンビニでまたお酒とおつまみを買った。家でゆっくり飲もうって話したからだ。また帰り道に手を繋いでいた。会ってからずっと手を繋いでいる。汗ばむ手の平をこっそりズボンで拭ってはまた繋ぎなおした。彼女も黙って手を繋いでくれている。笑顔の彼女。

 

 また同じようなシュチュエーションになった。今回はテレビをつけずにBGMを流した。ムードを盛り上げるためだ。彼女も酔っているようだった。二人の目的は一つだった。黙って服を脱いで唇を重ねた。

 

 電気を消した。不思議と焦ってはなかった。根拠はないが今日は最後までいけると思った。夜は静かに老けていく。朝方に二人とも眠りについた。とても満足していた。

 

 

 「……おはよう。」


 

 目が覚めると彼女はそう言ってくれた。前回と同じ笑顔のまま。いつだって彼女は私より早く起きて私の顔を見ていた。だけど今回は前とは違っていた。ちゃんと確かめ合えたから。やさしく抱き合った。







 





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ