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追われる日々

 仕事を始めてから数か月たった。暇なときは相変わらずに暇で毎日定時あがり。そしてパチスロをして夜は上司や先輩と飲みにいく。ずっとその繰り返し。繁盛期になると毎日午前様だった。ほぼほぼ仕事に拘束される。だんだん彼女との電話やメールは少なくなってきていた。環境の違いからのすれ違いだ。


 私は毎日を生きていくのに精いっぱいだったし生活がかかっていた。上司や先輩と飲みもやっぱり長時間だったしお店をはしごするなんてザラだった。行きつけのお好み焼きの店も出来ていたし、そこで長時間飲んでいた。お金は持っていなかったがよく奢ってもらっていた。飲みに付き合う私は可愛がられた。


 休みの日も上司の連れの集まりのBBQに参加したりイベントにも参加した。彼女と同世代のシングルマザーの人が多くて交流を持った。みんなで一緒にご飯を食べることも増えたし遊んだりもした。だからますます彼女との時間が減っていった。やることが沢山で時間が全く足りなかったから。


 忘れていたわけではない。それでも彼女を精神的に寂しくさせるには十分な毎日だった。すれ違いが怒ると不思議なことに今まで気にも留めなかった些細なことが発端で喧嘩になる。寂しさを形にした結果だった。些細なことでも積み重ねたら大きな棘になる。なかなか抜けることはない。


 この時からずっとお互い棘が刺さったまま日々を過ごしていた。彼女のほうがずっとそれを抱えていたかもしれない。元々負い目を感じていたようだから。バツイチで子供で14歳上という事実は隠すことができなかったから。彼女はやはりそれを気にしていた。申し訳ないと思っていたようだ。


 私は仕事の忙しさと趣味と多忙でそれらに夢中だった。仕事も初めてする工業系の仕事だったがそれなりやれた。手先は思ったよりは器用だったようだ。資格も取っていったし評価してくれる上司もいた。残業している割に給料はやはり少なかったがそれでもやりがいだけはあった。


 この仕事で職人になりたい。そう思っていたしそうなれる環境はあった。頑張る新人を素直に喜んで指導してくれる人たちがいた。それでも先は不安だったけれど。まだまだ彼女と息子君を養えるだけの甲斐性はなかった。満足できるとこまでいけるのに何年かかるかまったくわからなかった。


 でもこのときはこうすることが正解だと思っていた。彼女の変化にも気づくことができないままで。





 

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