故郷
彼女と普通のカップルのような夜を過ごした。沢山話したし、沢山求め合った。彼女は私を寝かせてはくれなかった。朝までずっと話していた。話したいことは沢山あるようで私はただただ聞いていた。そして彼女の問いに答えていた。あっという間に朝になってしまった。
それから午前中は少し寝てショッピングをしてブラブラしてまた夜を迎えた。その時に彼女から話があると言われた。どうしても私の両親に会いたいとのことだった。そして認めてほしいと願った。いつ連れて行ってくれるの?と聞かれた。私はもう逃げることはできなかった。彼女にこう話した。
「今から実家に行こう。」
「……本当に?行ってくれるの?」
「うん。」
「会ってくれるかな?」
「うーん。反対はされてる。」
「……そっか。そうだよね。」
「……うん。」
「でも行きたい。」
「わかった。」
私は彼女の気持ちに答える決心をした。彼女は元々身支度をしてこちらに来ていたのでキャリーケースを載せるだけですぐ準備はできた。私は自分の身支度を済ませると車に乗り込んだ。そこから長時間のドライブが始まる。私が運転して向かった。神戸から山口まで。
高速で車を飛ばした。はやく着きたいという気持ちと夜寝ないで車を走らせたことでナチュナルハイな状態になっていたと思う。ひたすら実家を目指した。途中で彼女も運転を変わってくれたし順調に車は走ってくれた。夜明けが来るまでになんとか着きそうだった。
やはり距離は遠かった。でも彼女と2人だったし長時間のドライブも快適だった。夜が明けていく。だんだん辺りが明るくなるにつれ見慣れた光景が近づいてきた。とても懐かしかった。ここ最近は彼女と過ごしていたからほとんど実家には帰っていなかったから。
今回は急に帰ることに決まったので実家に連絡も入れてない。朝も早いので景色を見に行くことにした。山と海に囲まれた小さな町。それが私が幼少時代に過ごした土地だった。山道を車で登り、山頂に着く。車を降りると海が見えた。海が近いところだったから。
2人でずっと海を眺めていた。長旅で疲れもあったので口数は少なめだった。ただ横に座り肩を寄せ合って海を見ていた。これから実家に向かうことになるのだから。2人とも緊張していた。反対されているのは知っていたから。少し拒絶ぎみなのもわかっていたから。




