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朝の彼女と帰りの彼女




 

 目が覚めた。日差しがまぶしい。ふと隣に目をやるとにっこり笑っている彼女がいた。二人で夜を過ごした最初の朝だった。いつから彼女が起きていたのかはわからない。くっついたままこちらを笑顔で見ていた。

 


 「……おはよう。」

 

 「おはよう。□□くん。」


 「起きてたの?」


 「うん。」

 

 

 彼女はまっすぐ私を見ていた。笑顔でそのまままた抱き合った。朝早く起きたはずなのにもう昼前になっていた。小腹も空いてきたので着替えて二人でご飯を食べにいくことにした。彼女が化粧をする。横でじっと見ていた。彼女は見ないでって笑って言っていたけど見とれていたんだ。

 


 「おなかすいた~。」

 

 「何か食べたいものある?」


 「何でもいいよ!美味しいもの!」

 

 「わかった。とりあえず街に出て考えようか。」

 

 「うん。」



 準備ができた2人は三ノ宮にでた。色んなお洒落なお店があった。彼女も楽しんでくれているみたい。適当にブラブラ歩いた。恋人みたいに手を繋いで。恥ずかしいなんて気持ちはなかった。とにかく笑顔で歩いて話して食事して話した。話は尽きなかったし時間もあっという間に過ぎていった。

 

 夕方16時には彼女は新幹線に乗って帰らなければならなかった。明日は仕事だから帰らなければならない。この幸せな時間を過ごすのもあと僅かだった。二人でブラブラしてまた新神戸まで送る。外もだんだん暗くなっていた。不思議と気持ちとリンクしていった。

 

 

 「まだいたいけど……。もう帰らないと。」


 「うん。駅まで送るね。」

 

 「……うん。」

 

 

 心なしか沈黙が続いていた。やっぱり距離が近づいた分、別れも辛くなっていた。もう少し一緒にいたかったけれどどうすることもできなかった。でも手は繋いで歩いていた。意思表示だった。切符を買い、駅内まで見送るために二人で入った。ギリギリまで一緒にいられるように。

 

 

 ――プルルルルルルルルル


 

 新幹線が出発する時間を告げる。もう出発する時間のようだ。ギリギリまで繋いでいた手を離した彼女は新幹線の中に飛び込んだ。彼女はこちらを見ている。私もかける言葉が見つからなくて見ていた。そのままドアが閉まる。彼女を連れて新幹線は去っていった。その後姿をずっと見ていた。


 帰り道どうしようもない焦燥感に苛まれた。どうすることもできなかった。ただひたすら歩いて家を目指す。色々なことを考えながら歩いていく。頭の中がぐちゃぐちゃだった。考えることが沢山あったからだ。

 

 家についてしばらくしてから彼女から一つのメールが届いていた。急いでメールを確認する。そこにはこんなメッセージが書かれていた。彼女の気持ちが書かれていた。

 

 

 ――会ってくれて本当にありがとう。とても嬉しかったです。ただ□□君はまだ北海道の彼女が忘れられていないと思います。それに私は10歳以上……13歳年上でバツイチだし小さい子供もいます。□□君は私なんかよりもっと若くてかわいい子を捕まえたほうがいいよ。ありがとうね。

 

  



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