現実
夜も明けた。朝食を取りにいった。コンビニで適当な軽食を買って食べた。そしてまだ時間が早かったので仮眠を取ることにした。2人とも車で寝ていた。少し体を休めたあとちょうど昼になったので昼食を取った。あまり喉を通らなかったけれど。
昼食を済ませた私達はいよいよ実家に向かうことにした。心臓はドキドキしていた。実家はさらに山のほうで近隣の家も少し離れている。かなりの田舎だった。車に乗り込む。彼女も顔がこわばっている。車を走らせると実家が見えた。心臓はドキドキしている。
とりあえず車を実家の近くに止めてみた。田舎なので車を止める所は沢山ある。両親もいるかどうかわからなかった。とりあえず車を止めた。なのに車から降りることができなかった。彼女も同じだった。ここで私が行動するべきだった。でも動くことができなかった。そのまま少し時が過ぎた。
しばらくしても2人はそのまま動けなかった。やはり動けなかったので一旦移動することにした。私は反対されていて拒絶されているのがわかっていたので単純に勇気がもてなかった。彼女もそれを知っていたのでやはり目の前にすると動けなかった。
そもそも連絡を取っていない。両親に一旦連絡を取ろうという話になった。実家を後にする。両親はでてこなかったので近くに来ていたことに気付いてはいなかった。車を走らせて少し遠いところで宿を探した。飛び込みだったが宿を取ることができた。受付の人にこう言われた。
「お母さまと息子さんですか?」
「……はい。」
彼女は即答した。そして部屋に通された。彼女は俯いていた。何も言えなかった。とりあえずテレビの音だけが流れていた。そこで最後に彼女と抱き合った。彼女は泣いていた。泣きながら求め合っていた。最後の夜をそこで過ごした。やはり気の利いた言葉はでてこなかった。
抱き合って寝て抱き合って寝て朝を迎えた。彼女はやはり元気がない。朝食を2人で取った。そしてこれからのことを話した。実家に帰るのかどうなのか。これから私たちはどういう未来を送るのか。そもそもお互いの気持ちはどうなのか。
今まで出していなかった答えをだした。もう答えをだす時期に来ていた。本当はもっとずっと前に出すべきだったのだけれど。2人でずっと話してその答えにすることに決めた。これからどうするのかも。もうそう進むしかなかった。繋いだ手は離れた。




